■「進ませない」もう1人の自分
「前に進もう」とする時
「進むな」というもう1人の自分が現れます。
「進んではダメな理由」をたくさん挙げてきます。
「変わろう」と思う時
「変わるな」というもう1人の自分が現れます。
「変われない理由」をたくさん挙げてきます。
「やめよう」と思う時
「やめるな」というもう1人の自分が現れます。
「やめてはいけない理由」をたくさん挙げてきます。
「進みたい自分」と「進ませない自分」
この2人は、必ず同時に存在します。
何かやったことのないことをしようとする時、
必ず反対するもう1人の自分がいるはずです。
そういうものなのです。
自分の中に必ず、そういう2人がいることを知った上で、
両者を眺め、両者の言い分を聴き、
どちらの言うことを信じるのか。
それを決めるのが「本当の自分」。
このように、自分の中の2人の自分がこんがらかっている時、
セッションでは、実際に2人のキャラクターを立てて対話をしてみることがあります。
2人それぞれに、それぞれの言い分を言いたいだけ語ってもらうと、
だんだんと2人の話がかみ合うようになってきたり、
お互いに相手のことを理解するようになったりして、
整理がついてくることがあります。
そしてその2人を統括する「本当の自分」が、
本質的で腑に落ちる答えを導き出したりもするのです。
■「進ませない自分」の正体
そして、私の行っている個人セッションではさらに、
「進ませない自分」というものにもう少しフォーカスして、
その正体を見抜いてみよう・・・というチャレンジに至ることがあります。
それが即ち「ビリーフ」の探求です。
「進ませない方の人」には、その人なりの信念があります。
そんなにも頑なに「進ませるものか!」とがんばるのには、
がんばるだけの理由とポリシーがあるのです。
「〇〇をしたら、△△になってしまう」とか
「△△とは、××であることを意味する」とか。
「自分は□□だからムリ」とか。
このような信念やものごとの定義付けを「ビリーフ」といいます。
ここで言う
△△や××とは、絶対に避けたいような恐ろしいことであり
□□とは、自分に対する低い見積もりです。
だからこそ
「□□な自分が、〇〇なんかしたらたいへんなことになる!」と言って
一生懸命「〇〇なんかしちゃダメだ!」「進ませないぞ!」と
がんばってくれているのです。
それは、生きるために身につけて支えにしてきた「杖」ではあるのだけど、
残念ながらもう耐用年数が切れている可能性があります。
子供の頃には役に立ってくれたけど、
大人になったらもう短くて邪魔になるだけ・・・みたいな「古い杖」であったりします。
補助輪付きの自転車。
子供用のお洋服。
その時は、自分にちょうどよく、うまくいっていたもの。
でも、もっと成長して、もっと自由に行動したい!
もっと自分らしく駆け回りたい!
という段階になったら、かえって制限になったり、邪魔になったりするもの。
「進ませない方の人」が持っているビリーフとは、
そんなかんじのものなのです。
■「進ませないモノ」を取り除く
だから、セッションでは、
その古くて制限になっているビリーフを明らかにして
ご自身が「もういらない」と決めたのならば解放する、というワークをします。
進みたいのに、
変わりたいのに、
やめたいのに、
なぜかいつまでたっても踏み出せない・・・という時
「進ませないモノ」は何か?という視点で考えてみることは
たいへん有効だと思います。
そこを見ることなしに、やみくもに
「やらなきゃ!」「変わらなきゃ!」と元気を出そうとしても、
川の流れを石が塞き止めているようなものなので、難しいのです。
塞き止めていたものを取り除くことができたら、
自然と流れるものは流れてゆく・・・私はそう考えています。
次回は、「やめたい」でも「やめられない」という心理を例にとって
ビリーフの具体例を考えてみたいと思います。