2010年も残すところあとわずか。
今年は、表面的にはあまり大きな動きはなかったけれど、
自分の内側では大きな地殻変動を起こしたような年だった。
考えて、迷って、試して、彷徨って、ぶつかって、苦しんで、
最後に何かが大きくゴゴーッと動いて、新しい景色が開けたような。
そんな今年の最後に、自分の中でこれだ!と思った言葉。
「もう闘わない。」
この世界はこれまでのところ、「できること、すごいこと、希少性、独自性」にたいへん価値を置かれている。
音楽の世界で仕事をしようと思ったら、
自分がどれだけ「できるか、すごいか、希少か、独自か」を、人様に認めてもらわなきゃ食っていけない・・・ということに大筋なっている。
だから私もそこんとこでがんばった。
ずいぶん長い間。自分なりにだけど。
でも、どこかでいつも、かすかに違和感を感じていた。
音楽が「すごいだろう合戦」になるのってどうなの? って。
何で「すごいだろう」を見せなくちゃいけないの?って。
だから「私はそういう『すごいだろうの音楽』なんてやらないもんね」とさえ思ってた。
でも、悲しいかな、実はやっぱり
「そうじゃない私はこんなに独自ですごいだろう、認めて。」って、気づかずにやってたんだなあ。
だってそうじゃないと仕事できないもん。
ていうか、それ以外のことって知らないし。
そんな私も色々ありましてぇ〜、
その違和感も決定的になったのが今年。
とことん音楽のことが嫌になって、見たくも聴きたくもなくなって
と同時に、音楽のない「ただの人間の私」にもOKを出せるようになって
何もない、「今ここ」に生きているだけの自分自身と共にいることができるようになって
そうなってやっと気づいた。
私、「すごいだろう合戦」のリング で闘うことにうんざりしてたんだな、ってことに。
それでもやっぱり、まだそのリングの中に自分はいたんだな、ってことに。
もう闘いはやだ。
もう闘わない。
私、リング降りるわ。
もちろん、リングに上がって勝負をかけている人達を否定するつもりはない。
そこで日々技を磨き、力を蓄え、武器を揃えて、勝ち上がっていくことに意義を感じている人がいたっていい。
そこで闘えるのは立派なことだ。
戦士としての人生が最適だという人もいるかもしれない。
でも私には向かないわ。
私は本質的に「平和」を指向する人間だったのだ。
そして、そんなにすごくも独自でもない。
「努力を放棄した。負けた。」って言われてもいいかな。
ええ、負けました。
私はリングを降りて、
少し離れた心地のよい草原で、木陰にシートを広げて座り、
闘ってケガして倒れた人の介抱なんかして、
「ゆっくり休んでいきなよー」とか言ってるような人になりたいと思う。
勝ち上がるためじゃなくて、そういうことのために、自分の持っている音楽を、使えるなら使いたい。
べつに音楽じゃなくたってかまわないしね。
そんな新しいヴィジョンが見えてきた今、すごくスッキリしている。
元気になって、また別の形で音楽の楽しさを感じられるようになりつつある。
来年の新しいことについては、また改めて書こうと思う。
色々巡り巡る中で、見守ってくれた方々、力を貸してくれた方々、ありがとう!
そして、よくがんばった自分!
2010年よ、さようなら。
今まで私を生かしてくれた、闘いのリングよ、さようなら。
参考記事