幼い頃から私は
話を聞いてもらえない
ということに苦しんできた。
ただ「そうなんだねぇ」と言って
聞いてもらうことを
渇くほど求めていた。
だから今
「そうなんですねぇ」と言って
人の話を聞く仕事を
喜んでやっている。
幼い頃から私は
人の心の謎に本当に困惑した。
人と自分と世界がなぜ
こういうことになっているのか
謎解きに頭を使わずにはいられなかった。
だから今、
人の心の謎とカラクリを
解き明かし
「だからなのか!」と
自分が納得して喜び
それを人にも伝えて
喜んでもらえている。
若い頃私は
自分の無力感に苦しんだ。
自分は動くことができない。
自分にそんな力が
あるとは思えない・・・
だから今、
自分の力を信じられない人が
自分の内に既にあった力を
見出してゆく瞬間を
喜んで共にしている。
不思議なことに人は、
一番苦しんだことが
一番の力の源泉に変わるようだ。
いちばん欲しくて欲しくて
だけど得られなかったものが
いちばん人にあげたいものに
変わるようだ。
苦しみ、痛みや
恥でしかなかった過去の中に
自分の本来の力と使命が
既に孕まれていたことに
気づいた時。
自分の存在と人生を
まったく新しい眼で
受け止めている人になっている。
恥ずべき闇が
誇らしい宝に一瞬で変わる。
その原点から
生きる力が蘇ってくる。
苦しんだからこそ、
その大切さがわかる。
その有り難さがわかる。
それほど苦しんで
格闘してきたのだから
もう十分それをやる力はついている。
それは
生半可な長所なんかじゃない。
泥をくぐって
根っこから生え抜いた
オンリーワンの強みだ。
だからこそ、
こんどはそれを
人にあげていく番だ。
それほど大切なものだからこそ、
それを人にあげることに
深い喜びを感じるのだ。
やがて
同じ苦しみを持つ人が
あなたに何かを感じ、
何かを見出すようになるだろう。
あなたに触れることで
再び立ち上がる力を
得ていくようになるだろう。
たった一人で苦しんできた
そのことが
たくさんの人ための
力へと変わっていく。
狭い家族の中で
必死に培ってきたその力が
もっと広い世界のための
力へと変わっていく。
人生の不思議と妙味。
だから
苦しみを見ないで
やりすごすことは
その宝を埋もれさせて
終わることになる。
苦しんできた自分に
真正面から向き合い
飛び込むことの意味はそこにある。