親との関係がWin-Loseになってませんか

カウンセリングでは
いろいろな方の悩みや心の限界についてのお話をうかがいますが
私の経験上、
悩んでる方、生きづらさを感じている方、
人生が不本意な感じを持っている方は、
ほとんどの場合、心の深いところで親との葛藤を抱えています。

葛藤といっても、
必ずしも親と仲が悪いとか、虐待されたとか
そういう場合だけをいうのではありません。

「親とはなんの問題もありません」
「普通に仲がいいです」
などと言う方にも、
実は奥深いところで親に対するさまざまな「思いの荷物」を
背負っていることも多々あるのです。

なぜなら、その「問題のなさ」「仲のよさ」が
自分が親に従って、合わせて、我慢して
自分を抑えることで成り立っているのであれば

そうやって我慢して抑えた自分自身は
気づかないところで
負担を背負って消耗していたりするからです。

そんな「親孝行」な方々もたくさんいます。

そのことをたとえるのにちょうどよい言葉をみつけました。

Win-Win
Win-Lose

という言葉です。

ビジネスで使われることが多いですが、

双方にメリットがあり、共に繁栄していくような関係を
どちらも勝つという意味で
Win-Win というのですね。

逆に、片方だけにメリットや繁栄があり
もう一方はデメリットを被って消耗していくような関係を
Win-Lose といいます。

で、親との関係の話。

悩み多い人、生きづらい人の場合、
そもそも親のためにとーってもガマンしています。

自分の気持ちを抑え
言いたいことも言わず
自分の選びたい道も諦め

やがて
自分の気持ちもわからなくなり
自分の望みも見失い
自分がなんだったのかもわからなくなり。

とにかく
機嫌を損ねないように
嫌われないように
言われたことに従い
親のために自分を殺し
がんばらなきゃ、もっとやらなきゃと
自分を追い立てて
なんでできないの、まだダメなのと
自分を責めて生きる。

それは実は
親の機嫌、親の喜び、親の望み、親の気持ち
を第一優先して
自分の機嫌、自分の喜び、自分の望み、自分の気持ち
を捨てているということです。

これ、どっちの側がメリットで繁栄か、
どっちの側がデメリットで消耗か、
一目瞭然ですね。

親がWin
自分がLose

つまり、親と自分の関係において
圧倒的に Win-Lose なわけです。

そりゃあ、しんどいでしょう。

親の Win のために
自分はいくらでも Lose する。

それは、幼い子供の精神構造です。

子供はそもそも無力ですから
親に世話をしてもらわないと生きられない存在。

子供にとって親は絶対的な存在であり、
なにより、子供はお父さんお母さんが大好きです。
それは子供なりのけなげな愛ですね。

ですから、幼い子供というのは
その親のためなら
自分のことは捨ててでも
親のことを持ち上げるよう
無意識に選択するのです。

親にいちばんいいように、
自分を合わせ、従い、
自分を殺しさえするんです。

そうでなかったら
愛されない。見捨てられる。
イコール、生きていけない・・・
と思い込むからからです。

でもそれは、無力な子供の時代の話です。

やがて成長し、大人になったら
もう無力ではないし
親に面倒みてもらわなくても自分で生きていけます。

にもかかわらず、
その時作った
親の Win のために、自分が Lose する。
という心の刷り込みが、
無意識下でいつまでも発動し続けているのです。

だから、大人になっても
いつも親の顔色に怯えている。
自分の気持ちを通したり
親が好まないことをすることに罪悪感を感じる。

親をさしおいて、自分が勝手に幸せになったら
親を見捨てて裏切ることになる・・・

その思い込みはまるで

自分が Win したら親が Loseする。
そんなことは絶対するわけにいかない。
だから、私が Lose し続けないといけない。

という論理に怯えているかのようです。

でも、その論理って、本当に正しいんでしょうか?

自分がWinしたら、本当に親がLoseするんでしょうか?

どうしていつまでも
親ばかり Win にさせておかなければならないんでしょうか?

どうしてそのためにいつも
自分が Lose でなければならないんでしょうか?

どうも世間では
自分が Lose して親を Win にさせ続けることを
「親孝行」と思っている人が多いようです。

それは本当に親孝行なのでしょうか?

その理屈であれば、
人類脈々たる歴史の中
いつも子供は親のためにLoseし続けて
それを次の子供にも、次の子供にも受け渡して
いつもみんなが Loser として生きていかなければならないということになります。

それって変じゃない?
それでは永遠に「不幸の拡大再生産」が止まらない・・・
ということになると、私は思います。

本当に成熟した大人同士のつきあいというのは
双方 Win-WInであってこそ
気持ちよく長続きし、持続的に発展できるものです。

他人だったら、当然そう思えるのにね。

親子がそうであってはいけない理由がありますか?

「だってあの親だもーーん、ムリ!」
っていう人もいるかもしれないけれど。

どんな親かは置いといて。
その親に対して勝手に Lose している自分を
そろそろ問い直してみるのはどうでしょう。

そういう「見上げ目線」をやめて
自分がWin することを考えてもいいのです。

まず自分が自分の Win を
取りに行くことができるようになったら。

そういう自分として
もっと力があり、知恵もあり、分別もあり、経済力もある
いっぱしの大人として親の前に現れて
あらためて親と同じ目線で立つことができます。

そういう自分として
大人になった自分の力で、
親を助けたり喜ばせたりすることもできるはずです。

我慢でもなく、自分を殺すでもなく。
そのままの自分で、自分を生かしながら。

それが Win-Win の関係。

そして、そんな自分になったら
親がべつに喜ばなくたって
いつまでも文句や愚痴を言っていたって
それも親自身の選択として、それでOKであることを
受け入れることができるようになります。

それが、大人としての
次元を上げた「親孝行」というものではないかと
私は考えています。

悩み多い人、生きづらい人。
親との関係が
Win – Lose になっていませんか?

 


この記事を書いた人

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大塚 あやこ

心理カウンセラー/講師/音楽家
一般社団法人ビリーフリセット協会 代表理事
ビリーフリセット・クリエーションズ株式会社代表取締役
 
東京芸大作曲科卒。演奏家・作編曲家として20年間第一線で活動後、燃え尽き体験をきっかけに人生の転機を経て心理カウンセラーに転身。
悩みの根本原因に素早くアクセスする独自メソッド「ビリーフリセット®」を確立。個人相談から企業研修まで幅広く展開し、協会認定カウンセラーを多数輩出。Udemyオンライン講座「はじめての傾聴」は2万名超の受講者を誇る常時ベストセラー。 心の構造を論理的にモデル化する独自アプローチが、ビジネスパーソンから高い支持を得ている。

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