日本の民謡、以前から好きで時々聴いたり、まねっこで口ずさんだりしています。
特に船乗り系の唄に好きなものが多いです。
私の知る範囲の中での、本当に個人的な好みに過ぎませんが、ちょっとご紹介。
ソーラン節(北海道)、大漁唄い込み(宮城)
とっても有名。わかりやすいメロディーで、
いかにも漁師船での労働歌といったテンポとノリがいいですね。
最上川舟唄(山形)
これは昭和になってからの新作なのですが、作者の方達の気合い十分で、
地元情緒と品格を兼ね備えた名曲だと思います。
鱈釣唄(北海道)、十三の砂山(青森)、秋田船方節
これらは、海風を感じるような、ちょっと哀愁のある節回しで、
海の厳しさや船乗り稼業のつらさも歌われて、グっとくる唄です。
「つらい船乗り、もうやめようと思っても、港に帰ってきて妻や子供の顔を見たら、
やっぱりやめらんないヨ」 といった意味の歌詞(秋田船方節)など、
いつの時代も変わらないお父さんの心。
続いて、海の唄ではないですが
俵積唄(青森)、秋田音頭
は、生きのよいリズムが現代にも通じる、楽しい唄。
俵積唄は、億万長者の旦那さまを讃える祝い唄で、
大げさなキンキラキンぶりがなかなか笑えて、ホントにめでたいです。
弥三郎節(青森)
これは異色。暗くて寂しーい「いびられる嫁」の嘆き節。
実際にあった家の実話からできた唄だそう。
なんともやりきれないんだけど、なぜかしみる。
実際にこれを歌って日々のなぐさめにした嫁さん達も多かったのでは。
秋田長持唄
これは娘を嫁に出す時の、お父さんの愛情に満ちた唄。
温かくのんびりとした中に、行ってしまう娘への切ない気持ちがほんのり香ります。
長崎浜節
さて、突然九州ですが。
浜節といっても、船乗り由来ではなく、お座敷由来。
「長崎ぶらぶら節」という映画で取り上げられた、丸山芸者・愛八の作で、
粋なお座敷情緒いっぱいです。
余談ですが、ドラマ「龍馬伝」で、長崎のお座敷で芸者・おもとが踊る時に
チラリとかかっていたような気がしました。(ホントは時代が違うけどw)
牛深ハイヤ節(熊本)
全国に数ある「ハイヤ節系」と呼ばれる類曲の元祖とも言われる唄。
港に集まった漁師達が、お座敷で浮かれ騒いだ唄だそうで、
テンポの速いたくましいリズムと
「鍋釜売っても酒盛りゃしてこい!」という威勢のいい囃子詞など、
ワイルドなエネルギーに満ちています。
この歌が、船乗りによって各地へ伝わり、鹿児島ハンヤ節、阿波踊り、
佐渡おけさ、塩釜甚句(宮城)、津軽あいや節、その他多々・・
になっていったと言われています。
民謡っていうのは、私にとってはなんとなく
「脳の一番古い部分」みたいなところがが刺激されるような、というか
ちょっと普通の音楽で使うところとは違う場所が疼く音楽ですね。
それはきっと、「土地と人」という濃い関わりの中で長い年月育まれたことで、
唄に宿っている自然的なパワーが強いせいかもしれませんし、
日本人にとっての「お醤油」みたいなもんで、日本人の根本感覚なのかもしれません。
しかも、こうやって挙げてみると、私の好きな曲はどうも北海道・東北が多い。
実は、ウチの父方の家系は東北系なんですよね。
と言ってももう何代も前のことだし、
私自身が直接、祖父祖母が歌うのを聴いたとか、そういうのは全然ないので、
目に見えるような影響はないはずなんです。
しかし、東北系の唄を聴いた時に感じる、妙に「細胞にしっくりくる」感覚・・・
それってやっぱりDNAとか、潜在意識とか、
よくわかんないけどそういうヤツなんですかね。
そう考えると、母方の家系は横須賀だったりもするので、
船乗り唄に妙に響くのもやっぱりそういうこと??
「土地の唄が血に響く」ってね。
そんな仮説に想いを馳せると、ちょっと楽しいです。
その仮説によるなら、例えば全く民謡に触れずに育ったような人でも、
ある時、各地の民謡を聴き比べてみたら、
一番ビビっとくる唄はやっぱり家系に関わる土地の唄だった・・・
なーんてことがあり得るんだろうか。
そんな実験データがあったら楽しいなあ〜。
残念ながらご紹介した各唄、You Tube 等リンクしないで申し訳ありません。
私の持っているCDでおススメしたいのもあったのですが、
廃盤になっているものも多くて、とりあえず1枚だけ。
きっと色んな音源も出ていますから、興味があれば探してみて下さいね。