活動休止。
いずれまたできるかな?と思っていたら、その日は来なかった。
それから15年。私の中に「まだ終わっていないあのこと」があることを自覚した。
これまでの記事
15年前、こうして私は燃え尽きた【PRISMIXストーリー1】
過去に光を当てていく
私の深いところで「あの2007年の私」がいまだに折れたままであると感じた。
もちろんこれまでも心理の勉強をする中で、そのことを扱うことは何度かあった。
それなりの整理はしてきたつもりだ。
でも、それでも・・・・まだ何かが残っている。
もうなんとかしようと思った。
そこで私は人の力を借りることにした。
10年来のカウンセリングの師匠・岡部明美さん(通称あけみちゃん)が主催する、門下のカウンセラー/セラピスト対象の勉強会が定期的に行われていた。
ここでは参加者がカウンセラーとクライアントになって、実際のセッションを行う。それに対してあけみちゃんがスーパーバイズするという流れ。
この会に私は「クライアント希望」として申し込んだ。
当日、同期の友人で長いつき合いのカウンセラーAちゃんにカウンセラー役をやってもらって、私はあの時の話をした。
CD発売中止、メンバーとの経緯、そして活動停止。
これまでほとんど誰にも言ったことがないことを、一つ一つ言葉に出して聞いてもらった。
ここで私がやりたかったのは、過去の感情をちゃんと整理すること。
いわゆる「未完了」を完了させること。
心理のセオリーにおいて、この「未完了を完了させる」というのは、前に進むために非常に重要なプロセスなのだ。
私たちのやっているセッションでは、ただ話を聞くだけにとどまらない。
潜在意識の囚われやこだわりを整理し、再構築して新たな心境を見つけていくために、体感実感を引き出す各種の「ワーク」というアプローチをしていく。
それによって、あの時本当はどうだったのか、潜在意識で何が起こっていたのか、ひもといて新しい理解が導かれることになる。
カウンセラーAちゃんや場の皆さんの協力により、私のセッションは進んだ。
封印していた「過去」に光を当て、改めて見ていくことで、新たな風が吹いた。
そして私に一つの理解が訪れた。
音楽がダメだったんじゃない
そうか。
音楽がダメだったわけではなかったんだ。
あの時私のやっていた音楽が問題だったのではなくて
あの音楽がひどかったのではなくて
私のリーダーシップの問題だったんだなあ・・・
これも、顕在意識と潜在意識。
顕在意識とは、自分でわかるレベル。
潜在意識とは、自分ではわからないレベル。
あの時のメンバーのみんなは、顕在レベルでは、音楽的なことや、私の音楽の作り方やり方に対するダメ出しという形で表現していた。
でも、潜在レベルでは、そこじゃなかったのだ。
潜在レベルでみんなが感じ取っていたことは、私の軸の弱さであり、指針の曖昧さ、肚の座らなさ、自信のなさ。
それゆえに、全体の音を大局で感じ取る余裕などとてもなかったこと。
そして私自身がうっすらと感じていたように、疲れ、枯渇、燃え尽きの兆候・・・
そのエネルギー感が潜在レベルで伝わっていて、みんなの中の違和感や不安感、苛立ちへとつながっていったのだろうと思う。
それが今、心理専門職である私として妥当と思われる解釈である。
そりゃあね、リーダーがそんなエネルギーでいたら人は感じとるし、場はおかしくなるよね。
今の私なら当たり前にわかる。
みんなは、音楽にダメ出ししてたんじゃないんだ。
もっと私にしっかり軸を持って、ヴィジョンを示して、グイグイ行ってほしかった。
そうやって気持ちよく、エネルギーのいい音楽をやりたかった。
そういうことだったと、腑に落ちた。
音楽がダメだったんじゃない。
それは私にとって、「音楽家・私」への、私自身の赦し(ゆるし)であった。
そしてそのリーダーシップや、存在のエネルギーの部分については
10年近くカウンセラーや講師として心理の探究を深め、場を作り、人を育て、協会を率いるなどやってきたおかげさまで、すっかり自信が持てるようになった。
軸の定まり、肚の座り。
おそらく年齢相応の「おばちゃん力」も加わって、図太いくらいの余裕ありありである(笑)
ああ、今の私は全然大丈夫だ!
そう思えた。
新たな野望が立ち上がる
セッションが終わって、心に新しい風が吹き抜けたところで、私は思いついた。
そうだ、あの15年前の音源。
ミックスし直して出せないかな?
あの時の制作元さんのところに、データ残ってないかな?
やってみちゃう?
問い合わせてみちゃう?
ワクワクしてきた。
私は、本気でやりたいと思ったことはわりと実行する人間だ。
できるかも、やれるかも、と思った。
私の胸の内に
「当時の制作元にダメ元で問い合わせる」
というミッションが灯った。