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サウンドトラックはもうやらないんですか?・2

 
onpu403

だからそれが何?がやってきた

Q「サウンドトラックはもうやらないんですか?」

A「いずれまたやるかもしれません。でもこれまでとは違う在り方で。」

 Q「これまでと違う・・・て何でしょうか?」

前回まで 〜その1・ありがとう。そして今までごめん〜

 

さて、「これまでとは違う」とは? という問いに対しては、

じゃあ「これまで」とはどういうものだったのか?
という認識が必要ですね。

私にとっての「これまで」とは、
普通に職業作曲家であること、でした。

依頼を受け、その作品そのものが求めてくる世界観や、
監督・音響監督・プロデューサーなどの意向や
要望や注文などに的確に応えつつ、
かつ若干その予想を上回ることを目指しつつ、
でも、実はしっかり自分のやりたいことを埋め込みつつ・・・みたいな。

その時、いちばん中心になっているのは「音楽」そのもの。
どういう音楽を作るのか、ということです。

編成はどう、テンポはどう、リズムは、
明るさは、雰囲気は、スタイルは、音色は。

そして、それが合うのか合わないのか、
いいのか悪いのか、かっこいいのかキレイなのか、
斬新なのか凡庸なのか、
感動するのかテンション上がるのか・・・とか。

そのために、ミュージシャンは誰で、
エンジニアは、スタジオは、ミックスは・・・て

全部、音楽そのものの話。

あたりまえじゃないの、
音楽作るってそういうことでしょ。
それをやるのが音楽家であり作曲家でしょ。

や、ほんとにその通りです。

ほんとに音楽を作りたい人っていうのは、
音楽そのものが最大の関心事で、
音楽に触れている時が何よりも楽しい。

次はどうやってどんな音楽を構築しようか、って
ワクワクしたり闘志が湧いたりしちゃう・・・
そういうものじゃないかなあって思います。

私も、そんな風に音楽のことばっかり考えて
「音楽をどうする、ああする」みたいなことに
情熱を感じていた時期もありました。

いわば「音楽そのもののために音楽をやっている」
という状態です。
もちろん、それが悪いっていうわけじゃありません。
そういう時期だって必要。
あるいはそれで一生いくのもあり。

しかし。それがある時から変わってしまったのです。

だからそれが何?

 だからそれが何?

音楽に関わろうとすると、
すかさずこの巨大な問いが
ドカンと降ってくるようになりました。

だからそれが何?

この問いの前に、進むべき足腰が立たなくなり、
音楽の全てが虚しさと味気なさで灰色に変わって
まさに灰のように崩れ落ちていきます。

つまり「燃え尽き」ですな。

もう、ぜんぜん音楽に近づきたくなくなっちゃった。
うんざりした。音楽に。

その頃は
「ええーーっ!?音楽がそんなことになってしまった!」って
そのこと自体に戸惑い、うろたえ、焦り、あがいたけど、
長い時間をかけてそのことを受け入れ
(ていうか受け入れざるをえないからね)、
これまでの自分を休ませ、
見守りながら自分の再生を待ち続けてきました。

そして、今だからわかってきたことがあります。

私自身の深い部分
(潜在意識といってもいいし、本質と言ってもいい)は
「音楽そのもののために音楽をやっていた」
それまでの私のステージから、
そうではない次の新たなステージへと
私を押し上げようとしていたんだということ。

そして、そのためにはまず、
私が音楽に対して持っていた
「愛着・執着」や「同一化」を
切り離させる必要があったんだろうなあ、と。

例えば、昔の人は
赤ちゃんを乳離れさせるために
乳首にカラシを塗ったという話を聞くでしょう。

そんな感じで、
私を音楽との愛着・執着・同一化から引き離すためには、
音楽が虚しく味気なく辛いものになることが必要だったのかなー、
なんて考えています。

そうやって、
音楽への執着から離れてこそできる次の仕事、
私の本質が真に望んでいた仕事へと導こうとする
深い次元の流れというものがあったのかもしれません。

音楽に留まるな。何のための音楽なんだ。

ってことです。

それは、「これまで」にストップをかける声であり、

本当にやりたいことは何だったのかを問いかけ、

新しい「これから」を呼び出すための声でもあったのです。

音楽に愛着・執着なし

そんな時期をくぐり抜けた結果、
おかげで、というか、残念ながら、というか

誤解を恐れずに言えば、

今の私は、音楽のことなんて何とも思っていません。

執着、愛着べつになし。
自分と同一化していない。

これが好き、あれが好き、これが嫌い、
これはいい音楽、悪い音楽、とか

全然ありません。
すべて「そういう音楽」としか思わない。

それぞれに
「んふふ、いいんじゃなーい」と思うだけ。

もちろん、すばらしい時はすばらしいなあって思うし、
イマイチな時はイマイチだなあと感じるけど、
それはそれでべつにいいんじゃないかな、
っていうかんじ。

それ以上大事にしてこだわる気持ちにはならない。

はい。こんな風になったら、
もう普通の「作曲家」はできませんね。

だって、究極、
音楽のことなんてどっちだっていいんだから。

みんなが「よいもの作ろう!」
「もっとこうして、ああして!」って熱くなって
微細な違いにこだわって突き詰めている制作の現場に
こういう人間がいたら迷惑だろうと思うし、
そもそも意味がわからないでしょ。

それ以前に私自身が、
もうそういうエネルギーで生きられないなと思う。

だから、もう私は
これまでのような作曲家では在れないし
これまでのような仕事の仕方はもうできないと思うのです。

それが、私の「これまで」。

また長くなりました。次回へ続く。

音楽に留まるな。何のための音楽なんだ。

次はそこですよね。

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