もう一人の自分からのサイン、転換期のはじまり
努力して、がんばって
我慢して、辛抱して
うまくやって、成果あげて
反省して、改善して
またがんばって、がんばって。
そんなふうに積み重ねていると
あるところまではけっこう行けます。
やりがいや充実もあります。
成果を出せば手応えが得られてうれしい。
自分がここまでできるようになってうれしい。
それが人に評価されてうれしい。
「ようし、次はここまでやるぞー!」
って気合い入れるのがけっこう楽しい。
うまくいかなかったとしたら
自分が足りないだけなんだから。
足りるようにがんばればいいんだから。
よし、またがんばる!
がんばって、がんばって。
そうやって、けっこうやってきたあなたは
それだけやれる力があって
自己コントロールもできて
PDCAも自分で回せる
かなりスペックの高い人かもしれません。
だけど。
ある時だんだんと、そのがんばりに
がんばって得たはずのその場所に
以前ほどの輝きを感じなくなっていることに
うっすらと気がつく時が
訪れるかもしれません。
そこまでやることの意味が
よくわからなくなってくる。
いつまでこれをやり続けるんだろうと思うと
なんだかクラクラする。
なんとなく
前ほど全力を出す気力が、なくなってる気がする。
自分、本当にこんなことがしたいんだろうか?
・・・・なんて、
足元揺らぐような問いが心に浮かんで愕然とする。
そんな時がやってきたら。
「もうこれまでのエンジンでは走れないよー」
という、もう一人の自分からのサインかもしれません。
「本当にやりたいこと、ホントにそれなの〜?」
という、もう一人の自分からの問いかけかもしれません。
「このままで人生終わるのは嫌だよ〜」
という、もう一人の自分からのSOSかもしれません。
こういう「もう一人の自分」を無視しきれなくなってきたら
転換期のはじまりですね。
旧エンジンから新エンジンへの切り替え
こうなってくるとね、
もう、今までのような
努力、改善、心がけ、PDCA・・・
といった「やり方」の対処ではどうにもならなくなってくるんです。
ここから先は「あり方」を問い直す段階です。
あり方とは、
自分がどういう世界観で物ごとを見ていて
どういう自己定義で自分をやっていて
何を望んで、何のためにエネルギー注いでいるのか・・・
という「そもそも」レベルの自分の状態のことです。
何が自分を駆り立てて回しているのか。
私はこれを「エンジン」と喩えています。
これまでの「旧エンジン」から
これからの「新エンジン」への
切り替えを迫られる時、というのが
人生の途中でやってくる場合があります。
自分も含め、多くの方の例を見ると
どうも、40歳前後というのが、
この「旧エンジン」に限界がくることが多いようですね。
よくいわれる、いわゆる「中年の危機」というのは
このことを指すのではないか、と
私は思っています。
これはとっても大事な時。
心豊かな人生の新ステージにステップアップするための
絶好のチャンス。
決して恥ずかしいことでもなく
「何をいまさら」でもありません。
逆、逆。
この年になった今だからこそ。
きっと「今でなくてはならない」んです。
今でないと、見えないんです。
それは「これまでの自分」を棚卸しして
「これまでの自分」を卒業して
新たな「これからの自分」へと脱皮していく時でもあります。
ここからしばらく
「これまでの自分」の言い分と
「これからの自分」の言い分を
両方聞きながら、
揺れに揺れる期間をすごさなければならなくなるでしょう。
他ならぬ私もそうでした。
40歳手前ぐらいで、
それまでガンガン回っていた「音楽家エンジン」に
なんとなく油切れのような感じがはじまり、
やがて、止まるしかなくなりました。
それで、本当に自分はそもそも
何がしたくて、何が嫌で
本当は何を望んでいるのか
自分のど真ん中に向かって問い直さざるを得なくなりました。
それで、数年かけて転換した末の今があります。
切り替えまではジタバタ。切り替えたら別世界
この転換期を乗り切るには
一度「これまで」をスッパリと手放す覚悟が必要です。
「もうこれじゃない。」と見切る勇気。
ある時点で、どうしてもこれは必要です。
とはいえ、そうそうスッパリといくもんではありません。
「もうこれじゃない。」とわかっていたって
やっぱり、グズグズ、ダラダラ、迷ったり考えたり
ジタバタ右往左往したり
未練もタラタラ、悪あがきもバタバタ
するもんです。
私もさんざんしました。
音楽なのかー、そうじゃないのかー
でもやっぱり音楽はー、でもやっぱり違うのかー
でもここでなんとかー、でもやっぱりむりー
でもーでもーでもー
じたばたじたばたじたばた
いいじゃないですか。
グズグズ、ダラダラ
ジタバタ右往左往
未練タラタラ、悪あがきバタバタ
してもいいんじゃないかなー。
もちろん、その時は辛いですよ。
でも辛くたって、実際そうなんだから
仕方ないとしかいいようがない・・・(^ ^;;
まあ、ジタバタしましょう。
私の場合、そんなこんなで
「これまで」に油切れを感じ始めてから、
「これまで」に見切りをつけて
「もういい!エイヤ!」と飛ぶまでに4年かかっています。
ジタバタ期間、4年ですよ。
ちょっと安心した?(笑)
そりゃあ、たいへんですよ。
これまで数十年積み上げた人生の前提を
ひっくり返しちゃうんだもの。
だから、すぐ結論出してサッサと動けなくてもしょうがないね。
もちろんサッサと動ける人はあっぱれだけど。
ジタバタしちゃう人だって、もっともだ。
そして、もしかしたら
ジタバタしたあげく
自分を納得させる別の考え方ややり方を見出して
やっぱり元のサヤに戻っていく人もいるかもしれない。
それもそれでありだと思います。
どうしなきゃダメってことはぜんぜんないし
したいようにすればいいのです。
ポイントは、
本当はどうしたいのか。
これをちゃんとつかめるかどうかです。
そして私の場合は、
ようやくスッパリと「これまで」を手放し
「これから」を選んで
「エイヤ!」で飛んでからもうすぐ5年。
いやはや、一大事です。
でも、もうそんなで5年もたつので
自信を持って言えますけど
この切り替えによって得られるものは大きいです!
心の底から自分を取り戻した気がするし
自分を隠すことなく、偽ることなく
自分でいることができる。
心の奥底に、絶対的な安心と力が満ちているのを感じる。
そういう自分として
仕事も、パートナーも、生活環境も
満ち足りて暮らすことができています。
この全面的なOK感。
これは、あの旧エンジンで回っているころには
味わったことがないものです。
人生何倍もおもしろくなりますよ。
転換期の本質「これからの自分」を生きるステージへ
転換期にぶち当たって
「これまでの自分」と「これからの自分」の狭間で
ジタバタすることになってしまった人は
逆にいうと、
その「これからの新人生」の輝きと喜びを
もう一人の自分(これからの自分)が既に
ほんとはちゃんと知っているんだと思います。
だからこそ
「これまでの自分」をかいくぐって
「おーい、そっちじゃないだろう。こっちだろう〜?」と
呼びかけてくるのです。
その「これからの自分」というのは
最近新しく出てきた人のように見えるけれど
実は、そうではないはず。
それは、私たちがずっと小さい頃の昔から
ちゃんと心の中にいた人のはず。
よく耳をすませば
いつもそこにいた人であるはず。
「問題にもならない、取るに足らない」と
「これまでの自分」が
長いこと気にもしないでほったらかしてしまった人かもしれない。
もういっぺん、昔からいるその人の声を聞いて
今こそ
その人の力をこの世界に引き出してあげる時。
こんどは、その人の出番を人生に作ってあげる時。
その人こそが、のびのびと主役を張れるステージへと
自分の人生を作り変えていく時。
その時、
これまでは思いもよらなかったような
輝きや喜びや、やすらぎや自由が
そこにあることに気がつくでしょう。
それが、
「これまで」という旧エンジンから
「これから」という新エンジンへの切り替えという
転換期の本質なのではないかと
私は思います。