作曲家が弾くピアノ、ピアニストが弾くピアノ
昔も今も、それなりに人前で弾けるくらいのピアノを弾く作曲家は多いです。
作曲家が弾くピアノは、人の曲を超絶テクニックで弾きこなすような専門ピアニストのピアノとは明らかに違います。
つまりぶっちゃけ、そこまでのテクニックはなかったりする。
だって長年、曲書くこと・作ることに最大限の時間を使っていたら、ピアノの練習ができる時間は限られますもんね。
そりゃあ練習に時間を費やしまくってきた専業プレイヤーには勝てませんわ、ということ。
これは仕方ない。
はい、これは私自身のことでもありますよ。
私は子供の頃から、膨大な時間ピアノに向かうのが苦手だったもんで、大学はピアノ科じゃなくて作曲科を選んだくらいですから、もうそこんところはある意味開き直ってこれでよしとするしかありません。
私自身がまさに「作曲家のピアノ」そのものです。
「作曲家のピアノ」の特徴
さて、そして多くの作曲家は、自分が作曲や編曲した曲を弾くことが多いです。
今一般的にわかりやすい例でいうと、久石譲さん、坂本龍一さんなどもそうですね。
自分の曲ですから、曲の世界観を誰よりもわかっている人であるということ。
だからこそ作曲家のピアノは、独特の世界観が見えるような音を出していたりするのです。
それが「作曲家のピアノ」の特徴です。
さらにその利点は、自分が弾ける範囲のテクニックで弾けばいいこと。
自分が弾けるように書けばいい。
弾けないことは書かなくていい。
これは作者の特権・利得ですね(笑)
つまり自分の曲さえ弾く技術があればいいので、ピアノの練習も、自分に必要なことに特化していていいともいえるかもしれません。
ブラームスの練習曲
19世紀の作曲家・ブラームスのピアノ楽譜に「51の練習曲」というのがあります。
これはまさにブラームスが、自分の曲を弾く技術維持のために使っていたと言われる練習曲。
私がこの練習曲に出会ったのは遥か昔ですが、今もなお、練習の際には一番頼りにしています。
私は今は心理カウンセラー業メインですから、たくさんの練習時間はとれない状況で、それでも人前で弾く機会にはなんとかしなくちゃいけない。
その時にこのブラームスの練習曲は、短い時間で効率よく、自分の曲を弾くのに必要な指をチューンナップしていける感覚があるからです。
とても全部は弾きこなせませんが、要所要所だけでもすごくためになると感じています。
作曲家であるブラームスが、こういう練習で自分の演奏力のメンテナンスをしてたんだなー・・・と思いながら弾いている時、まあおこがましいかもしれませんが、「ああー、作曲家のピアノかあ。わたしもだ♡」なんて共感を感じました。
地味な練習曲なので一般的にはあまり知られてないかもしれませんが、この練習曲を教えてくれた、かつての先生には感謝だなー、と今頃あらためて思っています。