「稼いで家族を養う」ことがお父さんなりの愛だった

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こんな「お父さん」の物語

セッションで多くの方の親子関係を扱っていると、お母さん像やお父さん像にいくつかの共通するパターン傾向が見えてきます。

その一つ。

今日はこんなお父さん像のことを書いてみたくなりました。

特定の誰かではなく、多くの方のお話から共通して浮かび上がる
いわゆる「典型的なニッポンのお父さん」像です。

 

まじめな仕事人間、会社人間。
責任感を持って家族を養っているけれど、子供のことは妻に任せている。

家ではわりと無口。あまり感情を出さない。
感情を出すときは文句を言う時か怒る時。

だから子供から見て、お父さんは「怒る、こわい人。」

 

子供である自分に対してもこわいし、気持ちをわかってもらえる感じもしないけれど
お母さんにもしょっちゅう怒ったり文句言ったりしているのが嫌だった。

お母さんは「しょうがない」とあきらめて従っている。
そんなお母さんがなんだかかわいそう。

だから、子供である自分から見るとお父さんは、こわい人。よくわからない人。気持ちをわかってくれない人。

お父さんには、家族への愛がないんじゃないか・・・?

 

そんな釈然としない思いをお父さんに対して持っていた方もとても多いです。

おそらく100人以上の方から、こういうタイプのお父さんの話をうかがいました。

でもね。セッションを深めていくと、だんだんわかってくるんです。

 

こういう典型的な「ニッポンのお父さん」はね、

「ちゃんと稼いで家族を養う」

ということが至上命題であり
それが男の責任であり、
責任=愛、なんですね。

「ちゃんと稼いで家族を養う」ということが、お父さんにとっての、家族に対する愛の表現なんだなあ・・・

ということが、私もだいぶわかるようになった気がします。

「ニッポンのお父さん」に「気持ち」を語る回路はない

不器用だからね。

「愛」なんて顔は全然しませんし、
本人にそんな自覚もありません。

「家族なんだから当然だろ。」みたいなかんじ?

昔ながらの「ニッポンのお父さん」には、「感情」とか「気持ち」を語るという回路がありません。

これに関してもっと詳しい記事

 

そんなものは切り捨てて、ないことにしないと、男として生きてこられなかった歴史があるからです。

 

感情だの気持ちだの、そんな女々しいこと言ってたらコッパずかしくてやってられないし、
「だいたい、それって何?」ってかんじなのです。

だから、家族、女・子どもに「気持ちをわかってくれない」のなんのと言われても

何を言われているのかよくわからないのです。

だって、「稼いで家族を養う」という責任はこんなに一生懸命果たしているから。

 

「だって、こんなにちゃんとやってるだろう!?何をそんなに言われなきゃいけないんだ!?これ以上いったい何をしろと!?」

 

そんなかんじかもしれません。

そうするとお父さんも、なんだかわからないけど無性に寂しくて

「誰もオレの気持ちをわかってくれない!」と、お酒を飲むしかなかったりするのです。

 

でもね。
お父さんには、「愛」がないんじゃないんです。

昔ながらのお父さんにとっては「稼いで家族を養う責任」が愛だから。

その責任を果たしていることが最上の愛の表現・・・(のつもり)なんですね。

 

しかし残念ながら、「感情」という形で、あるいは「気持ちのやりとり」という形で愛を感じたい妻や子どもには、なかなかそれが伝わりません。

彼女らにとっては、愛とはまさに感情であり、気持ちであるから。

残念ながら、感情や気持ちを切り離したお父さんには、そういう愛の回路がなかった・・・・

 

これが、お父さんと妻と子どもとの間の溝やすれ違いの一つの要因であるなあ、と感じます。

だから妻や子どもは諦めちゃうんです。

「この人に言ってもムリ」と。

 

でも、セッションを深めるうちに「お父さんはそういうことだったのか!」という理解が起きると、皆さんとても安心されます。

「なーーんだ、お父さんはそういう(愛の)回路がなかったんだ。あー、確かにないわ(笑)」と。

 

愛がないんじゃなくて
「回路」がない。

ということを認めちゃうと、以外とスッキリするんです。

ないものは仕方ないですもんね。

 

しかし一方で、

家族を養うことに関しては必死にキッチリやってくれていたこと。

それがお父さんの、お父さんなりの愛の表現であったことを知って、とてもホッとされます。

そこに「赦し(ゆるし)」がおきます。

赦しとは、「それでよかった」と思えることです。

お父さんはそれでよかった。
あれでも愛だった。

そう思うことができた時、その方の中の荷物が一つ軽くなります。

 

時代だからね。あれでも愛だったんだ

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感情を切り離して生きる、ということは

人間存在全体からいうと、いわば「片肺で生きる」ようなものだと私は思います。

そこにはいろんなアンバランスが生じることになるので、そうやって生きざるを得ない「昔ながらのニッポンのお父さん」は
本当に不自由でたいへん。

まわりの家族も、それはそれでたいへんです。

 

でも、しょうがなかったからね。
時代だからね。

これからの時代の男性はどんどんそこが変わっていって「感情・気持ちの言葉」を語れる男性も増えていくことでしょう。

その点は、これからに希望が持てるところだと思いますが、

とりあえず現状、自分のお父さんが、そういう「ニッポンのお父さん」だった、という方は

「あれでも愛だったんだなー」と受け止めてあげるのも、愛のある受け止め方かもしれないなー、と思うのです。

 

これも、私が多くのクライアントさん達から学んだことです。

皆さまに感謝を申し上げたいです。

そして、愛=責任として黙々と働いてきたニッポンのお父さん、

おつかれさまと申し上げたいです。

 

 


この記事を書いた人

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大塚 あやこ

心理カウンセラー/講師/音楽家
一般社団法人ビリーフリセット協会 代表理事
ビリーフリセット・クリエーションズ株式会社代表取締役
 
東京芸大作曲科卒。演奏家・作編曲家として20年間第一線で活動後、燃え尽き体験をきっかけに人生の転機を経て心理カウンセラーに転身。
悩みの根本原因に素早くアクセスする独自メソッド「ビリーフリセット®」を確立。個人相談から企業研修まで幅広く展開し、協会認定カウンセラーを多数輩出。Udemyオンライン講座「はじめての傾聴」は2万名超の受講者を誇る常時ベストセラー。 心の構造を論理的にモデル化する独自アプローチが、ビジネスパーソンから高い支持を得ている。

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