お父さん、感情を切り離すの、ヤバイです

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「お父さんの感情」が家族に与える影響

おかげさまで、いろんな方が個人セッションに来てくださいます。

性別、年齢、職業や背景はそれぞれだけれども、ご相談くださる「心の限界」というものの正体を掘り下げていくと、結局行き着くのは、育った家庭での親子関係だといえます。

多くの方の例を見ながら、共通する大きな傾向として、最近感じることがあります。

それは、

お父さんが、自分の感情をないことにしていると、家族みんなが苦しむことになる

ということ。

だから

お父さんが感情を取り戻すこと大事!

お父さん、感情を切り離すの、ヤバイです!

と言いたくなってくる今日このごろです。

「感情の領域」が存在しないお父さん

セッションで皆さんのお話を聞いていると

「家の中に存在感のないお父さん」
「話が全然通じないお父さん」
「妻や子供の気持ちが全くわからないお父さん」
「男は稼いでいればいいとだけ思っているお父さん」
「家では食べることとテレビにしか興味がないお父さん」
「やりきれない気持ちを妻や子供にぶつけるお父さん」

などがよく出てきます。

もちろん、子供の立場から見たお父さん像です。

そこから浮かび上がってくるのは

こういうお父さんたちには
「感性や感情」という領域が存在しない

のではないか・・・・?
ということ。

いえ、本当は存在していても本人がその存在を認めていないか見えないところに埋めてぴったりフタしちゃったような感じで、事実上、そこは空白といってもいいでしょう。

だから、意識上は
「べつにない。わからない。」
なのですよね。

長年、感情というものに一切フタをして「こうあるべき」に自分を合わせ続け「やるべきこと、やらねばならないこと」ばかりに邁進し続けるとそういうことになります。

 

感性理性のフタ.005

そもそもお父さん自身が自分の気持ちなどに目を向けたことがないから家族の気持ちに目を向けるという回路がないし「気持ち」とか言われてもよくわからないのです。

参考記事→
人の気持ちがわからないのは自分の気持ちがわからないから

わかってもらいたいお母さんとのすれ違い

さてお父さんがそんなだと、家族はどうなるか。

まず、お母さんがイライラします。

「話を聞いてくれない。気持ちをわかってくれない。」と怒ったりするでしょう。

女性は基本的に「気持ちをわかってもらいたい生き物」なのです。

へえー。それはたいへんだったね。
そんなに辛かったんだね。
寂しい思いをしたんだね。

ああ、それはうれしいねえー。
へえー、よかったねー!

などと、感情をただそのまま受け止めてもらえたら「わかってもらえた」と満足するのです。

けれど、お父さんは「気持ち」などというものにはチンプンカンプンなので、「だったらこうすればいいじゃないか。」とか

「そんなグチ言ったってしょうがないだろ。」とか言って一蹴したりするんですよね。

「疲れてるのに、そんな話を聞かされてもめんどくさい。」と感じて相手にしなくなるし

奥さんが「わかってくれない」と言って怒り出すと

「俺はこんなにちゃんとやってるじゃないか。これ以上一体何をしろというんだ!?」

と逆ギレしたくなることもあるでしょう。

そんなお父さんが、いざ家族に何かモノを言うときは、「相手の気持ちを受け止めてやりとり」などという回路はないので自分がいいと思うことを一方的にバーン!と言うことになったりします。

そうなんです、お父さんには「気持ちをわかる」という回路がない。

「やるべきことをやる」という回路だけを高度に発達させてきたのだから、しょうがないんですね。

責めて怒鳴るお父さんの感情は?

一方、すぐ怒って家族を責めたり怒鳴ったりするお父さんは一見したところ感情が激しいように見えますが、実はちょっと違います。

そういうお父さんは、自分の本当の気持ちを感じたくないのです。

その怒りはある意味「ダミー」だと言えます。

本当の気持ちとは

寂しい
つらい
悲しい
虚しい

恐い
不安だ
自分はダメなんじゃないか

わかってほしい
大事にしてほしい
見捨てないでほしい

助けてほしい
そばにいてほしい

そんなとてもデリケートな心です。

お父さんが心の奥で感じているのは本当はこんな気持ちだったりします。

お父さんだってほんとのほんとはわかってほしいんです。

でも

そんな弱っちくて、甘ったれた気持ちなんか、男は持っちゃいかん!

とすりこまれているから、自分にこんな気持ちがあることなんか認めるわけにはいきません。

絶対に表に出すわけにはいきません。

こんな気持ちを感じたら余計みじめになってしまいそうだから無意識に全部「怒り」に変換します。

とりあえず怒っていれば強そうに感じられますしね。

他人にぶつけていれば、自分を見なくてすむでしょう。

もちろんそこまで頭で計算しているわけではありません。

無意識に、気づいたら責めてた、怒鳴ってた、暴れてた・・・。

そうやって「黙ってるか・お酒飲んでるか・怒鳴ってるか」っていうタイプのお父さんというのは、やはり気持ちを感じないようにしているという点では同じだといえます。

そして家族はこんなふうになる

「気持ち」がわからないお父さん。

そうすると、だんだんと妻や子供は

「お父さんは私の(僕の)気持ちをわかってくれない。」
「あの人に言ってもしかたない。」
「もう望まないから、いい。」
と諦めるようになります。

お父さんを諦めたお母さんは、「気持ちのエネルギー」の注ぎ先を子供に向け始めます。

何をどんな形で注ぎこむかはそのお母さんの性格によって異なりますが、その注ぎ込み方が過剰になると、こんどは子供が圧迫されるようになります。

お母さんの「気持ちのエネルギー」は、往々にして「お母さんのやむにやまれぬ気持ち」であったりして、それは必ずしも「子供の気持ち」とは関係がない・・という場合も多々あります。

そうしますと、子供は、そもそも気持ちがわからないお父さんに加えて「自分の気持ちを過剰に注ぎ込んでくるお母さん」というものも引き受けざるを得なくなったりします。

結局子供は、お父さんにもお母さんにもわかってもらえた、共感してもらえた、受容してもらえた」という体験をほとんど持たずに育ち、自分の気持ちに自信が持てない子になっていきます。

わけのわからぬ乾いた心を抱えて、大人になっていきます。

気持ちなどというものはそもそも諦めて、さっさと自立して人に期待しないドライな人になる人もいます。

わかってもらえない悲嘆に何年も沈んで社会に出てからも、痛い人間関係を繰り返す人もいます。

お母さんから注がれる過剰な気持ちに応えなければ・・・でも自分にはできない・・と葛藤する人もいます。

そんな不幸そうな(のように子供からは見える)お父さんやお母さんを幸せにしなきゃと
、無理ながんばりをし続ける人もいます。

引きこもったり、病気になったりする人もいます。

そんなさまざまな子供が、それぞれの渇きを抱えて大人になっていきます。

 

でもね、そういうお父さんやお母さん、そういうお子さんをいけない!と言っているのではありません。

 ただもう、深く「仕方ないね・・・」と溜め息をつくほかありません。

 

誰が悪いのでもありません。

みんな、やむを得なくそうなったのだから。

そういう状況にあれば、そうなってしまうのが人間だから。

色々傷だらけな人間同士が作った家族ですから。

相互関係から生まれる家族のエネルギーがそうさせるのですから。

せつないけど、仕方ないね。

 

でも、大丈夫。
もしあなたがそんな家族の元でシンドイ思いをしていたとしても決して「仕方ない」で終わりではありません。

気がついた人から、転換することができるからです。

きちんと自分の心に向き合って、絡まったヒモをほどいていけば

いつからだって人生を変えていくことはできるのです。

まずは、気がついたあなたから。ね。

理性重視・感性無視が生む歪み

繰り返しますが、くれぐれも「だからそんなお父さんはダメだ!!」と言っているのではないのでね。

お父さんだって、たいへんだ。
お父さんだって、せつないよ。

だってしょうがないでしょう。

これまでの時代に男として生まれてきて理性と合理、結果重視の会社社会に適応しようとしたら

感情やら気持ちやらなんてことは、切り離さなければやっていけないでしょう。

子供の頃から「男は泣くな!」とか言われて育つわけだし。

一生懸命働いて稼いでくることが家族に対する愛情だと信じてがんばってきたわけだし。

お父さんだって、精一杯だ。

しかし。

それはこれまでの時代の価値観であったといえます。
今、時代は変わりつつあります。

理性と感性
頭と心
行動と感情

本来両方あって人間です。

どちらか一方をないことにしていたら、バランスは大きく崩れてしまいます。

そのバランスの崩れが、一つは家族というものに出るのではないかと感じます。

過剰な理性重視・感性無視

このことの弊害が、家族関係の歪みのみならず鬱やさまざまな神経症・心身症の増加にも
つながっているのではないかというのが、日々現場で皆さんに接している私の立場からの実感です。

男性が感性を取り戻したら

もちろん、感情を切り離してしまうのは男性ばかりではありません。

女性だって、感情を切り離して人のため、仕事のためとバリバリやるしかない場合もあります。

でも、女性はもともと男性に比べて感情への親和性が強いところがあるので、比較的ハードルが低いのです。

男性ほど「重症」にならない場合が多いといえるでしょう。

もちろん女性にだって、それぞれの課題というものもありますがそれはまた別の機会にするとして。

やっぱりここに関して、鍵は男性かな、と。

お父さんかな、と。

男性が感性を取り戻し感情を取り戻し自分の素直な気持ちを認め、受け止め
それを率直に語る言葉を持ったら。

それを本当に大切な人と分かち合うことができたら。

何よりその方自身が、肩の力が抜けて自然な自分らしさを取り戻すでしょう。
そうすると、

パートナーシップが格段によくなるでしょう。

夫婦で気持ちを受け止めあう会話ができるようになるとそのやわらかな空気はすぐに、
お子さん達にも伝わっていくでしょう。

男性がもっと、感性と本当の感情を取り戻したなら

砂漠のような地面はうるおい、
今まで生えなかったような芽が芽生え、
美しい花が咲く
居心地のよい場所になるかもしれません。

 

といってもまだ、社会がなかなかそうはさせないから・・・・という面も確かにあるかもしれないですね。

でも、時代が進んでいる方向は明らかにこっちだと私は確信しています。

確実に一歩ずつ今までとは違うふうに考え、感じ、行動しはじめる人たちが増えていることも、私は確かに感じています。

 

 


この記事を書いた人

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大塚 あやこ

心理コンサルタント/作曲家/ピアニスト
一般社団法人ビリーフリセット協会 代表理事
 
東京芸大作曲科卒業後、演奏家・作曲家として活動。アーティストのツアーサポートや編曲、アニメやドラマのサントラ作曲等を手がける。
 
音楽での燃え尽き体験をきっかけに、心理カウンセリング/セラピーへ転身。
悩みの根本原因に迫るオリジナルメソッド「ビリーフリセット®」を提唱し、前に進みたい人、人生の転機に直面した人などを新しいステージへと導く個人セッションや講座を開催。「ビリーフリセットで人生が変わった!」という人多数。カウンセラー養成講座も開催し門下の認定カウンセラーを多数輩出している。
その他、心と意識をクリアにするサウンド瞑想など、独自の立ち位置で音楽制作やライブイベント等も行っている。

◎一般社団法人ビリーフリセット協会代表理事
◎淨音堂株式会社代表取締役

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