人生相談とカウンセリングと心理セラピーはどう違うのでしょうか。
どれも、自分一人ではどうしたらよいのかわからない問題や悩みなどを誰かに相談して、心の整理をしたり、解決の糸口をみつけたりする・・・点では同じように見えます。
私なりに、たいへんざっくり、典型的な一例としてですが
違いを挙げてみましょう。
(その他にもコーチングやコンサルティングというのもありますが、
私はそのあたりきちんと学んだわけではないので、今回は割愛します)
・人生相談
「そういう時はこうしたらいいですよ。あなたのこういうところをこうすれば、もっとこうなれますよ。そのためにこういうふうにしてごらんなさい。」
今の問題に対して、具体的にどうすればよいのかアドバイスするかんじ。
フォーカスはあくまでも「今、この問題をどうする」にあたっています。
そして、ここでは回答者本人の経験や価値観などが大きな根拠になっているともいえるでしょう。回答者の「私はこうやってきた、こう思う」という経験を参考にさせてもらうかんじです。
その回答者の個性や価値観に共感できれば有意義な相談になるかもしれません。
・カウンセリング
「そうなんですか。ああ、そういうふうにねえ。なるほど、こういうことが辛いと感じておられるのですね。本当はこのようにしたいと思うのに、ですね?」
カウンセリングでは、基本的に相談者の気持ちや言い分に徹底的に寄り添います。
カウンセラー本人の経験や、自分がどう思うかは全く関係なく、
相談者ご本人がどう感じているのか、何を望んでいるのか、
それをとことん聴き、適切に質問しながら引き出します。
そうやって傾聴していると、自然に心が整理されてきたり、何かに気づいたりして、ご本人が自分で
「ああ、私にこんな気持ちがあったんだ!じゃあこうしていきたい。これからこうしてみます!」と答えを出してゆかれます。
・心理セラピー
「そうなんですか。ああ、そういうことが辛いと感じられるのですね。ところで、こういう辛い感じって、これまで、過去にも感じたことはなかったでしょうか?」
セラピーでは、視点を「過去」に向けていきます。
相談者さんが話しているのは「今」の問題や悩みなのに、
なぜそれはさしおいて、話を「過去」に振るのでしょうか?
なぜなら、今起こっている問題や、味わっている感情は
その原型が過去にあることがほとんどだからです。
詳しく説明しましょう。
■感情は繰り返す相似形
たとえば、会社の上司との問題。
上司との関係がいつもこうなってしまう。
いつもこういう風に言われて辛い。
それでいつもこんな気持ちになってしまう。
特定の人との間で作られる関係と、そこで味わう辛い感情。
それは、よくよく振り返ってみるとそういえば・・・
前の職場の〇〇さんとの間でも、このカンジ、あった
姑とも、あった
夫とも、あった
大学時代の〇〇センパイとも、このカンジ、あった
中学時代の〇〇先生ともあった・・・・
もっとさかのぼると
小学校時代、お母さんとの間であった・・・
いやいや、そういえば幼稚園の時にも、
お母さんにこのカンジ、感じたわあ・・・・!
なーんてことにたどりついたりするのです。
もちろんこれは例ですので、必ずしもお母さんとは限りません。
お父さんやおばあちゃんなどの場合もありますが、
いずれにしても幼少期の身近な人との関係の中で感じていた感情が
時代を変え、場面を変え、登場人物を変えて現れていることは、実際とても多いです。
これを例えると「相似形」です。
同じ図形が繰り返すことですね。
下の図をごらん下さい。
人生の初期にお母さんとの間で感じた△という感情が、
時代を変えて、人物を変えて、状況を変えて、
でも形は同じままに繰り返されているかんじです。
繰り返す感情には「元」があります。
小さい頃、お母さんとの間で感じて、心深くに刻まれてしまった感情が
潜在意識に原型としてずっと残っていて、
知らないうちにいろんなところで再生されていることは、とてもよくあることです。
もちろん、ふだんからそんなことは意識していません。
まさか、こんな大人になってまでそんなものに影響されているなんて
夢にも思わない!なんてこともよくあります。
しかし実は、今現在の問題とそこで感じる感情は、
過去の感情の焼き直しと再現である・・・ということ。
ということは、今現在の苦しみを解消しようと思ったら
過去という「元」から検討、見直しして
苦しい感情を生むパターンそのものを解消すればいいよね?
というのがセラピーの考え方です。
■だからセラピーはまず過去を扱う
だから、セラピーはフォーカスが過去へ向かうのです。
そして、過去の感情やパターンというものは
普段意識できない深〜いレベルにありますから、
そこへアクセスしていく安全な手段が必要。
それが色々なセラピー技法ということになります。
私が行っているのは、主にこういうことです。
つまり、どちらかというとやっぱり私はセラピストなのだと思います。
もちろんセラピーにも、カウンセリングという聴くプロセスは欠かせません。
だから、セラピーといったりカウンセリングといったり・・・・
どちらでもよいのですけど。
このような、今現在の問題を「じゃあ今これどうすればこうすれば?」だけで終わらせない、「元」の次元から見て根本変革していこうというスタンスが、
自分はとてもしっくりきています。