コード、独学でがんばるなら
「コードを学びたい・わかるようになりたい」という方は、けっこういらっしゃいます。
楽器店などに行けば「コードブック」のような教本は色々とあるので、独学でチャレンジされる方も多いようですが、自分だけではどうにもならず挫折する方もまた多いようで・・・。
もちろん、なんらかの形でレッスンに行くのが可能ならば、それが早道。
しかし、あえて。
Q:独学でやる場合の、コツはありますか?
という疑問に、私なりの答えを用意するならば、こんなふうに言いたいですね。
A:目やアタマよりも、まず、耳を使いましょう。
というわけで、ほんとに身につくための、コードの練習の第一歩、提案します。
コードの暗記はおすすめしません
コードブックなどを見ると、アルファベットに加えていろんな記号がゴチャゴチャとついてわけがわからん!と感じる方も多いかも。
「Cがド、Dがレ、Eがミ、ですよね?」
ってとこまでわかる方はけっこう多いけど、問題はその先ですよね。
「Cがド、なのはわかるけど、じゃあその横についてる色々はなんなの?」
こんなかんじで ↓
で、教本のようなものはだいたい、これらそれぞれの違いを音符で一覧表にしてバアーーッと書いてあるので、それを見るとけっこうひるむのではないでしょうか。
「ええ〜、これ全部覚えなきゃなんないの・・!?」
「ドとミとソと・・・ここにフラットがついて、こっちにはシャープがついて・・・ここ押して、次はここ押すの??
暗記、暗記・・・・ひゃ〜、覚えらんない、わたし無理!(ノД`) 」
いやいや、そりゃ無理だ。
それあたりまえだから、大丈夫。
目で音符を読んで、頭で暗記しようとしても。
仮にそれができたとしても。
残念ながらそれは、実際に使える、生きたコードの理解にはつながらないと私は思っています。
だって、音楽は耳と手でやるものなんだから。
音を聴く耳と、楽器を触る手の感覚。
こっちが本質だから。
歴史の年号や数学の公式の試験勉強じゃないんだから。
音楽に関しては、教科書とノートで丸覚えしても、無駄な努力に終わるでしょう。
音楽は、耳と手でやりましょう。
じゃあ、そのために。
まずは、完全5度を作る
そこでステップ1。
まず、右手の親指と小指で「完全5度(かんぜんごど)」という音程を作ります。
それってどういう意味?っていうのは、ここでは省略。
わからなくっても大丈夫。
とにかく、親指をドにおいて、小指をソにおいてみてください。
はい。これが「完全5度」という2つの音の関係性です。
この指の幅。このかんじ。これを感じてみて。
きわめて自然に、ほどよく、狭くもなく、広くもなく、
親指と小指の間隔が広がっていますね?
この幅が、完全5度。
目をつぶってもその幅を再現できますか?
この幅を、手クセで覚えたいのです。
そして、この響きを味わってみて。
なんか、スコーンと抜けたような、スッキリと濁りのない、
でもなんとなく力強い、パワーを秘めている感じがしませんか。
だからこれ、ロックの世界では「パワーコード」っていいます。
この音程をエレキギターでガツンと弾くと、めっちゃパワフルなのです。
さあ、何度も弾いて、聴いて、味わってみて。
この響きが、完全5度。
指の幅を変えず、手をハンコのように
さて、ステップ2。
そしたら、その指の幅を絶対に変えないで。
今押してる指の間隔を、ロボットのように固定して、腕ごと少し上に上げてください。
そして、その手を持ち上げたまま、そのまま半音上、つまり、ド♯とソ♯の上空に移動させます。
そして、そのままハンコを押すように、ド♯とソ♯の鍵盤に降ろしてください。
指の幅、変えてませんね?
手首フラフラ、してませんね?
手全体が「完全5度」の形をしたハンコになってますか?
手がハンコのようになっていれば、そのままド♯を親指として「完全5度」が鳴っています。
また、味わって。
この響きが完全5度。
この手の幅が、完全5度。
さらに、また指の幅を絶対に変えずに
手をハンコにして、半音上に。
手で感じる。耳で味わう。
さらに半音上・・・以下リピート。
腕全体の位置を前後左右にずらしていくだけで、
次々と完全5度が鳴りますでしょうか。
これを楽譜にするとこういうことになります。
ほとんどの完全5度が、
親指が白鍵⇆小指も白鍵 つまり白&白
親指が黒鍵⇆小指も黒鍵 つまり黒&黒
とわかりやすいですが、
最後の、親指がシ♭とシの時だけ、
黒&白
白&黒
になるので気をつけて。
しかし、あくまでも手をハンコにして、指の間隔を絶対に変えなければ、
ちょっと手首をずらすだけで、ちゃんとハンコが押せるはずです。
何度もやりましょう。
なんども言うけど、目じゃなくて耳!
このように「完全5度が作れる・聴こえる」ということが、今後、コードを扱う上でとても重要な基礎になると私は考えています。
では、ステップ3。
さっきのが何度もやって、できてきたら、
次は目をつぶってやってみましょう。
ここ、大事!
目に頼らない!
確かめるのは、手の幅と耳で。
次の移動先をみつけるのは、
目じゃなくて、手で探る!
黒と白がデコボコしてるんだから、
手探りで場所はわかるはずなんです。
だから、スティービー・ワンダーみたいに
目が見えない人でもピアノが弾けるんですよ。
出してる音が、合ってる/合ってない、を確認するのは、目じゃなくて、耳で響きを感じる!
完全5度の響き。あの感じ。
あのスッキリと抜けて、パワフルなあの響きが鳴っていますか?
くれぐれも、目で確認しないように。
手自身が、手の幅を思い出し、
耳自身が、正しいか間違いかを判断してください。
手と耳が、コードを知るようになる
さらに、ステップ4。
こんどは、どこでもランダムな位置に手を持っていって、その場所で完全5度を作ってみましょう。
鍵盤の上の方で。下の方で。
位置をわざと飛ばして。
てきとうに。ゆきあたりばったり。
どこでも、手は「あの幅」を再現してください。
合っているかどうかは、響きで判断してください。
あやしかったら、ちょっと周辺の音を試してみて、これかな?これじゃない・・・と検討・判断してみてください。
そのプロセスが重要です。
そんな風に、何度も何度も
手と耳で完全5度を探していけば、やがて
完全5度というものがどういうものか、手と耳が知るようになるでしょう。
だからね。
音楽やるのに、ほんとはあんまりアタマはいらないんです。
「私はアタマが悪いからコードが覚えられない・・」ということは、おそらくないでしょう。
そういうアタマは、あんまりなくても大丈夫。
しかし、実のところ、耳が育たなければ難しい、ということです。
だって、音楽は耳でやるものなのですから。
そういう耳を育てていくのが、音楽の学びでもあるのです。
音楽は、コードは手と耳で。
これが私の持論です。
また次回に続きます。
☆旧ブログ「大人の音楽レッスン」より
2014年6月に書いた記事を加筆修正しました。
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