ここ数年の流れで、
「やりたいことをみつけよう」
「好きなことをやって生きていこう」
というメッセージが多くの人の心を動かしていますね。
だから「やりたいこと探し」みたいなことに一生懸命になる人も多い。
その時によく出てくるキーワードが「ワクワク」ですね。
「ワクワクするか、しないか、それが自分がやりたいかどうかの判断基準だよー」という理解をしている方も多いと思います。
そうすると
「これは私、ワクワクするんだろうか、しないんだろうか」
「どうもワクワクしてるわけじゃない。じゃあ違うんだろうか」
「ワクワクがみつからない私は、なんかダメなんじゃないか」
なんて思ったりしている方もいるかもしれません。
「ワクワクをみつけよう」
たしかにそれはウソではありません。
もちろん、ワクワクはかなりのキッカケではある。
しかし、ワクワクだけが全てじゃないです。
ここにも言葉の限界というものがあります。
「ワクワク」というのも、漠然とした感覚をどにか一つの言葉で表現しようとした、言葉による一つの言い方にすぎないからです。
それはある人がたまたま、その感覚を「ワクワク」と言ってみたらいちばんいいんじゃないか?と判断して「ワクワク」と言ってみることにしたんです。
とりあえずそういう名前がついてる、って思ってみたらいいかもしれません。
その言葉を聞いて、こんどは聞いた各自が自分のイメージで「ワクワクってこういう感じよね?」って想像しているにすぎない。
ワクワクっていうとね、身体の場所でいったらどのへんで感じるような気がしますか?
まあ人によるだろうけど、一般的には胸のあたりが「ワクワク!」って揺れるような、跳ねるような、わりと動きのあるような・・・そんな感覚じゃないでしょうかねー。
高揚感、うれしさ、を伴うような。
でもね、「それ、私がやりたいことだ」という感覚は、必ずしもそういう感覚だけとは限らないのです。
たとえば
もっと静かに満ちてくるような感覚
胸ではなく、肚の方にずっしり抱いたような感覚
淡く空気のようにそこにある感覚
はるかに一番星を見上げるような感覚
などなど・・・
それは人によるし、場合によるし、たぶんいろいろあるんです。
だからこそ「ワクワク」だけがやりたいことだと思っていると、それ以外の感覚を見逃すかもしれないと思います。
おそらく「ワクワク」という言い方は、わかりやすいんです。
ある意味、初心者向き。
たとえばこれまでの人生、子供の頃から親に従ってばっかりで我慢、社会に出たら上に従ってばっかりで我慢、みたいな生き方をしてきた人にとっては、やりたいことどころか、自分の感じ方をみつけるということ自体が経験のないこと。
そういう人たちが、「やりたいこと」に目覚めるためには、「ワクワクを探せ!」というのが第1ステップとしてすごく有効なのだと思います。
そうやって、自分の体感実感で「よろこび」の存在に気づき、それにOKを出し、一歩行動してみる。
そんなステップのその先に、さきほど書いたような
もっと静かに満ちてくるような感覚
胸ではなく、肚の方にずっしり抱いたような感覚
淡く空気のようにそこにある感覚
はるかに一番星を見上げるような感覚
などといった、一言では語れない、微細な感覚を伴うよろこびや「やりたい」が育ってくるのではないかと思います。
実際、好きなことを仕事にしてみると、ほんと、ただ好きとかやりたいとかだけじゃない、非常〜に複雑かつ味わい深い「やりたい」を知るようになりますよ。あくまでも私の場合だけど。
参考記事:好きなことを仕事にするということ
だからこそ、「ワクワク」だけがすべてじゃないって、思っておくといいかもしれませんね。
自分のその感覚がワクワクじゃなかったとしても、それで全部却下しちゃうこともないんじゃないかな。
定型通り、誰かが言った通りの言葉に自分をあてはめるのではなく、自分ならではの感覚、
それをみつける感性こそが、ワクワク探しの本質じゃないかと思います。