自分にOKを出して前に進む!

人生最後の大切な歌

Stairway to the sky

人が最後を迎える時、
音楽は音楽ゆえの大切な役割を果たすことができるのではないか・・・・
そのような観点で以前記事を2つほど書いたことがあります。

お見送りの音楽(2012年7月30日)
昇天の音楽(2013年5月21日)

このテーマはおそらく今後の私にとって、ますます重要な位置を占めていくような気がしています。

時代の流れとしても、ここ数年エンディングノートという言葉が知られるようになったり、よりよい人生の締めくくりとしてどのような場所でどのように最後を迎えるか、ということを積極的に考えていこうとする方達も増えているようですし、終末期のケアとしての音楽療法という分野は、これからますます必要とされていくのではないかと感じています。
実は、私がそのように感じるようになったきっかけの出来事というのがありました。そのことを、今日はご紹介したいと思います。(関係の方のご了解を頂いています)

■車いすの患者さんから手渡された「紙」

2年ほど前、ある緩和ケア病棟に先輩のご縁を得て、音楽療法の見学を兼ねてアシスタントをさせていただく機会がありました。
病棟の中にささやかでアットホームなロビースペースがあって、ピアノが置かれています。そこで毎週、先輩の音楽療法士Aさんがピアノを弾き、患者さん達のお話をうかがいながら音楽を選び、リクエストに応えたりして、音楽療法の時間が持たれています。
緩和ケア病棟ですから、皆で元気に歌を歌ったりするわけではありません。
状態の良い方は車いす、あるいはベッドのままご家族に運ばれていらっしゃり、静かにピアノの音色を味わう・・・・そんな時間です。
ピアノの音はなんとなく病室までも聞こえているので、病室で休みながら耳を傾けている患者さんもいらっしゃるそうです。

その日、先輩のAさんは、その場のピアノを私に任せてくださいました。
全体の雰囲気を感じて、ふさわしいと思われる曲を穏やかに弾かせていただきました。しばらくすると、ご家族に車いすを押されて老年の男性がロビーにやって来られました。やはりその方も先は長くはないであろう患者さんです。

その方は手に1枚の紙を持っています。
「これをピアノを弾いている人に渡したい」ということで、ご家族に頼んでわざわざ車いすに乗って、ここまで来てくださったのだそうです。

その紙に書かれているのは、何首か並べられた「短歌」でした。
入院生活で感じた気持ちを、折に触れて短歌として詠まれていて、その中でも特に、聞こえてくるピアノの音について詠んだ一つの歌を「ぜひピアノを弾いている人に届けたい」と思って下さったそうなのです。

全てご紹介してしまうことは遠慮しますが、ピアノの音が心に波のように迫ってくる・・・というような内容が、静かな格調をたたえて表現されていました。

「わあ、ありがとうございます〜!届けに来てくださったんですね!」とお話していると、その男性は
「あなたがこれにメロディーをつけてくれたら、きっといい曲になるよ。」
と言うのです。

あれっ、私はべつに作曲をやっているとか、どこ大学ですとか全く言っていません。私が作曲できる人間かどうかなんて、この方にはわからないはず。
なのにどうして!?

不思議でした。死を前にして研ぎすまされた感覚になった方ならではの「直観」なんでしょうか。それとも、ピアノを弾く人はみんな曲ぐらい作れると思われたのか・・・・それはわかりません。
いずれにせよ、これは何か大切なメッセージのような気がして、私はぜひそれにお応えしなくっちゃ!という気になりました。
「わかりました。メロディー、つけてみますね。」とお約束しました。

■世界でたった一つの歌、そして旅立ち

その日、帰りの電車の中で何度もその短歌を反芻し、メロディーが降りてくるのを待ちました。そして家に帰る頃にはメロディーとコードができていたので、楽譜に起こしました。さらに、お嬢さんがピアノを弾くとおっしゃっていたので、今後ご家族でも演奏できるように、簡単なピアノ伴奏譜も作り、その日の夜のうちに先輩のAさんにメール添付で楽譜を送り、次の出勤日に届けて下さるようお願いしました。

なにせ、時間がないのですから。
ぜったい間に合ってほしい。約束を果たしたい。
この曲をご家族と分かち合って、ご本人にとってもご家族にとってもかけがえのない時を過ごしてほしい。
だから、早くしないと!と思ったのです。

私が病院に行かせていただいたのは、その日1日限りのことなので、後のことは先輩Aさんにお任せするだけです。
その後、Aさんよりご報告いただいた経過を簡単にまとめてみます。

・お届けが間に合って、とても喜ばれ、涙されていた。

・病ゆえに、せん妄(意識混濁・幻覚・錯覚状態)がひどいが、いざ音楽になると覚醒され、表情も和らいでいた。

・この曲をフルート&ピアノで演奏した。看護師さんがその場面を録画し「何よりの想い出づくりになった」と感激していた。

そして、その3ヶ月後、患者さんは再入院の末、旅立たれたそうです。

・それまでの間、この曲を先輩Aさんのピアノで・歌と共に・フルートも入って・そしてご家族と一緒に・・・・と、いろいろな形で、何度も何度も奏でた。

・最期の時を迎える前日も、ご家族のご希望により病室でこの曲を奏でて、この方らしいお別れをされた。

先輩Aさんは、次のような言葉で語って下さっています。

まさに、音楽の力を感じずにはいられない『意識が薄れゆく中でメロディーにのせて何度も頷かれる』という光景を、ご家族と共に見守ったことが心に焼き付いています。

Closeup of old people hands holding together outdoor

私自身はお見送りの場にいたわけではありませんが、
旅立たれる患者さんとご家族の皆さんが、患者さんご自身の言葉で歌になった、世界でたった一つの曲をよすがに、心に響くお別れをされたこと。
そしてこの曲はきっと、患者さんが亡くなられた後も、ご家族の間でかけがえのない「お父さんの歌」として、お父さまの思い出そのものとして、ずっと生き続けるであろうこと・・・・

そのようなことを思うと、私の持てる力でそれをお手伝いさせて頂けたことが、私にとっても「良いお仕事をさせていただいた」と思える、心に残る出来事でありました。

■終末期の音楽療法とは

このように、緩和ケアやホスピスなど、終末期医療の場で音楽療法士として関わっている方が、日本ではまだ数は少ないですが、いらっしゃいます。
その方の人生の思い出の曲、歌に託してご家族に伝えたい気持ち、などをお話を伺いながら演奏したり、歌ってあげたりします。
明らかに「看取り」の場として、その演奏が患者さんの人生最後に耳にする音であることも当たり前のようにあります。

看取りというのは本来、ご家族と医療者のみに限られる特別な場。その特別な場に、他人であり音楽家である「音楽療法士」がいることが許されるということは希有なことです。
「それは、ひとえに、患者さんがご家族が、その場にいることを許してくださっているからです。」
と先輩のAさんは言われました。

「まず音楽療法士である前に、人間として在ることの大切さ」

これは、Aさんが語られた言葉でもありますが、音楽療法に限らず、心あるカウンセラーや心理セラピストが必ず語る言葉でもあります。

 「Doing よりも Being」(何をするか よりも どう在るか)
「スキル よりも メタスキル」(技法 よりも 技法を使う際の態度や気持ち)

それこそが、相手の方に与える最大の影響力となるのです。

だからといって、スキル、つまり音楽療法でいえば音楽力、がおろそかでよいわけではありません。
その方の耳に残る最後の音楽であるからこそ、音楽力が問われるのです。
だからこそ、真剣勝負。
人間性と音楽力がシビアに問われる一期一会の場が、終末期の音楽療法ということになります。

そして、そのような先輩との出会い、患者さんとの出会いをいただいた私の役割とは?
作曲家であり、心理療法を学んだ音楽療法士であるという、私の独自の立ち位置だからこそできることは?

そういうふうに考えると、この道は今後もぜひ探求していきたい分野であると思わずにいられないのです。

私が特別人間性に自信があるわけではありません。
どこまでいったらそれをやる資格があるか、という話でもないでしょう。

しかし、自分に向き合い、内面を見つめ、気づきを重ね、我を離れて自分自身がより自由になっていくことが、その仕事にふさわしい人間となる道であるということは、よくわかっているつもりであり、その探求をし続けていきたい気持ちだけは確かにあります。だから一生、精進しながらの道であるのでしょう。

その自己探求の道を、音楽という技術とつないでいくこと。
それが人さまの人生にも何らかのよい影響となり、お手伝いとなり得ること。

それが私のしたいことであるゆえに、終末期の音楽療法 〜 お見送りの音楽の可能性というのは、私にとって、残りの人生を通した長いスパンでのテーマの一つとなり得るのです。

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