私・95歳の祖母・ゆりちゃん
先週、私の祖母がいる施設で音楽療法的コンサートをさせていただきました。
去年までは私一人で行っていたのですが、今回は歌手の”ゆりちゃん”こと、
水月ゆりかさんにもご一緒してもらいました。
やる曲は主に唱歌や大正・昭和の懐メロですが、
やっぱりちゃんとした歌手の人が中心になって歌ってもらうと
華やかに歌が盛り上がって、皆さんも楽しんで頂けたようです。
音楽療法とコンサートはどう違うんでしょうか?
たぶん一般の方にはわかりにくいかなあと思います。
施設での音楽療法は、皆さんの知っている曲を選んで、歌を歌ってもらったり
楽器を叩いてもらったりの「参加型」。
音楽療法士という人は、それを促し、場を見ながら、会話をしながら進行役を
つとめる「ファシリテーター」のようなもので、
歌やピアノ演奏そのものは、あまり重きを置かれていない傾向があります。
それに対して、コンサートというのはアーティスト主導で、
アーティストのレパートリー中心に、聴かせる、楽しませるといった、
基本的には「エンターテインメント・聴取型」といえるでしょう。
それには音楽家としてしっかりとした技術や「聴かせる力」「魅せる力」が
必要なのは言うまでもありません。
だから、「音楽療法」と「慰問コンサート」は似ているようでけっこう違う、
ということになるんですよね。
現状日本の音楽療法界では、おそらくそういう解釈になっているんではないか
と思います。
さて、それで今回私たちがおこなったのはどっちなんだ?というと、
そのどっちもを含むたいへんボーダレスなかんじ。
なぜなら、私もゆりちゃんも元々は専門の音楽家であり、
プロとしての長年のキャリアがあった上でこういう現場に来ているからです。
その上で、私はいちおう王道の音楽療法ってのを学んで資格まで取ろうという
人間なので、基本的にはそのフォーマットに従ってやっているからです。
そして、生粋のアーティストのゆりちゃんは、そんな「王道」の枠を踏み越えて、
歌手としてのエネルギーを歌に注ぎ込んでくれるからです。
だから今回やってみて、これは「音楽療法」というのもなんか違う気がするし、
かといってコンサートというわけでもなく・・・だからとりあえず
「音楽療法的コンサート」なんて言ってみたんですが、そういう意味で、
既成の枠にはまっていない新しい試みだったかもしれません。
今後さらに練りながら、私たちならではのオリジナルな在り方を作っていける
可能性があり、またそれを必要として下さる方々も、この先どこかに
現れてくれるかもしれない・・・と希望しています。