べつに
特にないから大丈夫
あ、私?
だいじょぶ、だいじょぶだから
これまでもそうだったし
まあそんなもんだから
あ、それはないない
大丈夫
前はそんなこともあったけど
今は全然そんなことないから
大丈夫
そうやって
大丈夫、大丈夫といって
がんばってきたねえ
がんばってきたとも思わないから
べつに大丈夫って
また
大丈夫になって
そうやってあなたはまた
一人になる
自分自身からも
見られず
触れられず
近づけない
やわらかで繊細な領域を
ぜったいに
人に見られないように
触れられないように
近づけないように
隠し続けるための
「大丈夫」
迷惑をかけないために
困らせないために
困らせないために
嫌われないために
バカにされないために
弱いと思われないために
ダメだと言われないために
透明な目をして
「大丈夫」と言う
「大丈夫」と言う
その大丈夫と引き換えに
本当の感情は置き去りになって
もはやそんなものがあったことさえ
よくわからなくなる
でもね
その大丈夫を言われるたびに
周りの人はちょっと寂しい
大丈夫なあなたの心には
それ以上近づけないことを
知るから
知るから
たぶんね
そんなに大丈夫にならなくても
大丈夫なんだ
心が揺れても乱れても
寂しくても悲しくても
腹が立っても絶望しても
うれしくても喜んでも
大丈夫
あなたが自分の感情を持っても
あなたは大丈夫
あなたの大切な人は大丈夫
あなたのまわりの世界は大丈夫
あなたが大丈夫じゃなくても
意外とみんな困らないから
大丈夫
大丈夫
困ったとしても大丈夫
困ったらその人が
なんとかするから大丈夫
なんとかするから大丈夫
ほんとはちっとも
大丈夫じゃないあなたが
大丈夫じゃないあなたが
素直に「大丈夫じゃない」
と思えた時
と思えた時
あなたはあなた自身に
やっと一つやさしくなる
ほんとはちっとも
大丈夫じゃないあなたが
大丈夫じゃないあなたが
素直に「大丈夫じゃない」
と言えた時
と言えた時
人はあなたと
心を通わせる糸口を
心を通わせる糸口を
やっと一つ得ることになる
ほんとはちっとも
大丈夫じゃないあなたが
大丈夫じゃないあなたが
素直に「大丈夫じゃない」と
泣けた時
泣けた時
世界とあなたを隔てていた壁が
少しずつ融けていくだろう