1980年代、ブレードランナーという映画がありました。
近未来の都市、巨大な工場地帯、林立する煙突からガス炎が上がる・・・・
冒頭の名シーンです。
あの圧倒的な風景に、ドキドキするような美しさを感じた10代の頃。
その後、首都高横羽線を車で走るたび、羽田の先に、まさにあの映画のシーンと同じ、
炎を吹く煙突群の工場地帯が現れるのが楽しみで仕方ありませんでした。
(実際、R・スコット監督は日本であの風景を見たのがヒントだったのだそうです)
そんな工場にドキドキ、ワクワクする気持ちを「工場萌え」と称し、
一つの趣味ジャンルとして認知させてしまった本があったことを、今頃知りました。
なんだー、あの頃知っていれば間違いなくハマっていただろうに。
今は、過去の自分を少し思い出して、冷静に楽しい。
そんな本二冊に出会いました。
これが、いわば「火付け役」的な本ですね。
写真と共に、工場鑑賞ガイド本としての文章も豊富で、
実際に自分も工場巡りをしてみたいという人にはよいでしょう。
一方で、文面がわざと軽くふざけた調子なので、
面白いと思う人と、うっとうしいと思う人と分かれるかも。
そして、今年出たのがこれ
こちらは写真が豊富でコメントは一言のみ。細かい解説はなしで存分に写真が楽しめます。
写真の質もたいへん美しく、満足です。
タンクに煙突、這い回る無数のパイプ、
整然と張り付く階段とキャットウォーク。
怖いけど惹かれてしまう。
醜悪なようで美しい。
そんな、整然と混沌の入り交じった不思議な美しさを楽しんでみるのも、
なかなかおすすめです。