会社でイベントをやりたい
自主開催でセミナーやイベントをやりたい
そんな局面に立つ方も一定数いるかと思います。
つまり主催者ですね。
イベント主催にあたっては、必要なこと・考えなければならないことは当然いろいろありますが、今日はこの話。
イベントで音楽を流したり
歌やバンドなど生演奏を入れたい
という場合。
パーティー会場で歌やバンドを入れたい
なども含まれますね。
ちょっと見、イベントにはよくあることですから普通にできそうですよね。
「ここで音楽鳴らしたいよね」
「演奏も入れたいよね」
「だよね、やりましょう!!」
うん、いいですね。
では、、、◯◯ はどうするつもりですか??
この◯◯が意外と重要です。
でありながら、あんまり真っ先に考える人がいないのが実情じゃないかと。
なので、今日はこの話です。
◯◯とは?
PA(ピーエー) です。
PAはイベントにとって超重要なのにもかかわらず、一般の方にとってはあんまりリアリティや馴染みがないのが実情だと思います。
だからこそ今日は、特にこれから音楽絡みのイベントをやってみたいと思っている方のための PA基礎知識をまとめてみたいと思います。
PAって何?
イベントで音楽を鳴らしたい
歌や演奏など、生でやりたい
主催者としてそう思ったら、当然考えることがあります。
演奏するのは誰?
曲は何?
それが歌手だとして、
バックは生バンド?それともカラオケ?
何人でどういう編成?
演奏者に依頼し、ギャラを提示し
スケジュール押さえる。
当日の進行やステージの時間を決める。
・・・などは、わりと思いつくんじゃないかと思います。
でも、音楽に慣れていない方にとっては、そこから先に想像が及ばない領域・・・それがPA。
PAとは、正式名称「Public Address」だと言われていまして、要するに「拡声」、つまり電気的に音響を拡大することです。
これが、イベントには不可欠。
音楽はもちろん、単に司会やトークだけだとしても、不可欠。
そう、不・可・欠!
欠けてはならないもの!
ということです。
ですから、イベントをやるということと、PAをどうするのか考えるということは、本来セットだといってもいいでしょう。
まずはそれくらいの認識を持っておいてほしいですね。
でもね、PAというのはそれだけ不可欠でありながら、なかなか一般の方にとってわかりにくい役割だと思います。
そういう事情もよくわかります。
普段リスナーとして音楽を享受する側でいるならば、そんなことは考える必要なく楽しんでいればいいのですから、知らなくても大丈夫だし、わからなくてもいいんです。
でも、イベント主催しようという方にとっては超重要!
イベント全体の質にも関わってきますから、ここからまず理解していきましょう。
PAがなぜ必要か
当たり前の話からで恐縮ですが、自然のままの人の声、楽器の音は、たいへん小さいものです。
それをイベントでは、会場中の全員に聞こえるようにする必要があります。
会場が大きければ大きいほど、より遠くまで、より大きな音で、より多くの人に、聞こえるようにしなければなりません。
実はそのためには、かなりの機材と技術と、人的資源が必要なのです。
最小は、レストランやライブハウスのような数十人レベル。
ホテルの宴会場、ショッピングセンターやイベントスペースのような100人〜レベル。
広い展示会場やホール・公会堂のような1000人程度レベル。
さらに大きな何千人規模のホールやアリーナ、
究極、何万人規模の球場や野外フェスなど・・・
そういうところで、来た人全員に聞こえるように、しかもある程度満足のいくような音質で音を届けるというミッションがPAという役割であり、通称「PAさん」あるいは「音響さん」といわれる職人の方のお仕事です。
会場が小さい場合、PAさんは1人で済みますが、当然、会場が広く人数が多くなればなるほど、投入すべき機材も技術も人材も膨大になっていきます。
なのですが、多くの方は、そこにどれほどの機材と技術と人的資源がかかって「当たり前のように」音が聞こえるのか、ということにリアリティがありません。
なんとなく「マイクとスピーカーがあれば音が鳴るんだろう」くらいのイメージでいらっしゃいます。(いいんですよ、一般リスナーさんはそれで)
ですが、そのことが全然「当たり前」ではなく、バックヤードでの不可欠の支えであり、表舞台やプログラムを考えるのと同じくらい重要なことと認識することが、主催者側として必要なことです。
ここでは話をわかりやすくするために、例として1000人程度のホール規模の音楽入りイベントを想定してみたいと思います。
PAは何をするのか
話す人のマイク、楽器の音を拾うマイクやコードが必要。
多くの方は、そこまでは想像できるようですが、ではその先、どうやってスピーカーから音が出ると思ってる?
というと「・・・・」という人も多いのでは。
「どこかにつなげば出るんだろう」とは思っていても、じゃあどこに?誰が?どうやって?ということですね。
あと、CD音源を流したい、楽器と歌を合わせたい、電気楽器を使いたい・・・等々、音を使いたいシーンはいろいろあります。
それら全てに対して、長いケーブルを引き回し、回線を整理し、ミキサー、アンプ、等々通し、適切に音質とボリュームを整え、ミックスして最終的にスピーカーから出す、ということをやって初めて、会場に音が鳴るわけです。
それをやるのがPAさんです。
それは会場のお客さん側に聞こえる音。
通称・外音(そとおと)といいます。
だいたいの場合、客席後列あたりにミキサー卓を置いて、そこで外音全体のバランスをとるオペレーターがいます。
それとともにもう1つ、ステージの中にいる演者にとっては、自分の音、共演者の音、が聴こえる必要があります。
広いステージで、しかも客席側に外音が鳴っていると、ステージの中はびっくりするほど自分の音も人の音も聴こえません。
でも、聴こえないと演奏にならず、トークも非常にしづらくなります。
じゃあどうするの?と。
そこで、ステージの中は中でスピーカーを置いて回り、演者それぞれが自分の音と人の音をベストなバランスで聞ける状態にする必要があります。
だいたいの場合モニター用のスピーカーは、床に転がして置いてあるので、通称「コロガシ」といいます。
それらステージ上で複数のモニタースピーカーで構成されるものを「モニター環境」といいい、そこで鳴っている音が通称・中音(なかおと)です。
それを整備するのもPAさんです。
この作業は、ステージ上を動いてモニター・スピーカーの音量音質をチェックし、演者一人一人のフィードバックに答えていく役割の人が必要で、
その人が会場後部の卓前にいるオペレーターに、「どこの何をこれくらい上げてください」等の指示を出していくのが通常です。(モニター専門の卓がステージ袖に別途ある現場もあります)
小さいライブハウスでは、それをオペレーター1人でできますが、ホール規模だと複数人必要になります。
他に機材のセッティングや転換等もありますので、それも含めて人件費が生じることになります。
だいたい卓の前にいるオペレーターがチーフで、舞台上動いているのがサブやアシスタントのような方達です。
Q:専門のPA業者が必要なの?
はい、必要です。
なので、そこの予算も必ず考えてくださいね。
ライブハウスですと、音響機材・照明機材があらかじめセッティングされていますし、PAをやってくれるスタッフもいるので、演奏する方は何も考えなくてよいのですが、ホールはあくまでも「箱だけ」なので、音響・照明は必ず別途揃えてセッティングする必要があります。
ホールにも機材がある場合がありますが、大体の場合、司会やシンプルな講演、あるいは発表会程度を想定したくらいのものであると思った方がよいでしょう。
会場付きの音響さんというのもいらっしゃいますが、基本的に会場の係員として最小限のことをやってくれる人、と思っていた方がよいと思います。
司会程度のマイクの用意や、 持ち込んだCDをかけるくらいはしてくれますが、本格的なPAシステムを組んだり、カッコいい照明を組んだりというのは、別の専門業者がやることです。
「会場の音響さん」は役所の人。
「専門のPAさん」は職人。
というとわかりやすいかもです。
ちなみに、ホテルの宴会場の場合、ホテルの人が司会用マイクなどを用意してくれることはありますが、音楽関係についてはノータッチだと思ってください。
歌を歌う場合はリバーブもかからないことが普通です。
ホールにしろホテルにしろ、「やってくれるだろう」と思ってノープランでいくと大変なことになるので注意です。
だから、ちゃんと予算をとって専門のPA業者さんを頼んだ方がよいというわけです。
機材持ち込みとは
さて、会場に音が鳴るためにはアンプやスピーカー、モニター、ミキサー卓や調整機材、大量のケーブル類など色々必要で、ホールの場合まっさらな「箱」にそれらを搬入し、一から組んでいくことになります。
会場にも機材がある場合もありますが、実際プロの業者さんは会場ものはあまり使わないようです。
それで業者さん自ら、自社の機材を「持ち込み」するのがほとんどです。
なぜか。
PAさんからしてみると、かなり気になるポイントは「仕込み時間」です。
機材セッティング、ケーブル引き回し、回線チェック、バランス調整等、演者がステージに来てリハーサルする時間以前に、すべて整えておく必要があります。これを「仕込み」といいます。
会場に搬入してからリハーサル開始まで、仕込みにどれくらい時間がとれるか、というのがシビアな戦いになるので、ここで余計な手間やトラブルは極力避けたいわけです。
普段使い慣れない会場の機材を使うと、規格や仕様が違ったりしてかえって作業が煩雑になることが多いといいます。
ここで余計なトラブルになって仕込みが遅れると、リハーサル時間、さらに開場〜開演時間までずれ込むことになり、イベントとして大打撃になります。
なので、勝手のわかっている自社の機材を持ち込んでパッパとやった方がリスクが無く円滑、ということになるわけですね。
そのため、PA業者さんの予算の中には人件費の他、この「機材持ち込み料(使用料)」というのが含まれてくると思ってください。
裏方がいるから夢を見られる
このように、普通に舞台を見ているお客さんにとっては、目に見えるものは実際にパフォーマンスをするアーティストですが、その奥には見えないところでPA(音響)をする人、照明をあてる人、舞台装置を作る人・動かす人、舞台進行を管理する人、楽屋周りのお世話をする人、等々いわゆる「裏方」という役割の人が支えているわけです。
そういう技術と機材と人がいるから、アーティストが存分にパフォーマンスでき、お客さんが心おきなく楽しめる。
当たり前のようですが、そのリアリティは客席の側だけにいるとなかなか実感が持てないものです。
でも、現場に出てみると、そういう人たちなしには音一つ出ないのだということがよくわかりますし、クオリティの高いイベントはそこにちゃんとお金をかけています。
PAの意味や価値がわからないと、主催者側としてはどうしても「いかにお金をかけないか」が一番大事になって、必要なことまで適当になりがちです。
でも、それはもったいないことです。
お客様は「PAがよかった」とか「悪かった」とかいう聞き方は絶対しません。
でも「気持ち良かった、盛り上がった、いいイベントだったー!!」
という印象の違いには、確実になります。
PAの質は、イベント全体の質を左右します。
一般のみなさんは「アーティストが良かったんだ」と思って帰っていくかもしれません。
確かにそれも本当ですが、そのうちの数割はPAも含めた裏方さんが良かったということなんです。
一般のリスナーさんはそれでOKです。
夢を見て帰っていただければよいのですから。
だからこそ、主催者になろうとする方は、夢を見させてあげる側の人として、PAのこと、裏方のこと、その意味と価値を認識して、ちゃんとお金をかけていってほしいなあーというのが、私の願いであります。
というわけで、結論。
PAはだいじ。
ちゃんと考えようね。
そして必要な分、お金かけようね。
わからなかったら専門のイベント業者さんやPA業者さんに相談しようね。
以上です。