男と女の愛と責任の話

これは必ず全員があてはまるというわけじゃないかもしれない。
でも、もしかしたら思い当たる人もいるかもしれない。

あくまで私が女性目線から見て思った「あー、男の人ってこうなんだろうなあー」っていう、男の人の愛のお話。

私は女性として「どうもそうみたいだねー」という話をするので、女性のあなたは「へえ、そうなのかしらねー」と思って読んでね。

男性のあなたは、当たってたらよかったですが、「ちげーよ!」と思ったら笑っといてくださいね。

愛=責任だからこそ

男の人の「愛」の解釈って、「責任」と結びついていることがけっこうあるみたい。

つまり、大切な人を大切にしようと思う、それが愛とするなら、そこには「だから俺がこの人を幸せにする」という気持ちがついてくるみたいなのね。

だから男の人は、どうしたらこの女性が喜んでくれるか、幸せそうにしてくれるか、そのことのために行動することは基本厭わないし、それで彼女が幸せそうにしてくれたら、それで彼の愛は満たされるみたいなんだ。

その「幸せにしたい!する!」っていうのが、彼にとっての愛というもののコミットであり、そこに自然に「責任感」もついてくるんだね。

だから多くの男性は、妻や子のために一生懸命働いて、お金を稼いでくるんだよね。

仕事仕事!ってバリバリがんばれるのも、嫌な仕事でも忍耐して踏ん張れるのも、妻や子を幸せにすることにコミットしたっていう、愛の証だったりするの。

多くの男性が、結婚するとしっかりするとか、ハラが座るとかいうのは、そのコミットを遂行するようになるからなんじゃないかと思う。

そんな男性の「愛は責任とセット」っていうのはたぶん健全な姿なんだろうと思う。

しかしだね、そこで人間の背負った「負」の部分、つまり自我の罠っていうのもあって。

その「責任」ていうのが、けっこう簡単に「罪悪感」にも化けるんだよね。

つまり「幸せにしたい」がいつのまにか「幸せにしなくちゃいけない!」に、無意識のうちに化けるの。

「いけない!」になったとたんそれはとっても重くてしんどいものになる。

そしてその「幸せにしなくちゃいけない!」に化けたそれは、さらにこんな感覚を連れてくることがある。

「自分はこの人をまだ幸せにできていない」

という感覚。

相手の女性があんまり幸せそうじゃなかったり、いつも「寂しい、寂しい」とか「くれない、くれない」言っていたりするとね。

まだ、できていない。
できていない、俺。

そう感じちゃうことがあるみたいだね。

この感覚っはけっこうしんどいね。
ものすごく「ごめん・・」というかんじになるのね。

この「できてない、ごめん・・・」という感じ、これが罪悪感というやつです。

そう感じると「俺が足りない。やっぱりもっとがんばって幸せにしなくっちゃいけない!」って思うから、さらにズッシリしんどくなる。

愛するがゆえに、愛が責任であるがゆえに、こういう罪悪観を深いところに持ってしまう男性はけっこういるみたいです。

ただ、潜在意識の深いところだったりするので、ご本人が自覚できていることはあんまりなかったりします。
感じたくないからこそ、深いところにしまっちゃうのね。

こういう罪悪感は男性がはまりやすい罠です。
人生に仕掛けられている罠といってもいい。

男の子の愛「幸せにしたい」

なぜかいうと、元はといえば幼少期、あるいは少年期、男の子はお母さんを幸せにしたいからね。

僕はお母さんを幸せにするために生まれてきた、っていうのは、小さな子供がみんな持っている感覚らしいです。子供なりの原初の愛なんでしょうね。

愛=幸せにすること ていう責任感はもうここから始まってるんだね。

だけどいろんな事情で、お母さんが幸せそうじゃなかったり、自分の力が及ばないと感じたりすると

お母さんを幸せにできない
助けられない
期待に応えられない
喜ばせてあげられない

といった挫折感と自責感を、深いところに持つようになる。
それが「ごめん!」というようなうしろめたい思いや、果たしきれていない自分への責め、罪悪感となって、無意識の奥に沈殿するんです。

それを巻き返すように、払拭するように、すっごく頑張り屋さんになる男の子さんもたくさんいます。
そういう人は一見すごくパワフルだったり、愛情いっぱいだったりします。

もちろん、そうなの。
元々パワーがあり愛情深いがゆえに、責任感も強く、頑張りもきく。
そこはそれでいいこともあります。

でも、その罪悪感のタネが、次第に重荷へと成長していくんです。
しかもその存在は無意識だから気がつかない。

で、そのまま大人になって結婚するでしょう。
そうすると場合によっては、こんどは奥さんに対して、無意識に埋もれていたその感覚が発動するんだねー。

奥さんのこと、すごく愛して大事なはずなのに、なんだかやらなきゃいけないことがいっぱいなかんじがしてしんどい。

がんばってるよ、やってるよ、でもそこまでしきれないよ・・・というような疲弊感というか。

たまーに一人になって荷物を下ろしたくなるような、そんな気持ちになるのもよーくわかる気がするなあ。

人って罪悪感を感じると、無意識に遠ざかりたくなる、逃げたくなっちゃうもの。

そして、そんなこと思ってしまってる自分、してしまってる自分がまた不甲斐なくて、心で泣いてグラスを傾けてるのかもしれないね。

そして男性の浮気の話

よくある奥様たちの不満として、夫が飲み歩いて家に帰ってこないとか、他の女とどうとかなってるとか、あるみたいだけど、それを単純に「けしからん!家に帰ってきて家族を大事にしなさいよ!」と叫んでみてもしょうがないと、私は思ってるよー。

帰りたくないには帰りたくない理由もあるんだろうし、お酒が必要には必要な理由があるんだろうし、他に女が必要な理由もあるんだろうと思います。

その一つの仮説が、この罪悪感説、ということです。

多くの男性は、基本的に奥さんや家族は大切にするつもりでいるはずです。
おそらく、そうしなきゃ!と思ってる。
それが男のコミットだから。
コミットは責任であり愛だから。

だけどそれゆえに、そこに古い自我パターンの罪悪感がからみついて、そのコミット自体がしんどくなっちゃう時があるんだろうなあと思う。

重い、キツイ、体力もうムリ・・・って時もあるよね。

しばし、それを忘れたいとか、そういう責任の重力圏外に逃れたいってことあるんじゃないかな。

そういう意味で「奥さん」ていうのは最大に重力圏なんですよ。
責任とセットなんですよ。

だからこそ、そういう責任の重力圏外の女性と、ただ甘く安らぐひと時を味わいたい、気楽に癒されたいっていう願望もあるんじゃないかなー、あくまでも私の推測ですがね。

そこまでの行動をしない男性は、せめてお酒飲むとかして、なんとかその重さを忘れて、しばしゆるまりたい思うのかもしれないかなー、なんて思ったりしています。

そこで女性の側の話

それでね、ここで女性の方にも罠があって。

男性がはまりやすいのが罪悪感だとしたら、女性がはまりやすいのは無価値感。

つまり「私なんて愛される価値がないんじゃないか」っていう恐れね。
これもたぶん人類レベルで入ってる自我の罠ですね。

これが強く入ってる女性は、愛されている証拠をやたらに欲しがることになるの。

だって基本、自分自身は自分のこと「価値がないんじゃないか?」って疑ってるわけだから、「いや、そうじゃなくて価値があるんだよ!」っていうことを外から証明してほしくなるのね。

ほんとはその「外からもらおう」というのが間違いの元で、自分が自分で「価値がある」って書き換えないとどうにもならないんだけど。

でも何にもわからないうちは、どうしても外から供給すれば埋まると思っちゃうから、それを彼氏や夫に求めちゃうんだねー。

もっと一緒にいてくれれば。
もっと話を聞いてくれれば。
もっと愛してるよって言ってくれれば。
もっとあれをしてくれれば、こういうふうにしてくれれば。

そうしたら私は愛されるって思えるはず、って信じてる。

ってことはだよ、ちょっとでも彼が思うようにそれをくれないと思った時
「くれない!なんでくれないの!?」って思って当然だし、

「愛してないってことね!?私にそれだけの価値がないってことね!?」なんていう反応をすることになっちゃうわけね。

それ言ってる時のあなたの顔って、とても怖くて悲しそうだから、さっき言ったような「大切な人を幸せにできていない」という深い罪悪感を持った男性からすると、それ、めっちゃ地雷なんですよ。

その彼の罪悪感のアラートを鳴らしちゃう。

彼の肩にますますズッシリと自責を含んだ「責任」がのしかかり、もっと何かしなきゃいけない重荷となってしまうでしょう。

そうした時に、ニッコリ受け入れてさらにがんばって彼女の気にいるように行動するような男性もいるのかもしれませんが、多くの場合、このしんどさに耐えられなくなって、逃げ場を求めたくなるんだと思うの。

それがお酒だったり、自分だけの趣味の世界だったり、他の女性だったり。

ってことじゃないでしょうかねー。

そうすると、女性からしたら、自分のしてほしいこととは全く逆に、彼が自分から目をそらして他へ行ってしまうわけだから、そりゃあ腹も立ちますわねえ。

「やっぱり私は愛される価値がないってことなの!?」と悲しくなり、くれない男を責め、ますますこじれて修羅場、と。

つまりね、こういったかんじで女性の無価値感と男性の罪悪感がカップリングしちゃうとね、堂々巡りでしんどいループになるんですね。

ご本人たちが悪いというより、歪んだ自我思考、つまりビリーフというものの罠。これが絡みあったらしょうがないの。

だからお互いに、まずは自分に向き合って、そもそもの無価値感と罪悪感という自我の罠を解いていくことが、このしんどいこじれを解いていく鍵になります。

それで男も女もどうすればいいんだ?

じゃあどうすればいいんだ、っていうのは、私がここで一言で言えることではないですが、少しばかりの仮説と提案です。

女性はまず、自分の中に元々ある無価値感をクリアにしていくことで、男性に対する見方や望むことも変わってくるのかなーって思います。

そして、たとえご主人に他の女性がいたとしても、あなたが大事にされていないわけではない場合が多いんじゃないかと思う。

むしろ、大事にされているからこそ、愛=責任=罪悪感  になっちゃってどうしようもなくなっちゃってる彼なのかも?っていう見方で考えてみたらどうだろう?

そして「幸せにしてもらう」という観念を卒業してみることかな。

まずあなた自身が自分の無価値観に向き合って、自分が自分を満たすことを考えることね。
夫のこと、子供のこと、って外に向ける目を、自分に向ける。
そのへんは、他にもたくさんの先生が言ってるから、助けはいろいろあるでしょう。

で、男性はたぶん、そんなに「幸せにしなくては!」って思う必要ないかもしれない。
人は、他人を幸せにしてあげることはできない。
それは親であっても。

親孝行したい。
親を愛したい。
それは素晴らしいと思う。

でも、どこかに罪悪感が張り付いていないかどうか、ちょっと観察してみて。

親をかわいそうとか、弱いとか、思うのをやめること。
自分はこれでもずいぶんやってきたと認めること。
そんなにしなくても、親は自分の存在を喜んでくれていたと気づくこと。
俺はこれでよかった、と何度もつぶやいてみること。

そんなところから、罪悪感はだいぶ減るはずです。

親の人生は親の人生。
あの人生を選んで生きた親を、そのまま尊重してあげよう。
それが一番の親への愛だと、私は思う。

そして、大好きなお母さんにとってのカッコいいヒーローになりたかった、あのころのボクには「えらかったね、がんばったね!」って言ってあげるといいかもね。

そして、奥さんのことも。
奥さんが幸せになるのは、奥さん自身でできることですから。

そして、あなたもあなた自身のこと、もっと幸せにしてあげよう。

そして、何もかもあなたが背負って運ばなくても、あなたが困った時は奥さんにも子供にも、困ってもらったらどうなんだろう。

一緒にジタバタしてなんとかする底力を、みんなが持ってるって信じてみるのはどうだろう。

そして、女性も、また男性も。

そうやって自分自身をクリアにしていった時に、

やっぱりこの人だった、
と思ったらそれもいい。

あらら、この人じゃなかった、
と思ったら、それでもいい。

どちらに転んでも、
人生も、あなたも、大切なその人も、
きっと大丈夫。
もっとよくなる。

そう信じてみるのはどうでしょうか。

 

 

 

 


この記事を書いた人

Avatar photo

大塚 あやこ

心理コンサルタント/講師/音楽家
一般社団法人ビリーフリセット協会 代表理事
ビリーフリセット・クリエーションズ株式会社代表取締役
 
東京芸術大学作曲科卒業後、アーティストのツアーサポートや編曲、アニメやドラマのサントラ作曲等を手がけ約20年活動。
音楽での燃え尽き体験をきっかけに、心理カウンセラーへ転身。
非合理な思い込みを外して本来の力を解放するオリジナルメソッド「ビリーフリセット®」を提唱し、人生の転機に直面した人を新しいステージへと導く個人セッションや講座を開催。「ビリーフリセットで人生が変わった!」という人多数。
カウンセラー養成講座も開催し門下の認定カウンセラーを多数輩出している。
現在はカウンセラー養成の枠を超えて「リーダーズ講座」として長期講座を開催。経営者やリーダー層からの信頼を得て、企業研修にも発展。企業向けオンライン講座「Udemyビジネス」で「はじめての傾聴」動画講座が登録者1万8千名を超えるベストセラーとなっている。

ビリーフ無料診断

「どうして私こうなっちゃうの?」という悩みのパターンには原因があります。

その謎を解くカギが「コアビリーフ」。

あなたに入っているコアビリーフを簡単診断。下の画像をクリックして、チェックしてみてください。

動画講座【ビリーフリセット・カウンセリングの基礎】

自分が変わる・人間関係が変わる・現実が変わる!ビリーフリセット心理学の主要理論を体系的に網羅。

新しい時代をよりよく生きたい人のための「心の理解」16のステップ + ビリーフリセットワーク実践まで。

特典付フルセットの他、単品購入もできます

動画で学べる「話の聴き方」講座

オンライン学習サイトUdemy(ユーデミー)で常時ベストセラー

◎人の話が楽に聴けるようになる【はじめての傾聴】カウンセラーが現場で使っている「話の聴き方」