さて、前回は「カウンセラーに向いている人は自分が苦しんだ人」という話をしました。
そう言うと、もしかしたら
「じゃあ、私は普通の家に生まれてフツーに育ったし、貧乏もしてないし、両親もべつに問題ないし、虐待とかもされてないし、病気や事故で生死をさまよったこともないし、会社クビになったこともないし・・・特に苦労してないんだけど、こんな私は違うのかしら?」
と思われる方もいるかもしれませんね。
そうじゃないんです。
「苦労したかどうか」の話ではないんですね。
たとえば普通の家で理解のある両親のもと、何の苦労もなく育って普通に就職した・・・という人であっても、
その中でなんだかわけのわからない息苦しさを抱えている場合があります。
いつでも「そこそこ」どまりで、思い切り力を発揮した実感がなく、またそうできるような気もしない・・・
そんなモヤモヤがいつもついて回る場合もあります。
こんなに問題ないはずなのに
なんでこう息苦しいんだろう?
幸せなはずなのに
どうして満たされてないんだろう?
どうしてこんなに無力なんだろう?
それも一つの「苦しみ」であり、問いなのです。
立派な両親の期待に沿うよう、自分もがんばって良い学校や会社に入り成果を出してきた。
でもなんだか自分の気持ちがわからない。
いつまでたっても自信が持てない。
このままこんなかんじで人生終わっていくのだろうか?
それも一つの「苦しみ」であり、問いなのです。
「良い子」には良い子の苦しみがあります。
「できる子」にはできる子の苦しみがあります。
だから、問いが立ちます。
この問いこそが、大いなる探求への入り口。
その探求を自分の内で深めた先に、「これまでの自分」というものがパカーン!と割れる瞬間というのがあります。
あなた自身が「良い子・できる子」の殻から外へ出た瞬間です。
その殻の外へ出ると、どんな世界が見えるのか。
どんな自分に生まれ変わるのか。
それは体験したご自身にしかわかりません。
それが生きた智恵になるのです。
「良い子・できる子」という初期設定からスタートしたあなたが、そのカラクリを自ら知り、新しい世界に出てみたことで
こんどは後に続く「良い子・できる子」の皆さんの苦しみが手に取るように見通せるようになります。
そして、外に出てみるとどんな気分で、どうなれるのかもリアルに語ることができます。
どうやったら外に出ることができるのか、その道筋をガイドすることができます。
それが、今現在わけのわからない苦しさの中にいる多くの「良い子・できる子」の、希望になり、導きになり、助けになるのです。
これがカウンセラーへの道のりです。
なので、あなた自身の初期設定はどんなふうであってもいいのです。
そこからどんな問いが立つかどうかです。
その問いから、どんな探求の道を歩むかどうかです。
人の生まれ育ちや背景はさまざまです。
だからこそ、さまざまな生まれ育ちと背景を持ったカウンセラーが、それぞれ必要なのです。
「こういう人たちのことなら、めっちゃわかる!だって自分がそうだったから。」
それが、カウンセラーとしての個性になり、得意分野になり、「売り」になります。
そしてやがて
「あなただから、来ました。」
というクライアントさんからの信頼になっていくでしょう。
そんな未来が、あなたにもあることを
信じてみてくださいね。