今回はカウンセラーを職業して考えたい方向けのお話です。
カウンセラーになることを考え始めた場合、たぶん多くの方が考えるであろうことの一つに
「資格をとった方がいいのだろうか?」
というのがあるのではないかと思います。
カウンセラーに資格が絶対必要か?
というと、今のところそこまでの必要はありません。
はっきり言って「名乗ったもの勝ち」ですから、「自称カウンセラー」だってあり得るわけですね。
しかし「それだけでは不安。何か確かなものがあった方がいいのでは・・・」と考える方もいるでしょう。
その時に検討されるのが、おそらく臨床心理士、または公認心理士かと思います。
日本では最近まで、心理関係の仕事で一番「公的」に近い資格が臨床心理士でした。
その後、唯一の国家資格として公認心理士という新しい資格ができました。
上記の資格をとるためには、心理系の学部と大学院などで6年間ほど学ぶ必要があるので、社会人が挑戦するにはけっこうハードルは高いですね。
そして、では臨床心理士の資格をとったらカウンセラーとしてやっていけるのか、といったら、実はこれがそうでもないというところが考えどころです。
なぜなら、大学や大学院での心理の勉強というのは、基本的に「学問」なんですね。
さらに、現在の学問的心理学は「科学」の枠組みの中で行われているので、実験やデータや統計といったもので心を測ろうとするところがベースなのです。
それを「客観的」に分析して「心の理解」とするのが学問ですから、自分の心はどうなのかは全く問われません。
実験実証、データや数字が好きな方は向いているかもしれませんが、心や感情にリアルに触れたい方にとっては「アレレ??」という世界になりがちです。
そのため、臨床心理の勉強をしたことと、実際にクライアントさんのリアルな感情や心に触れてカウンセリングができるかどうかとは、全く別の文脈なのです。
臨床心理士で、カウンセリングでも実績を出している方は、それなりの別の努力をされているのだと思います。
ただ、臨床心理士の資格があると、公的な場、病院や学校のような場で採用されるのに有利というのはあるようです。
そういう公的な場で雇われて働くことを考えたい場合は、あるとよいかもしれません。
一方で、そういう資格とは全く関係なく、さまざまな心理技法や流派を勉強してカウンセラーになってしまう道もあります。
まさに私も、私の師匠などもそうですけれども。
こちらの道は、実験実証や客観性よりも、「自分の心がどうなのか」に取り組むことが最大のポイントです。
自分の心にリアルに触れることが、クライアントさんの心にリアルに触れることに直結しますから、非常にリアリティを持って心を扱うことができますし、クライアントさんに対して理屈を超えたところでアプローチできるのです。
「学問」の世界からは「実証されていない・信憑性がない」と思われているような理論や技法であっても、目の前のクライアントさんに役立つのであればどんどん使っていきます。
むしろ、学問的に実証されない曖昧な世界こそが、心だったりするからです。
早い話が「効果があればいい」わけですから。
その結果、クライアントさんが「気づいた、楽になった、スッキリした、変われた、人生良くなった」と感じてくださったら、それが実績になるわけです。
そういう意味で完全に実践・実力・実績の世界です。
資格をとって、公的な保証を得て活動したいのか
実力オンリーで、クライアントさんの信頼を得て活動したいのか
そんなかんじの選択だと思います。
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