パソコンで楽譜を作れると、こんなメリットが

私はライブやレコーディングで使う譜面をMacで作成しています。

パソコンでの譜面作成は、作曲やアレンジとまた違った脳と手の使い方で、細かい単純作業の繰り返し・・・・

はっきり言ってメンドクサイものではあります。

昔は手書き作業する「写譜屋さん」という専門職がいましたが、今は自分でやってしまうことが多いです。

ある意味便利だけど、ある意味たいへんです。

Cubaseひとすじ、歴史的ユーザーかも

私が使っているソフトはCubase(キューベース)です。

現在CubaseはWindows、Mac共に対応していますが、当初はMacのみ。

さらにMacの前の時代、ヨーロッパのATARIというメーカーのパソコンに搭載されていたところからが始まり。

私はそのATARI時代からの歴史的Cubaseユーザーであることはちょっとばかり自慢です(笑)。あれはたしか90年代ですから、つまり20年超!?

わりと初期の頃からCubaseには楽譜作成機能がついていて、私自身、現実的な必要性もあったので、コツコツとCubaseでの楽譜作成スキルを積み上げてきました。

私が教えていた音楽学校の作編曲科の生徒さんも、打ち込みにCubaseを使っている人がけっこういたけれど、楽譜作成機能を使ったことがある人はいなかったなー。

たぶん、一般的なMIDI打ち込みやオーディオ機能に比べると、楽譜作成はマニアックな機能なんだと思います。

けれど、弦楽器のアレンジなどをする人には必要なので、私が一から楽譜作成機能の使い方を教えることになったのでした。

やっぱりね、音楽で仕事しようと思ったら、楽譜作成・印刷、自分でできた方が絶対おトクだと思う。

ていうか、たぶん必要になるでしょう、いろんな場面で。

なんといっても、人に渡す譜面がキレイで整然とします。

譜面というのは、自分のためというより、演奏する人に伝えるためにあるので、キレイでわかりやすいにこしたことはありません。

仲間内のバンドなら、走り書き程度のコードを渡して、あとは口頭で相談しながらテキトーに・・・というのもありですが、お仕事の場ではそうはいきません。

特に、弦楽器や管楽器の演奏者には「コードでテキトーに」は通用しないので、何から何まで楽譜に書かないといけません。

その時に、パソコンで楽譜を作れるとどんなメリットがあるか。

キレイであること以外にも、けっこういろんなメリットがあります。

 パソコンで楽譜を作れると、こんなメリットが

1.音を鳴らしながら譜面を作れる

手書きの時代は、楽譜を書く時、それが実際どんな音で鳴るのか、上下左右の音といいかんじで合っているのか、全体の流れはそれでいいのか・・・等、確かめる方法がありませんでした。

せいぜいピアノを使いながら、頭の中で想像するぐらい。

しかし機械の時代は、すべての楽器の音を実際にパソコン音源で鳴らしながら、アレンジを組み立て、楽譜にしていくことができます。

昔のアレンジャーは、五線紙にひたすら楽譜を書いて仕上げ、スタジオに入って、実際に音を鳴らして聴いたら「ありゃこりゃ!」みたいなこともあったとか・・・・

機械で音を鳴らしながら作れる今の時代は、そういうリスクはなくなっています。

2.レイアウト自在

五線譜の段の幅、一段あたりの小節数、1小節の幅など、自由に変えたり直したりできます。

手書きだと、そもそも使う五線紙のフォーマットに制約されるし、定規を使って段数と小節数を計算しながらレイアウトを考え、あげくに、一度書いてしまったらもう動かせません。直せません。

「しまった!」と思ったらまるまる1ページ書き直し(T T)なんてこともあるものです。

その点、機械は融通がききますね。

3. コピペ、切った貼ったが楽々

手書きでは、そもそも大胆な編集はできないし、細かい点は修正液や紙貼りなどで直し、新しく五線を書き足し・・・と、手間のかかることこの上なし。

機械なら、心ゆくまでいじって最後に印刷すればよいので、全く問題ありません。

同じフレーズの繰り返しなどはコピペで良いのですし。

4. 移調がクリック1つでできる

一度書いたものを他のパートのために移調したい・・・などといった時。

あるいは「歌の人用に何音下げて、上げて・・・」といったニーズにもクリック1つで対応できます。

管楽器を書く場合、特有の「移調読み」というハードルがありますが、機械なら悩むことはありません。

5.スコアからパート譜を起こせる

弦や管の演奏者は、自分のパートだけ書いた譜面を見て演奏します。

これをパート譜といいますが、通常、全部の楽器が複数段で書かかれたスコア(総譜)から、個別のパートを抜き書きする作業が必要なのです。

例えば楽器が20パートあったら、20パート分の抜き書きです。手間膨大!

この作業を専門に行う職人さんが、いわゆる「写譜屋さん」です。

作編曲家がスコア(総譜)を作ると、それを写譜屋さんに送って、そこからパート譜を起こしてもらい、録音当日にスタジオに持って来てもらうのです。

 昔はもちろん、全部手書きでやっていました。

音楽業界では必須のプロセスなので、一定の需要があり、それなりのお値段します。

特殊技能ですから専門職として確立されていて、業者として存在します。

現代では、その作業を譜面作成ソフトで行う業者さんも多くなっているようです。

そういうわけで、楽譜がらみで何が一番たいへんかって、パート譜起こしが一番たいへんなのですが、それを作編曲家自らがやれるようになるとですね、

早い話が、写譜屋さんに頼まなくてよくなります。

特に、私のようにスコアを手書きせず、最初からパソコンで作るような人は、自分で作ったスコアのデータを少しいじれば、手書きの数分の一の労力で、パート譜作成が可能になるというわけです。

まあ、細かい調整など色々あるので、楽々というわけにはいきませんが。

しかし、予算の少ないプロジェクトや、自前のグループで活動する場合などは、作編曲家自身が楽譜を作れることが大きなメリットになってきます。

私も、以前弦楽四重奏を含む8人編成のグループをやっていた時は、これができたからこそ活動が成り立ったと言っても過言ではありません。

6.PDF化簡単

そうやって作った楽譜は、PDFで書き出しできるので、そのままメール添付して送れます。

郵送だ、FAXだー、とやっていた時代が遠い昔のようです。

できるようになっとくと、いいとは思います

そういうわけで、音楽制作の世界で、MIDIやAudioを扱うことに比べて、はるかに手を出す人が少ない領域だとは思いますが、

今後、人と関わって音楽を作っていきたい方にとっては、できるようになっとくと、けっこういいことあるんじゃないかと思います。

ちなみに、「楽譜作成ソフトは何がいいんでしょうか?」というご質問に関して、私は答える資格を持ちません。

なぜなら、最初から今までCubase以外に使ったことはないからです。

一般的に、楽譜作成ソフトで一番メジャーなのは「フィナーレ」だと言われています。

それから「シベリウス」なんかもそうなのかな。

「ロジック」でも作成できるようですが、どこまで融通がきくのかわかりません。

いずれにしろ、そのへんは他の詳しいサイトを探してくださいませー。

パソコンで譜面を作るデメリットとは

さて、それでは「メリットがあるのはわかった、じゃあデメリットはどうなの?」という声もあるでしょうから、デメリット面についてもあげてみましょう。

1.機械的で配慮が足りない

昔ながらの写譜屋さんによる手書き譜面に慣れたスタジオ・ミュージシャンから聞いたことがあります。

写譜屋さんの手書き譜面は、弾く人のことを考えた段組みや音符の間隔取りが絶妙で、とても見やすいのだそうです。

音楽をわかって、演奏者の意識もわかった上で、感覚的に配慮された譜面は、やはり専門職の人の手に限る・・・ということなのでしょう。

ただ、こういう手書きの専門職自体、今の時代ほぼ絶滅です。

演奏者側の意識も「コンピュータ譜面があたりまえ」になっているのではないかな、と私は感じます。

2.楽譜ソフトを覚えるのに労力がかかる

楽譜作成機能は、MIDI打ち込みやAudio機能とはまったく別系統です。

当然、作業手順や覚えるべきことも全然違うので、別の知識とスキルをコツコツ積み上げていく時間が必要になります。

まあ何ごとも、新しいことを始めるということはそういうことなので、当然といえば当然ですね。

3.作業が細かい

2番と似ていますが、楽譜作成は、音楽を作ることとは使うアタマの場所が全く違います。

はっきりいってあんまりクリエイティブとは言えないでしょう。

すでにあるものに対して、細部を整え、見た目を計算し、細かいチェックの目を行き届かせ・・・といった、緻密でコツコツ系の作業になります。

ガッツリ、ザックリ、ドーン!とやりたい方にとっては、ちょっと辛いかもしれませんね。

3.ソフト間の連携がない

楽譜作成ソフトはいろんなメーカーからいろんなソフトが出ていますが、それらを共通して書き出し/読み込みできるようなシステムにはなっていません。

つまり、「Cubase(キューベース)で作った譜面を人に送って、Finale(フィナーレ)に読み込んで続きを作業してもらう」というようなことはできないということです。

音符情報だけだったら、スタンダードMIDIファイルという形式で共有が可能ですが、楽譜ソフトならではの機能、つまり労力かけて作り込んだレイアウトや強弱記号、文字記号などは無効になります。

なので、そういう共有をしたい方は、いちばんメジャーな「Finale」を選ばれるといいかもしれませんね。

4.譜面作成まで頼まれる

作編曲家としてこの作業ができると思われると、事務所側はもう写譜屋さんを頼もうとしてくれなくなります。

「自分でやってください」ということです(笑)

そうすると、作曲・編曲作業が終わってもなお、こんどは譜面作成という作業を追加しなくてはならなくなり、労力割り増しです。

私の場合、まあその分の手数料をいただいていますが。

 

と、デメリット面を上げてみましたが・・・・

とはいえ!

やっぱり、メリットの方が何倍も大きいと思います。

できるとできないでは、可能性の広がりが違います。

もしすでに、楽譜作成機能がついているソフトをお持ちだったり(Cubaseとか)今後の導入を検討しているのでしたら、やってみて損はないと思いますよ!

 

☆旧ブログ「大人の音楽レッスン」より
2014年5月に書いた記事を加筆修正しました。

 


この記事を書いた人

大塚 あやこ

大塚 あやこ

ビリーフリセット・カウンセラー/作曲家
学会認定音楽療法士
芸大作曲科卒業後、演奏家・作曲家として活動。アーティストのツアーサポートや編曲、アニメやドラマのサントラ作曲等を手がける。
深く人の心に関わるためには、音楽だけのアプローチでは限界を感じ、音楽療法を経てさらに本格的な心理カウンセリング/セラピーへ転身。
原理原則に基づいたオリジナルメソッド「ビリーフリセット®」を提唱し、ビジネスマン、リーダー、経営者、クリエイター等、影響力のある人を更にステージアップさせる個人セッションやワークショップを開催。活動5年で延べ3,000名以上の人生を好転させてきた。

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