「いのちの逆回転」はどうして始まるか

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前回の記事の続きです。

「私は生まれてこない方がよかった」
「私なんかいない方がいい」
「私はここにいちゃいけない」

そういった無意識の信じ込みを
存在否定ビリーフ」と私は名付けています。

生きようとするいのちを逆回転させるような力を持つため、
これにやられていると、人生はたいへんしんどいものとなります。

前回の記事はこちら→
生きるのがしんどい人は「いのちの逆回転」をやっている

こうして子供は思い込む

ではそもそも、どうしてこんなビリーフができてしまったのでしょうか。

ビリーフができる背景は、幼少期にあります。

この世界にピカピカのまっさらなままやってきた幼子にとって最初に出会う世界とは、親と家庭です。
それが子供にとっての世界の全てとなります。

その世界の中で、幼い感性をいっぱいに使って、世界(=親)を解釈し、自分という認識が生まれていきます。

たとえば
「私がこうしたら、お母さんが怒った」とか。
「私がこう言ったら、お母さんが喜んだ」とか。
そういうデータを元に
「てことは、お母さんて◯◯なのね。」
「だから、私って◯◯なのね。」
と解釈し、認識します。

その解釈・認識の仕方が「ビリーフ」というものになっていきます。

ただし、幼い子供の解釈ですから、本当の事情なんかわかりはしないし、誤解も多いのです。
ですが「3つ子の魂」ともいう通り、この時代の思い込みはその後も無意識にずーっと継続していきます。

それがビリーフの成り立ちです。

というわけで、

「私は生まれてこない方がよかった」
「私なんかいない方がいい」
「私はここにいちゃいけない」

などの「存在否定ビリーフ」も、元はといえば、そう「解釈」してしまったに過ぎないものです。

「私は生まれてこない方がよかった」・・・んだよね?
「私なんかいない方がいい」・・・って思われてるよね?
「私はここにいちゃいけない」・・・てことよね?

と、思っちゃったんです。子供が。

存在否定ビリーフが生まれる理由としていくつかありがちなケースを挙げてみます。
必ず全員に当てはまるということではなく、私の経験値から、あくまでもそういうケースが見受けられるという一例ですので、絶対視しないでね。

・親が忙しい、大変そう、苦労が多い・・・と感じ取った場合。
「自分がいるからこんなに親は苦労するんだ」と解釈し
「自分はいない方がいい」と思ってしまった。

・様々な事情で他の家に預けられて苦労した場合。
「自分がいない方が親は都合がいいんだ」と解釈し
「自分はいない方がいい」と思ってしまった。

・両親の仲が悪い場合。
「自分がいなければ両親が仲良くなるかもしれない」と思ってしまった。

・子育てのことで、母が父から「おまえがしっかりしないからだ」等責められている場合。
「自分がいるから母が責められる」と思ってしまう。
「自分がいなければお母さんは責められなくて楽になる。」と思ってしまった。

・親が親自身の事情で、怒りを子供にぶつけてしまう場合。
どんなに努力しても、親の怒りをコントロールできず
「自分は親に喜ばれていない」
「自分はいない方がいいんだ」と思ってしまった。

・兄弟姉妹と扱われ方が違うような気がした場合。
「自分はいらない子なんだ」と思ってしまった。

・親が親自身の事情で、いつも怒っていたり悲しそうな顔をしていたりする場合。
「親を笑顔にさせてあげられない、助けられない、幸せにしてあげられない、
役に立たない自分はいない方がいい」と思ってしまった。

・男の子を期待されていたのにそうでなかった(あるいはその逆)などの場合。
子供はそういう親の密かながっかりを、言葉を超えたところで感じ取っている場合がある。
「女の子(or 男の子)に生まれた自分なんていない方がいい」と思ってしまった。

いかがでしょうか。
あくまでもありがちな一例です。

もしかしたら、図星に刺さっちゃった方もいたかもしれないし
ピンとこない人にとっては
「やー、そりゃないでしょ、こじつけ激しすぎ(^ ^;;」
って思うようなことも多々あるかもしれません。

どちらにしても、理屈を超えた幼い子供の解釈なんです。
それが子供ゆえの心の回路というものです。
事実とは違うんだ、って思っておいてください。

さて、ここにでてくるすべて
「自分はいない方がいい」の「いい」って
いったい誰にとって何が「いい」と言っているのか、っていったら

親にとって「いい」っていう意味ですね。

つまり
「自分が存在しない方が、親は楽で、苦労がなくて、うれしいのだろう」
そういう意味。
「そもそも、自分なんか生まれてこない方が親のためだった」
そういう意味。

親はひとっこともそんなこと言ってないのにね。

ちっちゃい子は、そんなことまで思っちゃうんですよ。

そんなことを自分一人で考えて、
自分の存在を否定してまでも親のことをかばう。
子供の愛って本当に痛々しいくらいけなげなんです。

愛ゆえの誤解です。

「あれでも精一杯」「これでも愛されていた」

さらにいうと、実はこの存在否定ビリーフの奥底には「自分は親に愛されていない」という根源的な絶望があります。

色々な事情で「愛されていない!」と解釈しちゃった。
だから「こんな自分はいない方がいいんだ」ということになるんですね。
子供の論理では。

実際、色々な事情により
親に愛された実感を持てないお子さんはたくさんいます。

親がいっぱいいっぱいだったり、
親自身だって愛された実感がなかったりすれば
愛みたいなことがあんまりできない親がいたっておかしいことはありません。

それであっても、親本人は精一杯だったりすることも多々あり、
「愛されていない」が子供の誤解であることも多々あります。

ですから、心の探求をしていく道のりにおいては
「親に愛されていなかった」という誤解を解いていくというのも、重要なプロセスとなります。

それは本当なんだろうか?

ということです。

でも実際「私は愛されたのか、愛されなかったのか」なんて、明確な基準があるわけでもなく、客観的に測定できるものでもなく、実証できるものでもありません。

だから、お母さんお父さんが
たとえ見かけがどんなふうであっても
あれでも精一杯だったんだな」
と思えたら、ひとまずOKなんです。

そして、
「私は意外とこれでも愛されてたのかも」
と思えたら、ひとまずバンバンザイ!なんです。

さらに、お母さんお父さんが
たとえ見かけがどんなふうであっても
私のせいじゃなかった。私はいてよかった。
と思えたら、
それは自分自身に対する最大の赦し(ゆるし)になります。

これが
「私はいてはいけない」という
存在否定ビリーフの呪いを解く突破口となります。

「いのちの逆回転」がストップして
「生きる」方向へと回り出す
大きなターニングポイントです。

・・・・といっても。

それでも、どうーーしても
「私は親から愛されたとは思えない!」ていう人もいるかと思います。

そういう方にも送りたいメッセージがあります。
それはまた次回!

次の記事はこちら→愛されなかった子供たちへ。それでも宇宙が「いていい」と言っている


この記事を書いた人

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大塚 あやこ

心理コンサルタント/作曲家/ピアニスト
一般社団法人ビリーフリセット協会 代表理事
 
東京芸大作曲科卒業後、演奏家・作曲家として活動。アーティストのツアーサポートや編曲、アニメやドラマのサントラ作曲等を手がける。
 
音楽での燃え尽き体験をきっかけに、心理カウンセリング/セラピーへ転身。
悩みの根本原因に迫るオリジナルメソッド「ビリーフリセット®」を提唱し、前に進みたい人、人生の転機に直面した人などを新しいステージへと導く個人セッションや講座を開催。「ビリーフリセットで人生が変わった!」という人多数。カウンセラー養成講座も開催し門下の認定カウンセラーを多数輩出している。
その他、心と意識をクリアにするサウンド瞑想など、独自の立ち位置で音楽制作やライブイベント等も行っている。

◎一般社団法人ビリーフリセット協会代表理事
◎淨音堂株式会社代表取締役

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