「カウンセラーをやっています」というと、わりとよく聞かれること。
「人の重い話ばかり聞くのはたいへんでしょう。」
というヤツです。
どうも「さぞストレスがたまるでしょう」と思われているフシがあるようです。
あるいは、カウンセラーになることには興味があるんだけれども
「相手の方の悪いモノの影響を受けそうでこわい。」
というお話も時々聞きます。
たしかに、一般の方の感覚ではそうだろうなあーと思います。
やっぱり「人のしんどい話を聞いたら自分も一緒にしんどくなる」と考えるのが普通でしょうし、
そもそも悩みや苦しみなんてもの自体、自分のだってイヤなのに、人のモノまで背負いこんだらかなわんワ・・・という気持ちもね、ええ、わかります(笑)
で、実際どうなのでしょうか。
私の場合ですが、私はぜんぜんそれ、ないんですよ。
私の師匠もそうですが、多くのベテランカウンセラーさんや、売れてるカウンセラーさんはだいたいみんなそうだと思います。
そうでなきゃ、実際続きませんしね。
自分まで重くならない。
悪いモノなんて受けない。
なぜかというと、そもそも人の話を「重い、しんどい」と思ってないからです。
むしろ、興味深く、おもしろい。
おもしろいといっても、もちろん面白おかしいという意味ではありません。
こんがらがっているところも含めて、その奥深さ、意味深さがおもしろいのです。
複雑なパズルや、込み入った推理小説がおもしろいと思う方がいるように、ですね。
そして心の世界は、どんなに痛み深く、捻れてもつれて、てんやわんやになっていても、その奥には必ずその方自身の真実があり、それは愛であり、仏性であり、輝きであるのです。
こんがらかった心が解けて、その輝きが垣間見えた時のその感動は何物にも代えがたいものがあります。
それが必ずあることを知っているから、大丈夫なのです。
そして、どんなに「重い」と見える悩みや苦しみも、ただ思考と感情が絡まりすぎているだけだということがわかっているので、怖いものではありません。
どうやってそれを解くかを考えているだけです。
そして「悪いモノを受けないか」という件についても
もちろん人によって色々な解釈があるとは思いますが、
私の場合はやはりそもそも「悪い」と思っていないので、「悪いモノ」は受けません。
悪いモノ/良いモノ、と決めているのも自分です。
その「悪い・良い」を外してしまえば、全部「そういうモノ」でしかありません。
そしたらぜんぶ「へー、そうなんだ」で受け止めることができます。
なにより、自分自身の傷を癒し、「地雷」を撤去しておくこと。
これがいちばん重要なポイントです。
カウンセラー自身に傷や地雷がたくさんあったら、クライアントさんの話がそこに触れて、カウンセラー自身の心が痛むのです。
それで「重い」とか「悪いモノ受けた」とかいうことになります。
だからこそ、カウンセラーはまず自分に取り組む必要があるんですね。
あとはですね、これはカウンセリング講座の中で具体的にやることですが、プロの話の聞き方というのもあります。
自分をそこに差し挟まないで、ただ自分を透明にして聞く・・・というあり方とやり方のスキルがあります。
まあこれが「傾聴スキル」というやつですね。
それは、自分と相手との適切な境界を引くということでもありますし、「共感」するとは何なのか、という本質的な理解も関わっています。
このあたりの基本的な訓練の積み重ねによって、「プロの聞き方」というのができるようになってきます。
同じように「プロの忘れ方」というのもあります。
っていうか、そんなのないけど(笑)。
でも、先輩カウンセラーさん達もけっこう言ってます。
「覚えてないんだよねー」って。
話を聞いて、その時間が終わったらけっこうパーッと忘れちゃう。
私も同じ。
たぶんプロは忘れるのも得意。
コンビニのコピー機が、終了後メモリーを消去するように(笑)、セッション終わったら短期メモリーは消去されるようです。
また次のセッションになってその方にお会いすると、その時、記憶の引き出しから必要なものが呼び出されるようです。
「守秘義務」とか言いますが・・・覚えてないから大丈夫だったりするかも。
そういうわけで、私の場合、この仕事はストレスにならないのです。
冒頭に挙げたような、みなさんのご心配は無用!ということになります。