大塚 あやこ 
私たち自我を持つ人間のほとんどが、根本的に「恐怖」を内包して生きています。
何の恐怖なのかというと
「自分の中に本当は何にもない」
という感覚からくる
「自分がなくなってしまう！」
という恐怖なのではないかと推察します。
「自分の中の本当」とは？
つまりそれが「存在」というやつなのですが、
「存在？」なにソレ？
的にリアリティがないんですね。
リアリティがなければ
「ない」と同じです。
それが
「そのままの私ではダメだ」
「ほっておいたらダメになる」
という感覚なのだと思います。
その「なくなってしまう」恐怖があるからこそ
「こうでなければ」
「これがなければ」
「こうしておかなければ」
と、周りにいろんなモノ・・・たとえば
「持ってる・やってる・できてる」
つまり
肩書きや持ち物や行為や体裁。
そして
「べき」「ねば」などの
ルール、成功法則。
をくっつけて、張り巡らせて、握りしめて、生きることになります。
それはたとえるなら、得体のしれない空白の周りに高く積み上げたバリケード。
それを一生懸命積み上げることで、「ない」恐怖から逃れられる気がするのです。
中心が空白だと思えばこそ、周りに積み上げたバリケードが自分なのだ、と思い込んでしまいます。
そのバリケードを自分だと思ってしまったら、そのバリケードを壊したり手放したり、やめたりするのは、そりゃあ怖いです。
それが
「わかってるんだけどやめるのがこわい」
「そうは思うけど手放せません」
というやつ。
そのバリケードこそが自分を苦しくさせている原因なんですが、
それがなかったら何にもなくなってしまう！と思っているから、手放せないんですね。
なかなかビリーフから自由になれない人は、この「存在がある」という感覚が薄いのです。
だからこそ
「自分、存在あったわ！」
って気がつくことが、大転換になります。
「持ってる・やってる・できてる」
がなかったとしても、変わらずにあった自分。
ないないと思っていたところに、ただあった。
それが「存在」。
そこに気がつくと、何とも言えない安心感を取り戻すことができます。
それが「大丈夫」という感覚なんですね。
大丈夫だからこそ、積み上げたバリケードは整理しても大丈夫だし、手放しても大丈夫だし、そもそもなんでそんなに積み上げてたんだっけ？ってなる。
もう必要がなくなる時がくるのです。
武装解除です。
だから
自分を見るのがこわい
ビリーフを知るのがこわい
感情を感じるのがこわい
という、よくある「こわい」は
この「中心の自分という存在があった」ことに気づければ、それほど意味をなさなくなります。
それでこそ、サクサクとビリーフ外しも進み、過去の感情もサッサと流し、
自分の中の可能性をどんどん受け取ることができるでしょう。
そこへ至るための基礎体力の一つが、瞑想力だと思います。
じっと足を組んで坐るような、そういう行為だけが「瞑想」というわけではありません。
瞑想力とは、自分の感覚や思考に気づき、眺めていられる力です。
思考から離れ、思考を落として「ある」に気づく。
いろんな側面からのアプローチによって、いかにその「ある」を取り戻すか。
それがこれからの時代の課題だと思いますし、
私も、どうやったらみんなでそこへ至ることができるか、方法をいろいろ考えていきます。
