近ごろ、個人セッションや色々な学びの中であらためて感じるのは、
家族の重要性です。
それは、大人になって作った今の家族もそう、
生まれ育った家族(いわゆる原家族)もそう。
今の家族や近しい人の間で
何らかの苦しみを感じている人はたくさんいますし、
生まれ育った原家族でとっても苦しい思いをした人も、
星の数ほどいるでしょう。
というより、人間として生きる限り、
その苦しみに出会わない人はいないと言ってもよいでしょう。
どのくらい自覚している・していないはともかくとして。
心理学的な見方をすれば、
今の家族や近しい人との間で起こっている問題や、
ついやってしまう自分の「痛いパターン」などの原点には、
ほぼ必ず、生まれ育った原家族の関係性が影響しているということになります。
ですから、今の苦しさや問題を解決しようと思えば
どうしても、原家族の関係性にまで時を遡っていくことになる・・・。
また、そこか。
結局、そこか。
やっぱり、そこか。
と思うけど、やっぱりどうも、そこなんだなあ〜〜。
色々なセッション経験を重ねさせていただくほど、
そして、色々な学びを重ねるほど、
やっぱり、そこなのか!
と何度も、そのことを痛感せざるをえません。
家族。家族。ああ、家族。
濃くて密なる、嫌気がさすけど愛おしい
愛と憎しみの泥沼。
もつれ、歪み、潜伏し、時に暴発する
感情と関係の迷宮。
愛と我慢と「よかれ」がねじくれて
恐ろしいものに変わってしまう魔境。
どうしてそうなるのか。
なんでこうなっちゃうのか。
深〜い理由と必要(ニーズ)とカラクリが
お互いの内側にうごめいている。
しかも全部、無意識。
自分じゃ気がついていない。
これは一筋縄じゃあ、いかないもんです。
で、本当に今をスッキリと、前向きに充実して生きてゆくためには、
やっぱりそこのところを「ほどいていく」プロセスが必要・・・
ということになるんですね。
■あえてそこを「ほどく」必要があるのか
もちろん、もしもあなたが
家族というものに対して、心から愛を感じ、
楽しく歓びと幸せをもたらしてくれるものとして味わっておられるなら
それはもう、おめでとうございます!
どうぞその幸せを大切にしてゆかれますように。
そして、もしもあなたが
自分の育った家や家族をあまり好きになれなかったり、
そのことは触れたくない、いまさら考えたくない・・・
という気持ちがあったとしても
それは特別なことでもなく、恥じるようなことでもありません。
むしろ、たぶん、それはとってもありふれたこと。
みんな、とりあえずそんなことは口に出さないだけで。
水面の上ではきれいで幸せそうでも
水面の下には別のものがうごめいていたりもするものです。
そして、矛盾するようですが、
たとえそうだとしても、
あえてそこを引っぱり出して「ほどく」必要が絶対にあるのか、
といったら、そんなこともありません。
そっとしまってそのまま、そこそこ、なんとか生き抜くことができて、
それで満足ならそれでもいいのです。
けれど、本当に苦しい人や、絶対にこの状況をなんとかしたい人、
本当に人生を変えたい人にとっては、
そんなこと言ってる場合じゃなくなる時が、来ることがあります。
追い込まれてでも、仕方なくでも、やむを得ずでも
自分の痛みを認めて、
地獄の釜のフタを開けなければ気が済まない心境になった時。
それが自分にとって必要だ、と心の深くで感じてしまった時。
その時こそチャンス。
これまでの積もり積もった痛みを癒し、
なぜこうなってしまうのかの謎を解き、
もう二度とそんな苦しみを繰り返さないように変化し、
押し込めて生きられなかったもう一人の自分が
のびのびと自分らしく生きることへと踏み出すような
そんな変革のチャンスが、その時に訪れるのでしょう。
そして、それは
本当に自分を好きになって、
この自分で生きていっていい、この自分でやっていける・・・と
深い安心を取り戻す道のりでもあります。
苦しんだ人だからこそ見ることができる
新しい人生の景色があるはずです。
それを思った時、
そんな転機に立ったクライアントさんに
少しでも有効なサポートができるよう、そこに立ち向かうためには、
今の私にはまだまだ知らないことがあると感じます。
家族理論というのは、ものすごく奥深いものです。
だから、もっと知りたい。知らなくちゃ、という気持ち。
家族という謎の深海への旅が、もう少しわかりやすくなるように、
もっと勉強して、理解したいなーと感じます。
だから最近は、家族関係とその心理について書いてある本ばかり読んでいます。
一方、これまで通りビリーフ・システム理論は、
私にとってパワフルなツールの一つとして定着しています。
これは、今、何が苦しみの大元になっているのかを、
かなりの精度で追求できるもの。
まさに「今」にフォーカスするだけでOKなところが
たいへんシンプルで私は気に入っていますし、
嫌なパターンの繰り返しにストップをかける、というところに関しては
かなり有効だと思います。
けれど、もちろん
それだけで全てがOKなわけではないことがわかります。
一つの理論や手法やメソッドだけでは決して語り尽くせないのが、
人間という存在の奥深さだろうと思います。
やはり、人間の原点である「家族」というものが何であるのか。
そこで何が起こってどうなってしまうのか。
重くてしんどいものではあるけれど、それゆえに
避けては通れないものなんだなあ、と感じるこのごろです。