「うつ」の方の対応
私のセッションや講座には、「以前、うつ病をやったことがあります」とか「現在うつで休職中です」という方も時々いらっしゃいます。
カウンセラーなどの心理援助職の場合、自分がどの程度まで精神疾患を持ったクライアントさんを引き受けるのかというのは、自分なりの基準を持っているものです。
各人の力量や方向性というのがありますし、そこは決して無理をするところではありません。
病的レベルの高い方までOKな援助者もいれば、「精神科に通院歴のある方はお断りします」という援助者もいます。
で、私の場合は「うつ病は対応OK」だと思っています。
その他の疾患はちょっと自分には無理ですが、うつに関してはビリーフ理論で説明がつきますし、ビリーフへのアプローチで対応できる希望が、私なりに持てているからです。
私の個人的な見解では、うつは病気扱いするよりも「ビリーフにやられすぎ」と見る方がしっくりきます。
「うつ」をどう読むか
幼いころから親や世間の言うことを律儀に信じて、よい子・よい人・まじめな人として、自分の感情を押し殺し、感性を置き去りにして、過度に思考と理性と論理で自分をコントロールしてがんばってきた人。
そんな生き方に限界がきて、身体が「もう無理~~!」とシャットダウンしてしまったのが「うつ病」という状態だと私は解釈しています。
なので、対応としてはそのガチガチの思考のプログラムを解き、ゆるめて、感情と感性を取り戻し、自分を生きる選択をする。
その道のりをサポートすればよい。
それが、私なりのそういう方たちへのアプローチです。
もちろんそうではない見解やアプローチ、正統的な医療界の対応もあるでしょうから、それが全てとはいいません。
しかし少なくとも私のところにいらっしゃる「うつ経験者」の方達は、そうやって今までの生き方から脱出して、自分の感情・感性を取り戻していく中で、すばらしいその方自身の本質を現してゆかれます。
そして自分らしい仕事やライフスタイルに転換して、人生を謳歌してらっしゃいます。
そんな方達を何人も見てきました。
その力をどちらに向けて使うか
それはもう、私も驚いてしまうような変化。
具合が悪かった時は本当に「大丈夫かな、この人」と思うほど弱々しく、ちょっと危うささえ感じるようだった方が、
ビリーフに縛られた「ビリーフ・ワールド」から抜け出していくことで、実は深い知性や優しさ、おもしろい魅力や高いポテンシャルを持った方だった!ということがわかって感動的でさえあります。
そして、そういう方は実はけっこう「スペック高い」方も多いです。
うつになったご本人は、「自分足りない、ダメな人間だ」などという思考にやられて自分を責めていますが、本当に足りない人はいないですし、ダメな人間でもありません。
「ダメ」と思ってしまうような思考のプログラムにやられているだけです。
むしろ、潜在能力はとても高く、そのがんばりや努力する力、積み重ねる力は一流なのですから、それを別の方向へ開放してあげることができたらよいのです。
「ダメになる」という恐怖ベースから抜け出し、「うれしい・気持ちいい」という喜びベースへ。
「人がどうか」という他人軸から抜け出し、「自分はどうなのか」という自分軸へ。
その転換を果たし、もっと伸び伸びと、自分の感情や感性、喜びと共に使うなら、どれほど自分自身を幸せにしていくことができるか。
それのみならず、自分が喜びながら行うことが、どれほど周りの方達のことも幸せにしていけることかと思います。
そんな可能性を、すでにみんな秘めているのです。
うつは、生き方転換のサイン。
今、辛い状況にある方も、その身体からの呼びかけを聞いて、頭をゆるめていけば、きっと人生のネクスト・ステージが開けていきます。
私はそう信じていますよ。