心の勉強を「ウチのあの人」にも勧めたいと思ったら

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「ウチの◯◯に教えたい!」にひそむもの

少し心のことを勉強すると
「すごい!これはいい!」
と感動することがよくあります。

「そうか!なるほど。そうよね。そうそう!」
とっても共感できて
本当のことをみつけたようなうれしさを感じたりしますね。

そうするとね、
次にこんな気持ちが湧くことも少なくありません。

「これ、ウチの親に聞かせたい。」
「ウチの夫に読ませたい。」
「ウチの子にも教えてあげたい。」
「ウチの職場の◯◯さんこそ、こういうのが必要だ。」

なんてね。

たしかにね、
そこには純粋に相手を思っている気持ちもあることは確かです。

身近なあの人が困っているように見えるからこそ

これを知ったら楽になるんじゃないか。
もっと良くなるんじゃないか。
なんとかしてあげたい。

そういう気持ちですよね。

でもね、そこには一方で
一抹の黒い影が
潜んでいる可能性も考えた方がいいです。

それは何かっていうと

「あの人が問題だ」と思っている
あなた自身のその受け止め方。

そう。
あなた自身が「あの人」に対してしている
「問題視」のことです。

そこには巧妙に隠された
あなた自身の「問題」が潜んでいる可能性があります。

「あの人」を個人セッションに行かせたい?

「あの人は困っている」

それは本当なんでしょうか?
あの人自身は、本当に
そこまで困っているんでしょうか?

そんなあの人「に」困っているのは
あなたの方だったりしませんでしょうか?

「あの人があんなだから」
私はザワザワする。
イライラする。

私が被害こうむる。
私が困る。

ダメになるような気がする。
心配でたまらなくなる。

今、あの人はよくない。

あの人がこうなりさえすれば問題は解決なのに
あの人が変わらないから。

この理論があれば、
このことを知れば、
あの人も変われるんじゃないかしら。

どうやったらあの人は変われるかしら。
そのために私はどうしてあげたらいいかしら。

この本がいいかしら、
このメソッドがいいかしら。
あの先生の個人セッションへ行ったらいいんじゃないかしら。

実際、私のところにも個人セッションのご依頼を
ご本人様ではなく
ご家族がしてくるケースもたまにあります。
つまり「ウチの◯◯にうけさせたいのでお願いします。」
ということです。

これね、とっても気持ちはわかるけど、
実はけっこう微妙なんですよ。

こうやって、身内にほとんど「連れてこられた」ようにいらっしゃる方のセッションは
どうしても浅くピンとこないものになる場合が多いです。

なぜなら、ご本人はちっとも切実じゃないからです。

私がやっているようなセッションはなんといっても
ご本人の「自分に向き合う覚悟」が決め手になります。
つまり、コミットメント。

セッションは共同作業ですので、
私一人がどんなにがんばっても
ご本人の心がそのつもりでないと「そこまで」どまりなのです。

ご本人のコミットメントがしっかりあればあるほど
セッションは充実したものになり、
その後の変化も大きいものになります。

ご本人がそこまで望んでいるからです。

そういうわけで、ご家族に
「行った方がいい」と言われていらっしゃったような方は
ご自身はその必要性を感じていなかったり、
向き合う覚悟ができていなかったりすることもしばしばあります。

結果として、「行かせたい」と思って送り出した側も
帰ってきた「その人」がたいして変わっていないことに
がっかりしたりもするかもしれません。

ご本人がそこまで望んでいないのですから
当然ですね。

変わるべきは誰?

さあ、そういうわけで最初に戻りますが
心のことを勉強して、
「これはいい!あの人にぜったい必要だ!」
と思ったら。

ちょっと立ち止まって考えてみましょう。

これがあれば、あの人は変われる!
と思うわけですよね。

では、「あの人」本人は
そんなに変わりたいのでしょうか。

たぶん、あんまりその気なさそうじゃない?(笑)

そんなにも、あの人に変わってもらいたいと
思っているのは誰?

「私」ですね?
あの人、本人じゃなくて。

どうしてそんなにも
あの人に変わってもらわなきゃいけないんでしょうか。

だって「あの人が問題だから」ですね?

実は、残念なお知らせなのですが
「あの人が問題」と思っているうちは
ぜったいに「あの人」は変わりませんし
状況も変わりません。

そういう時はどうすればいいかというと
そういうあの人にザワザワ・イライラしている
あなた自身が
自分の心を見つめ、取り組むことです。

あの人を見た時に
ザワザワやイライラが湧いてくるのは
あなたの心の中の「地雷」や「傷」や
「思考の構造」が原因です。

心の深いところにあって
すごく見たくないところです。

だから、それを見ないためにこそ
一生懸命「あの人」という他者に目を釘付けにして
「問題だー!問題だー!」と言うのです。

その方が、自分の痛いところを見ないですみ
「困っているあの人をなんとかする」
という「使命」に忙しくしていることに
充実さえ感じられるからです。

でも、本当になんとかしたかったら
そんな時こそ

ああいうあの人に日々振り回されて困惑している
あなた自身が
いったん「あの人」から目と手を離し
自分に向き合い、自分を取り戻すことです。

個人セッションに来た方がいいのは
あの人ではなくて
そういうあなたの方です。

え?なんであたしが!?
あたしは問題ないわよ。

あたしは大丈夫なんだけど、
あの人が大丈夫じゃないんだから。

あの人の方が苦しんでるんだから、
セッションは必要なのはあの人でしょう?

と、ほんとにほんとに
本気で思うとしたら、

今のあなたは、
まだセッションにこなくていい時期かもしれません。

しばらくまだそこで
「あの人がー!あの人がー!」と言って
修羅場を続けてみるといいでしょう。

とことんやりきってみてからじゃないと
これはわからない場所にあるのです。
すべては道のりですから。
がんばって。

で、やりきってやりきって
ボロボロになって
八方塞がりになって一歩も進めなくなったら。

どこかのタイミングで

「え? もしかして自分?」

って気づくかもしれないね。

その時、やっと
真っ暗なトンネルの先に
かすかに明るい出口への一歩がみつかるでしょう。

不思議に思われるかもしれませんが
いったん「あの人をなんとかする」ことから手を引いて
自分自身の方を向いて自分自身にエネルギーをかけ始めることで
色々なことがすうーっと動いていきます。

ないと思っていた出口が、
自分の中にあったことが腑に落ちてきます。

解決の糸口は自分にある、ということです。

心の世界が気に入ったら、まず自分

だからね、
せっかく出会った心の世界が
すばらしくて、素敵で
いいもんだなあ!と思ったら

その探究心を、
意識して自分だけに向けてみましょう。

自分をみつめる。
自分を感じる。
自分を認める。
自分を癒す。
自分にチャレンジする。

他人はほっとく。

「変わってほしい」とどうしても思っちゃう間は
あえて静かに、辛抱、辛抱。

自分。自分。まず自分。

そうやっているうちに
自然と土壌が変わってきます。

やがて、ほんとに素直な気持ちで
大切な人に
適切なタイミングで
「これいいよー」って言える時がきます。

その言葉にはもう
「これであなた変わってよねッ!
 じゃないとあたしが困るのよねッ!」
ていうミョ〜〜な空気が入っていないので

相手の方も
「へえー、そんなにいいんだ?」なんて
素直に興味を持ってくれるかもしれません。

「そんなにいいなら、自分もやってみたい」
なんて言ってくれるかもしれません。

くれないかもしれないけどね(笑)。

そうじゃなかったら、そうじゃないで
べつにあなたはかまわなくなってるはずです。

だって、あの人が変わらなくても、
べつに困らないほどに
あなたは、自分自身というものにくつろげるようになっているから。

「あなたが変わらなくても、あなたはそれでいい」
「わたしも、これでいい」

その軽やかさこそが、
お互いが円満に成長しあえる土壌となっていくでしょう。

人は変わりたかったら自分で変わっていきます。

変わりたくなかったら変わらないしね。

そして、それならそれで、いい。

そこを、完全に相手に任せることができるかどうか。
その人自身のペースと時期というものもありますからね。

そして、最終的には
その人の人生なんですから。

自分は自分の人生で
自分のことをやりましょう。

それで、いいのです。

 


この記事を書いた人

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大塚 あやこ

心理コンサルタント/講師/音楽家
一般社団法人ビリーフリセット協会 代表理事
ビリーフリセット・クリエーションズ株式会社代表取締役
 
東京芸術大学作曲科卒業後、アーティストのツアーサポートや編曲、アニメやドラマのサントラ作曲等を手がけ約20年活動。
音楽での燃え尽き体験をきっかけに、心理カウンセラーへ転身。
非合理な思い込みを外して本来の力を解放するオリジナルメソッド「ビリーフリセット®」を提唱し、人生の転機に直面した人を新しいステージへと導く個人セッションや講座を開催。「ビリーフリセットで人生が変わった!」という人多数。
カウンセラー養成講座も開催し門下の認定カウンセラーを多数輩出している。
現在はカウンセラー養成の枠を超えて「リーダーズ講座」として長期講座を開催。経営者やリーダー層からの信頼を得て、企業研修にも発展。企業向けオンライン講座「Udemyビジネス」で「はじめての傾聴」動画講座が登録者1万8千名を超えるベストセラーとなっている。

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