私の中に「折れたままの2007年」がいまだに存在することに気がつき、私は人の手を借りてもう一度過去に向き合った。
「ああ、音楽がダメだったんじゃないんだ!」
自分の中で自分自身とあの時の音楽に「赦し」が起こったら、新たな「やりたい」の芽がヒョコッと顔を出した。
これまでの記事
音楽がダメだったんじゃない!私の中に赦しが起こった【PRISMIXストーリー4】
ミッション1:音源を救い出す
友人のカウンセラーにセッションしてもらったことをきっかけに、あの時の音源を掘り出して世に出せたらいいな・・・という気持ちになった。
当時の録音データをミックスし直したら、全く新しいバランスでリニューアルできる。
その上で、今どきCD盤としてプレスしなくても、配信販売で十分じゃないか。
しかし、当時の制作元はOKしてくれるだろうか。
原盤権(制作費を出した側が持つ権利)は明らかにあちらにある。
権利のめんどくさい話をしなければならないだろうか。
そもそもデータは残っているだろうか。
いやぁ、無理かもしれないなあ。。。
とはいえ、やってみないことにはわからない。
まず当時の制作元にダメ元で問い合わせること。そこからだ。
あとはそれをいつやるか?だけ。
自分のハートがGO!というタイミングを待った。
そして、6月。その時は来た。
発売されなかったあの音源は、成仏しないまま沈黙の底に沈められている。
あの時の私自身の体験や感情が、というより、あの音源そのものが「未完了」なのだ。
そのことのリアリティがはっきりしてきた。
「なかったものにされたものは、成仏しないまま潜在意識の重荷になる」という心の法則がある。
だから、表に出してやるべきなのだ。
あれを救ってやりたい!
光を当ててやりたい!
成仏させてやりたい!
と願う気持ちが湧き上がってきた。
あの音源は、私が音楽家人生をかけた時代の最後の結晶といってもいい。
それが成仏しないままでは、私の音楽家魂も成仏しない。
そう思った。
もしも音源復活が可能になったとして、発売にこぎつけて皆さんに聴いてもらったとして、
結果、大した反応がなかったとしても、面白くないと言われたとしても、ろくに売れなかったとしても
それでもいい。
何か良い結果が目的なんじゃない。
埋まってしまったものを掘り出して、光に当てて、成仏させたいだけ。
そのことを精一杯やれたら、それでいい。
そのためなら、ある程度お金を使ってもいい。
権利の話が出たら「ウチが買い取る」と言って粘ればいい。
そこまで決意したら、あとは肚を括るだけ。
勇気を出して制作元に連絡をとった。
なんといっても15年前。
当時の関係者はみんな退職しているとのことで、現在の担当部署の長の方が電話対応してくださった。
予想外に柔軟で親身な対応だったのでびっくりした。
当時の関係者にも確認して、録音データがあるかどうか探してくれることになった。
権利のことは問題ないと言ってくださった。
冷たい門前払いの可能性も予測していたので、これは意外だった。
希望と共に、良い巡り合わせに感謝した。念ずれば道開く!・・か?
数日後、残念ながら当時の録音データは残っていないことを伝えられた。
つまり、ミックスし直しは叶わないことが確定した。
しかし、当時作成したノベルティ用CDを、いわゆる「盤起こし」という方法でマスタリングし直して出すことは可能と言われた。
そうか、わかった。
じゃあそれでいこう。
デジタル・リマスターだ!
大幅な音チェンジはできなくても、マスタリング次第では印象を変えることができる。
そこで、過去にお仕事させていただいて絶大に信頼できるマスタリング・エンジニアさんに相談したところ、かなりいいところまでいけそうな希望が持てたので、これはGO!と判断した。
音源を救いだす。
ミッション1、コンプリート。
ミッション2:メンバーと結び直す
そこで、次はメンバーである。
当時の7人のメンバー全員に、このことを伝えに言って了解をもらうのが次のミッション。
不思議と、わだかまる気持ちはもうなかった。
素直に「昔すぎる話で恐縮だけど。。。と前置きして、あの時の音源をリマスターして配信発売したい」ということを、ある人にはメールで、ある人には会いに行って、一人ずつ伝えて了解をもらって回った。
皆さん概ねとても喜んでくれた。
出演しているライブハウスを調べ、黙ってお客さんとして見に行ってサプライズ対面。
「おお〜〜!久しぶり〜〜!なに、元気??」なんていう、15年ぶりの再会シーンになった。
みんなすっかりベテラン、大御所、もはや「重鎮」かもしれない。
お互い歳を重ねて、変わったような、でもちっとも変わっていないような、そんな出会いの時だった。
そうやって、リマスター配信発売について、7人のメンバーほか、ゲストミュージシャンの方々まで、全員の了解を取り付けた。
メンバーと結び直す。
ミッション2、コンプリート。
ミッション3:発売準備
当時のマスタリング済みCD-Rからエンジニアさんに「盤起こし」してもらって、改めてマスタリング。
生楽器の音楽性を大切にしてくださるエンジニアさんなので、信頼できた。
全8曲が仕上がってきた。
微妙な違いではあるけれど、明らかに印象が良くなっていた。
以前よりずっと豊かで、伸びやかで、音楽が音楽としてしっかり羽を広げられたような、そんな感覚があった。
この音であらためて聴くと、曲も演奏もおもしろいし、けっこういいアルバムじゃないの!?って思えた。
これいいじゃん、ぜんぜん!!
これの何がダメなの!?
これは出さなきゃもったいないでしょ!!
なーにオクラにしちゃってんの!?
ありえない!信じられなーい!
と、過去15年分の鬱憤を、独り言で思い切りつぶやいて晴らし(笑)
だいぶ強気になってきた私。
アルバムタイトルは「光る予感」。
タイトル曲の「光る予感」は冒頭の1曲目である。
この曲でYoutube用MVを作ることにした。
と言っても、メンバー写真もなければ演奏シーンもない。
豊かな映像イメージと音楽のコラボとして楽しめる作品を・・・という位置付けでクリエイターさんに作ってもらった。
さらにジャケットデザイン。
実はMVもジャケットも、どちらも一発でスムースにいったわけではない。
いろいろと紆余曲折があった。
進めば必ず壁は現れる。
その度に、言葉を尽くし、手段を尽くして乗り越えた。
最終的に、私なりに満足できるものができあがった。
というわけで、準備万端。
あとは配信サイトに新規リリースを登録し、音源とジャケット画像をアップロード。
これで発売に向けて全て整った。
ミッション3、コンプリート。
いよいよ公開
さて、ここまで本当に長いストーリーでした。
全部読んで下さった方、本当にありがとうございます。
こうやってできたPRISMIX(プリズミクス)幻のファーストアルバム「光る予感」、15年の封印を解いて蘇ります!
いよいよ9月10日(土)から配信開始です!
どんなアルバムなのか、メンバーは誰なのか。
次の記事でご紹介したいと思います。