カウンセリングでクライアントさんに関わっていて、うれしい瞬間というのはいろいろあります。
その一つは、長年縛られていた思い込みを「これが思い込みか!」と気づかれて「あー!!」となる時。
思い込みというのは、思い込みと気づかずに「事実だ、真実だ、そういうものだ」と思い込んで、
何の疑問も持たずに従ってしまっていることをいうのです。
そしてその状態が当たり前になっていて、当たり前に苦しい、しんどい。
その「当たり前」以外を知らないから、いつまでもしんどい。
多くの方がそういう状況でカウンセリングに来られます。
だからまず最初の段階で、「それが思い込みだったのだ」と気づくというのは、それだけですごい次元の飛躍なのです。
これには「自分の姿を第三者として見る」という視点の転換が必要です。
しかもそれは「第三者として見よう」という心がけだけでは難しくて
ある意味、なんか知らんけどそれが「起こる」という、恩恵の瞬間ともいうべきものが訪れた時に、起こるのです。
カウンセリングは、それが起こりやすくなるプロセスを意図的に作り出し、
クライアントさんもカウンセラーも、共に流れに乗れるよう舵取りをしていくようなものです。
そして、その「あー!!」という気づきの瞬間が起こった時、その方の存在の次元がほんとに変わります。
とらわれて、こだわって、人に怯えて、自分を責めて・・・とやっていたさっきまでの「その人」が突然、
非常にスッキリ、かつパワフルな、まるで菩薩のような「智慧者」に、その瞬間なるのです。
そして心から笑顔があふれて「あー!そうだったんだ!なんだ!そうかー!アハハハ!」となります。
本来のその人の輝きや魅力というのが、空気のようにあふれます。
その時こそまさに、枯れ木から芽が出た瞬間、花がほころんだ瞬間 のようです。
セッションを重ねる中でクライアントさんは、そんな瞬間を何度も体験しながら、それまで「当たり前」だった場所から、知らないうちに違う場所へと足場を移しているものです。
気がついたら季節はもう変わっていて、いつのまにか葉っぱがあるのが当たり前になって、いずれどんな実がなっていくのかも、なんとなく見えてくる・・・
そんなふうになったらだいたいセッションは卒業です。
そのような瞬間に立ち会い、プロセスをご一緒していくのは、カウンセラーやセラピストという仕事の醍醐味ではないかと思います。
前回の記事の「枯れ木の中に花を見る」ということの続きは、こんなふうにして起こります。
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