「自分責め」の構造
「ああ〜、またやっちゃった」
「自分、何やってんだ、バカバカバカッ」
「やっぱりダメだ、全然足りない、まだまだ未熟」
「自分なんてどうせこの程度じゃん。調子にのるなよ」
「こんな自分じゃダメだ!」
「自分なんて大っ嫌い!もう消えた方がいい」
とかとか・・・・
自分を責めるの、クセになっていませんか?
今日はそんな方達へのメッセージです。
何かあるとやっぱり自分を責めてる。
不思議と他人に対しては、
そんなに責めたり怒ったりすることはないんだけど。
とにかく自分。
いけないのは自分。
悪いのは自分。
足りないのは自分。
なんでこんなに自分責めちゃうんだろうね。
もちろん個別の事情はいろいろあるので
原因はぜったいにこれ一つ!と言い切れるものではないのですが
自分を責めるのがクセになっている人は
一つ、考えてみた方がいい大きなポイントがあるので
今日はこれをお伝えしたいと思います。
そういう人の心では何が起こっているんでしょうか。
自分を責める人は、
本当は他人に対して怒ってる。
なのです。
それでありながら
他人に対してぜったい怒っちゃいけないと思ってる。
なのです。
つまりですね。
自分を責める人の心の中では
ぜったいに
外に怒りを向けないように設定
されているというわけです。
本当は他人に対して怒っているのに
その怒りの気持ちを封印する。
そして、本当は外に向けたかったはずの怒りの矢印を
クルッと逆にひっくり返して
自分に向ける。
自分に向けて怒りを逆流 させるわけです。
それが「自分責め」です。
だからあなたは、自分に向けて
ひどいことを言って、責めて、怒って・・・てやってる。
だけど、なんでそんなことしてるんだろう?
「逆流」の始まりは小さいころの自分
実は、そこに「過去」がからんでいます。
はい、毎度おなじみ。
「またそこか。やっぱりそこか。」のお話。
実はあなたの中にはたくさんたくさん
怒りがあります。
それはもう、昨日、今日だけのことではなくて。
昔むかし、大昔から。
大昔の怒りとは?
それは誰に対する怒り?
はい、親 です。
うへ〜。なんかすごくヤでしょ。
ザワザワするでしょ。
そんなの、ない!!考えたくない!
って逃げたくなってませんか?
だとしたら、悪いけどやっぱり図星かも。
親です。
ちっちゃい子どものころ、おそらくあなたは親に
「なんで!」「いやだ!」「やめて!」
「なんだよもう!!」「いいかげんにしろよ!」
なーんていう
腹立つ気持ち、怒りたい気持ちを持ったことがあります。
そりゃね、親も完璧ではないですし
親子といえどもお互い性質の違う人間ですから
そりゃあそういうこともあります。
子どもだって、嬉しいこともあれば腹立つこともありますよね。
だから、そういう気持ちを持つことは
ほんとは悪いわけではないのだけど
でも、子どもの立場は弱いので。
世話をしてもらう必要があるし。
怒らせたらこわいし。
そしてなにより、愛してもらいたいし。
子どもにはそういう弱みがあるんですよ。
だから親に対して
そんな怒りの気持ちを自分がぶつけたら
親に嫌われてしまう!
親を怒らせてしまう!
親を傷つけてしまう!
って、子どもの無意識は思うんです。
だから、親にはぜったいに怒っちゃいけない。
親に怒りを向けてはいけない。
怒る気持ちなんか感じちゃいけない。
そうやって親に対して向けたかったはずの怒りを
ビターーッと封印します。
そして、親に対してそんな怒りの気持ちを持ってしまった自分が
いけないんだ。
悪いんだ。
足りないんだ。
こうやって、自分の方へ逆流させて
自分が悪いことにするのです。
そうするとね。
安全なんですよ。
親に嫌われなくてすむし。
怒らせなくてすむし。
傷つけなくてすむし。
子どもはけなげですね。
親に嫌われない、親を怒らせない、親を傷つけないためなら
親の機嫌をよくさせるためなら
いくらでも
自分を嫌いになり、自分を責め、自分を傷つける。
自分が「悪い側」になることを厭いません。
自分が悪い側になって
「悪かった、ごめんなさい」という態度をしておけば
とりあえず親の機嫌は保たれるということが
経験則で身についているのです。
そうやっておいた方が
安全に生きられるというメリットがあります。
そういうわけで、実は
怒りを逆流させて自分を責めることには
多大なメリットがある
ということなのです。
だからなかなかやめられないのです。
いっぺんちゃんと怒ってみよう
自分を責めているうちは
あたりまえですが
自己肯定感はいつまでも低いままです。
自己肯定感が低い人は多くの場合
こうした「怒りの逆流」の構造を持っています。
この構造を見抜かずに、単純に
「自分を責めないようにしよう」
「自分を肯定しよう」
なんて努力をしても、だいたい無理なのです。
ですから、自分責めがやめられない人は、まず
自分を責めることで「都合のいいこと」は何?
という、「メリット面」について考えてみるといいでしょう。
それから根本的な対策としては、
過去の自分に戻って、
あの時の自分が本当は親に対して怒りたかった気持ちを
あらためて今、感じて、あえて怒ってみることです。
いっぺんちゃんと怒れ!
ってことです。
だって怒ってたんでしょ?
怒っていいから。
ちっちゃいその子にとっては
それがせいいっぱいの正義であり本心。
そんなちっちゃい子の素直な気持ちぐらい
認めてあげても大丈夫だから。
そこ、あいまいにしてるから、
いつまでも自分責めが止まらないのだから。
「なんでこうなのよ!」
「これがやだったんだよ!」
「こういうことしないでよ!」
そういう、やだったこと。
さらに
「ほんとはこうしたかったのに!」
「ほんとはこうしてほしかったのに!」
ほんとはほしかったこと。
この両方を、声に出して、態度に表してみることです。
泣いても、叫んでも
お布団ぶんなぐって暴れてもいいから(^ ^)
・・・といった時に
いや〜、それはできないでしょう〜
親のことをそんな・・・((( ;゚д゚)))
と、めっちゃ抵抗感が出るとしたら・・・
とってもガマンしてきたね。
いい子だったね。
えらかったね。
うん。がんばった、がんばった(^ ^)
これは、今いる実際の親に向かってやる必要はありません。
リアルな親のことは放置しておきましょう。
これはあなたの心の中にいまだにいる
「あの時の親」と「あの時の自分」とのことだからです。
いまさら年老いたリアルな親にそんなものをぶつける必要なく
あなた一人で
「あの時」の感情を清算していくことが可能です。
そうやって自分の心の中で清算できたなら
それまで親に対して感じていたモヤモヤや重さは
以前よりずいぶん減っていることにも気づくでしょう。
カウンセリングやセラピーでは
プライバシーの守られる安全な場所で
カウンセラーという同伴者とともに
こうやって「あの時の自分」と出会っていきます。
自分で試したい方は、自分の部屋で一人になって
チャレンジしてみてもいいでしょう。
これ、やってみるとね。
自分の中に失われていた「力」がよみがえってくるのを感じると思います。
「ああ、自分にもこんなパワーがあった!」ってね。
怒りは、エネルギーであり、パワーです。
もともとは、自分を尊重し、自分を守るパワーであるものです。
このエネルギーを封印したら
見かけ優しくて従順なだけで
自分がわからず、自分の尊厳を守れず、
どんどん他人に侵食されるばかりの腰砕けになってしまいます。
これが「自己肯定感が低い」っていうやつですね。
昔、本当は怒っていたことを
ちゃんと怒ることができるようになった時。
そして
今、日々生じる怒りも
ちゃんと怒りとして認識して
認めることができるようになった時。
自分を責めることも
だんだんと減っていくでしょうし
自分が自分として立つことのできる「芯」のようなものが
育っていくでしょう。