「お母さんに愛されてないかも?」と思っちゃった女子の皆さん、それ、あなたのせいじゃないよ

「投影」のしくみがわかると謎が解ける

心理の世界では、「投影」という概念があります。

投影とは、自分が嫌っていたり許してなかったりする自分の中の性質を、他人や出来事といった自分の「外側」に、まるでスクリーンのように映し出して見てしまう、という心のはたらきです。

つまり、自分で「自分のこういうところがイヤ!」って嫌って、しかもそのことに自分で気がついていないと、誰か他人の上にその嫌なところが拡大して映し出されて「あの人、イヤ〜〜ッ」てなるんだね。

とっても聞きたくない話かもしれないけど、「イヤなあの人のあーいうところ」っていうのは、自分の中にある自分のイヤなところ、っていうわけ。イヤですね(笑)

まあ簡単にいうとそれを投影、というのです。

これは別に特殊なことではなくて、誰もが日常的に気づかずにやっています。
で、人間関係がツライ・・・とかなるわけなんですけどね。

さて、この投影のしくみがわかると、人間関係の改善など、役に立つことはたくさんあるのですが、
今日はまず、どうもお母さんから嫌われてるんじゃないかと思っちゃった女子の皆さんに贈りたいメッセージです。

「私はかわいくない?」母と娘の葛藤

小さい頃から、なんかしらんけどお母さんからあまりいい扱いを受けてこなかったような気がする女子の皆さん。

いつも怒られたりとか、ささいなことでお母さんがイラッとしたりとか、いろんなことに眉をひそめて否定的なことばかり言うとか、何をしてもほめてくれないとか、弟にはニコニコやさしいのになんで私にはそんな顔しかしないの?とか・・・

そんな思いをしていたお嬢さん、いませんか?

母と娘って、そういうことになっちゃう場合があります。

「どうして私ばっかり」って思っちゃっても仕方ないし
「どうせ私はかわいくないんでしょ!愛されないんでしょ!」って思っちゃっても無理はないよね。

もちろん、これは全部のケースに当てはまるとは限りませんが、
世の中には、実は娘がそれほどかわいいと思えないとか、なんだかわからないけど好きじゃないとか、そんな思いを密かに抱えて罪悪感を持っているお母さんもいたりします。

もちろん娘本人にも、誰にも言えませんよ、そんなこと。
でも、ほんとのほんとはそんな思いがある自分にどこかで気づいていて、密かに自分を責めている人もいるんです。
自分でもなんでそうなっちゃってるのか、わけがわからなくてね。

これ、何でそうなっちゃってるのかっていうとね、

その娘自身が
何か可愛くない理由があるとか
何かが足りないからとか
悪い子だからだとか
あれがダメだからとか

そういうことは全く関係ないのです。
娘であるあなたに、原因は一切ありません。

大事なとこだから、もういっぺん言います。

娘の側に「愛されない原因と理由」は
一切ありません!!

じゃあそうなる理由は何かといったら。

お母さんが女だから。
そして娘も女だから。

ただそれだけの理由に尽きるんです。

お母さん自身が「女であること」つまり女性性を嫌っている。
それが深いところにある理由です。

母親が、母親自身の理由で「女である」というそのことに、受け止め難いものや嫌悪や罪悪感を持っていると、同じ女として生まれてきた娘に、その受け止め方さや嫌悪や罪悪感を、そのまんま映して見るのです。

つまりこれが、投影。

多くの場合、母親自身が、そのまた母親から「女なんて」とか「女は損だ」とか「あんたが男だったら」とか言われて育っていたりします。

あるいは、言われてなくても、社会的・文化的背景から「男尊女卑」的な価値観が入り込んでいたり、母親があまりにも苦労ばかりして辛そうだったりすることで、女性というものにネガティブなイメージを持っていたりすることもあるでしょう。

そうすると、自分が女であることがすごく嫌なことや、損なことや、汚れたことのように思うようになるんです。

しかもそれって、無意識レベルに刷り込まれるから自分じゃ気がつかないの。
無意識で気がつかない、っていうところが、投影が起こる最大の原因です。

そうすると、自分が産んだ子が女の子だった場合、特に我が子は一番近い間柄ですから、自分の切り捨てた嫌なはずの「女」が、娘の上に映し出されて見せつけられることになるんですね。

だから、娘という存在を見るだけで

「なんかしらないけどザワザワする」
「なんだか気に食わない」
「受け入れ難いかんじがする」

といったことになるわけです。

自分が自分の女性性に密かにイライラしているから
娘の上に見た「女性性」にイライラしちゃう。

そういうわけです。

でもね、これは全部無意識で起こっていることなので、お母さん自身だってそのカラクリに気づいていません。
だから、「娘を受け入れられない自分」や「優しくできない自分」に自己嫌悪して
「私は愛情が薄い」とか
「ダメな母親だ」とか
またまた自分責めを強くしていくんですね。

お母さんだってしんどいんだよね。

娘は「原因」を自分に探す

でも、そうやって投影される側の娘だって、そりゃあしんどいですよね。

だって、わけもわからず、お母さんに否定されたりキレられたりするんですから。
どうして自分には優しくしてくれないのか、わけがわからないですから。

でも、人っていうのは、「わけがわからない」という状態がいちばん耐えられないのね。

だから必死で「わけをわかろう」とします。
幼い娘なりに、どうしてお母さんは私にああなのか、疑問を解きたくなります。

謎で謎で、わけがわかんないから
わかろう、わかろう、として
それで答えをみつけます。

「あ!私がダメな子だからだ!」
「そうか!私がたりないからだ!」
「そうか、私はかわいくない子なんだね!」

納得!!

これで、答えがでました。

お母さんがああなのは、私がダメで、たりなくて、かわいくない子だから。

・・・・そう思うとですね、
人間て納得できるんですよ。
理由がみつかるから。

理由がみつかれば、どうすればいいのか次の手を打てますから、希望が持てる。

ならわかった!
じゃあ私がもっと

よくできて、ちゃんとして、しっかりして、勉強もできて、おてつだいもして、お母さんの気に入ることをして、いうことよく聞いて、弟妹の面倒をみて、にっこりわらって、愛想よくふるまったら

お母さんが私にやさしくしてくれるようになるんだね!!

そう思っちゃった。

お母さんに否定的に扱われた娘さんが、すごく頑張りやさんになるのは、こういうわけがあります。

頑張りやさんで、いろんなことができる子なのに、自己肯定感めっちゃ低いのも、こういうわけがあります。
だって「私はお母さんに愛されないダメな子だ」っていうのが根底にあるからね。
その「愛されない」を巻き返すために、これだけがんばってるわけですから。

でも、もうしんどいよね?
いいかげん、脱出したいよね?

じゃあ、そういう元・お嬢さんたちがどうしたらいいか、っていうのがここから。

お母さんがああなのは、私とは関係がなかった

ここで「投影」の理解がカギになってくるわけです。

お母さんは、自分が自分の「女性性」を受け入れ難く、否定するしかできなかった。
だから、それをあなたというスクリーンに投影していた。

てことは、
あなたは投影先のスクリーンにされちゃっただけです。

あなたという人そのものには、なーーんの関係もなかった!

まことに残念ながら、お母さんには、あなたの本当の姿は見えていなかった。
お母さんが見ていたのは、娘というスクリーンの上に映った、お母さん自身の中にある葛藤や罪悪感の幻影です。
お母さんはそれを見て、恐れたりイライラしたり否定したり、していたのです。

「あれ?でも、ウチの妹だって女なのにそんなことなかったよ。お姉ちゃんの私ばっかり辛くあたられたんですけどー!!」

っていう人もいるでしょう?
つまり、姉妹でも扱いが違うのね。

はい、残念ながらこれは、投影しやすい人に「お役」が回って来ちゃうものなんです。
おそらくそういう妹さん(またはお姉さん)は、お母さんとは全然タイプが違いすぎて、お母さんにはどうにもできなかった可能性が高いです。だから投影先としてはあんまり向かなかった、ということね。

で、おそらくお母さんと性質の似ているあなたが、無意識に、ちょうどいい投影先として選ばれたのかもしれません。

残念だったねーー。

まずは、おもいっきり残念がろう。

ほんっと、残念だったねーー!!

その上で。
これは残念なお話であると同時に
とっても希望のあるお話です!

だって、あなたのせいじゃないんだから。

そうです。
お母さんがああだったのは、あなたのせいじゃない!

これ、大事だからちょっと声に出して言ってみてください。
せーの、ハイ!!

お母さんがああだったのは
私のせいじゃない!

私とは関係がなかった!
お母さん自身の理由だった!
あー、なんだ
関係ない♪ 関係ない♪

ね?

てことですよ。

お母さんはあなたをあんまり可愛がれなかったかもしれないけど、それはあなたが「可愛がられないような子」なのとは違います。

あなたが、どんなに完璧な良い子であろうと
お母さんは、お母さん自身の理由で、
可愛がれないんです。

だって、そもそも
お母さん自身が
女の子である自分のこと、
かわいいと思えてないんだもの。
女の子の自分のこと、
ダメだと思ってるんだもの。

そりゃあ無理だ。

しょうがないよね。

というわけで、「投影」がわかると
そういう「お母さんの謎」も解けることが多いです。

私はあてはまらない!
という人はスルーしてね。

あてはまる!これ私だわ!
と思う人は、ぜひこの考えを使って
自分の「愛されない」をキャンセルしてくださいね。

大丈夫!
お母さんはあなたのこと、
そこまでかわいがれなかったかもしれないけど
この広い世の中、
大人になった素敵なあなたを
かわいいと思ってくれたり
大事だと思ってくれる人なんて
ゴロゴロいますよ!!

 


この記事を書いた人

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大塚 あやこ

心理カウンセラー/講師/音楽家
一般社団法人ビリーフリセット協会 代表理事
ビリーフリセット・クリエーションズ株式会社代表取締役
 
東京芸大作曲科卒。演奏家・作編曲家として20年間第一線で活動後、燃え尽き体験をきっかけに人生の転機を経て心理カウンセラーに転身。
悩みの根本原因に素早くアクセスする独自メソッド「ビリーフリセット®」を確立。個人相談から企業研修まで幅広く展開し、協会認定カウンセラーを多数輩出。Udemyオンライン講座「はじめての傾聴」は2万名超の受講者を誇る常時ベストセラー。 心の構造を論理的にモデル化する独自アプローチが、ビジネスパーソンから高い支持を得ている。

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