「そのまま」という感覚
そのまま
何もしない
ほっておく
そう聞くと、どんな感じがしますか?
なんとなく「それじゃダメだろ」って感じがする?
「何かしないと・・」っていう衝動をかすかに感じる?
だとしたら、あなたの中には「そのままではダメ」というビリーフが、当たり前に入っているかもしれません。
ビリーフとは「信じ込み」であるとともに、言葉を超えた「感覚」です。
そのままじゃダメなかんじ。
その感覚の奥には
「そのままではダメになる」
という「世界法則」を信じて採用しているあなたがいるということです。
あなたが当然のように採用しているその「世界法則」
それをビリーフといいます。
「そのままではダメになる」
それは本当でしょうか?
自然の摂理は「繁栄」
自然っていうのは、そのままにしておけば繁栄するものです。
人間の手が入らない、手付かずの自然。
そのままにしておけば、草は伸び、木々は繁り、花が咲いて実が成って、森は成長していく・・・それは繁栄です。
一方で、枯れたり、葉を落としたり、朽ちたりすることすら、循環の中で完璧にバランスがとれています。
微生物から大きな動物まで、ほっておけば増えて繁栄し、適度な天敵や気象の作用によって、増えすぎず減りすぎず、循環の中でバランスがとれています。
増える⇄減る のサイクルすべて「込み」で、繁栄しています。
生命の法則=自然の法則に沿っていれば、生命全体は繁栄していくもの。
それが自然の摂理であることを考えれば
「そのままではダメになる」
というのが、いかに自然の摂理に反した「ウソ」であるかがわかるというもの。
「そのままではダメになる」と思っているのは人間だけです。
正確には、人間の「自我」という部分です。
人間の本質は「生命」なので、本質ではちゃんと生命の繁栄の論理が生きづいているのですが、その周りにくっついた「自我」が、根強く逆を見せるのです。
そして多くの人は、自我だけを自分だと思い、真実だと思っている。
だからどうしても「そのままではダメになる」が真実としか思えないのです。
ダメになると思うから、ならないようにがんばる
「そのままではダメになる」と思っている世界では、その奥の前提にドッシリ「ダメ」が控えています。
デフォルト、ダメ。
始まりは、ダメ。
行き着く先は、ダメ。
だからこそ「ダメ」にならないように、なんとかするのだ!
そのためには
あれやって、これやって
あれも必要、これも必要
これを手に入れて、これを身につけて
こうなったら、ああなったら
まだまだ、まだまだ・・・
というのが、これまでのほとんどの人間活動の原動力だったといえます。
まるで、行き着く先は真っ暗な闇。
そういうイメージを、深層心理にいつも抱いているということです。
この、前提に「ダメ」を設定して、そう「ならないように」という意志の立て方や行動の仕方をするのが、これまでの時代の当たり前の回路だったことに、気づいてみてほしい。
いかに「ダメ設定」を最初に描いているか。
いかにまず「嫌なこと」を先に想定しているか。
・失敗しないように
・悪いことが起こらないように
・嫌な思いをしないように
・お金がなくならないように
・食いっぱぐれないように
・嫌われないように
・怒られないように
・何か言われないように
・迷惑をかけないように
・傷つかないように
・孤独にならないように
これら、最初にくる言葉全部が、「そうなったらダメ」なことですね?
「そうなったらダメ」なことを最初に描いて、そうならないように、そうではないように、対策をとり、がんばる。
そのためにこそ人生はある!
といっても過言ではないくらい、私たちはダメにならない対策に奔走してきました。
ということは、その対策をとらずに、何にもしない、そのまま、ほっておいたら・・・
どうなると思いますか?
「ダメになる」わけですよね。
それが「そのままではダメになる」という思考で作った世界ということです。
名付けて「ダメワールド」。
私たちは長いことずっと、この「ダメワールド」で奮闘してきたのです。
個人と集合無意識
その「ダメワールド」は誰が作っているのか?
自分(自我)の思考です。
「そのままではダメ」と思いこんでいる、自分の思考です。
そして、無数の「自分の思考」が集積した、私たち全体の「集合無意識」です。
集合無意識的に「思わされてきた」という言い方もできます。
もはや自分一人の意思ではないからです。
全体としての集合無意識から、個人がその感覚を拾って
個人の感覚が集積して、集合無意識の感覚になっていく。
個と全体とは、そういう関係になっています。
だからこそ、この思考のカラクリに気がついて「ダメワールド」から脱出する一人一人が増えることが、集合無意識の「ダメ濃度」を薄くしていくことになります。
「そのままではダメ」は本当ですか?
それは、真実ではなく、そういう思考にすぎない。
そのことに心底気づいた時に
元々自然は、そのままで繁栄すること
常に繁栄へと運んでいる生命の力が存在すること
その生命の力が、この自分にも確かに流れ込んでいること
もっといえば
自分とは、この生命であり、存在であること
そんな感覚が、もともとそこにあったことに気づくでしょう。
そこから始まるのが、「そのままで大丈夫」という絶対信頼の感覚。
これからの時代、私たちが切り替えていく方向は、そちらです。
思考を検証する。
思考が思考にすぎなかったことに気づく。
思考から離れる。
離れたら「存在」が残る。
マインドフルネスのその先へ。
それがビリーフをリセットするということです。