「やりたいことをやる」の3つの段階

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「やりたいことをやる」を考える 

ここ数年〜今年にかけて

「やりたいことをやる」
「やりたいことを仕事にする」

ということに、多くの人の関心が集まっているようです。
その実現へ向かって、人生をシフトした人も少なくはないでしょう。

私自身もそう。
20代から音楽という「やりたいこと」を仕事にしてきた人生でしたが、
40代になって、もうそれがそんなにやりたいことではない感じがしてきたので、
あらためて「やりたいこと」は何だろう?と考えて
現在は、人の心や人生に関わることをやっています。
そっちの方が、今はやりたいことだと感じています。

ある意味、私はやりたいことには貪欲なんだと思います。
そして、実際に「やりたいこと」を仕事にして
それで食うということに関しては
けっこう年季が入ってるよー、って言っちゃいます。

そういう私として、あらためて
「やりたいことをやる」とは何なのか、と考えた時に
思い至ったことがあります。

「やりたいことをやる」にも、段階がある!

ということです。

「やりたいことをやる」のその中身は
初級から上級まで、イロイロあるのだと思います。

3つの段階を名付けてみましょう。

・初級:「自分の満足」の段階
・中級:「人の要求に応える」段階
・上級:「自分の宝を世界に与える」段階

では説明しましょう。

初級は「自分の満足」の段階

「やりたいことをやる・初級」というのは、
「自分の満足」レベル。

自分が好きなこと、気持ちいいこと、満足できること。
それをやりたいんだ! という段階です。

たとえば

南の島に行って、ノンビリ寝ていたい
全国の温泉に入ってまわりたい
いろんなところへ旅して、いろんな景色を見たい
いろんなおいしいモノを食べ歩きしたい
便利でかっこいいガジェットを買いまくりたい
最新のコスメを使ってキレイになりたい
音楽や文章や写真で自己表現したい
自分の好きなモノに囲まれていたい

・・・・などなど。

他にも、いろいろ上げればキリがないと思いますが、
つまり、これらのいちばん底に流れている共通点は

自分が、満足したい
自分が、満たされたい

という欲求です。

そういう欲求がいけないわけではありません。
満足したいように、満たされたいように
自分のやりたいことをやろうとするのは
人間として当然のことです。

そういう「やりたい」を実現できるよう行動し、
手に入れて満足を得ることは、
人生における一つの楽しみであるでしょう。

趣味とはそういうものですし、
生計を立てる仕事とは別に、
こういうことを追求して楽しむ人生もよいでしょう。
「やりたいことをやる」の一つの形としてアリですよね。

初級レベルの落とし穴

しかし。
これはまだ、第一歩め。初級編です。

ここから先
「やりたいことを仕事にする」ということを考え始めるならば、
このレベルの「やりたい」には限界があります。

これは、あくまでも「自分の満足」レベルなのですよね。

そして、このレベルの落とし穴は、
もしかして・・・

自分の心の奥深くに元々ある満たされなさ
満たしたい、満たそう・・・という衝動から
「やりたい」と思っている可能性があることです。

この「満たされなさ」というのは、実は存在レベルのもの。
ふだんは気づかない深層心理の領域の話です。

自分という存在を自分がどう受け止めているか、
というところにかかっているものなので、
本当は、モノや行為によって埋まるものではないのです。

しかし、意識の上ではそんなことは気づかないので、
その時々の満足を求めてやまない・・・・
というサイクルを続ける可能性があります。

自分の空虚感を埋めてくれるもの、
自分を満足させてくれるものを
どこまでも探しにいく、求めにいく・・・・
それを「やりたいことをやる」だと思っている可能性もあるわけです。

繰り返しますが、それでいいのならそれでもOKです。

ただ、そこからさらに
「やりたいことで、お金を得たい」
「やりたいことを、仕事にできたら・・・」
と望むのならば。

そうした時に
この「自分の満足」レベル、特に
「自分の隠れた満たされなさを埋める満足」レベルでは、
「仕事、お金」という次の山を超えていくことはできないでしょう。

どうしてもこの種類の「やりたい!」の衝動だけでは
浅いところで終わってしまい、
なかなか軸が定まらない可能性があるといえます。

中級は「人の要求に応える」段階

「やりたいことを仕事にしたい」
「やりたいことでお金にならないだろうか?」

そう思い始めた時、真っ先に浮かぶのは

この「やりたいこと」が
ホントに仕事になるのだろうか?
いったいどうやって、コレがお金になるのだろうか?

という疑問ではないでしょうか。

さて、そこで。
次のステップ、中級の段階となるわけです。

中級レベルになると
「自分の満足」だけではもう回りません。

なぜなら、自分の「やりたいそれ」
「必要としてくれる他者」という存在が関わってくるからです。

「自分のやりたいこと」を
他者が受け入れてくれるかどうか。
他者がそれに価値を見てくれるかどうか。
他者がさらにそこにお金を出してくれるかどうか。

これはいきなり高いハードルになるでしょう。

まあ要するに
「やりたいことやります。お金ください。」
はないということですね。

これは、音楽やアートで食っていこうとする人なら、
誰もが最初に学ぶことだと思います。

だからこそ、
「やりたいことをお金にする、仕事にする」
の一つの形として
自分のやりたいことを使って、人の依頼を受けて応える
という仕事のしかたが生まれるわけです。

相手の望むことを、自分のやりたいことの範囲で提供し、
報酬としてお金を頂く・・・
そうやって「プロ」というものは始まっていきます。
そこで、プロ意識というものが磨かれていくんですね。

「やりたいこと」と「お金を得ること」
「やりたいこと」と「求められること」
このせめぎあい、ままならなさ、妥協と葛藤、
それでも自分を通すのか、どこまで通すのか
どこまで譲れて、どこまで譲れないのか・・・

ここを通らなかったクリエイターはおそらくいないはず。

その中で、自分を磨き、能力を磨き、
自分に問い続け、世間を考え続け、
自分と世間との合致点を見出して
成長していくのだと思います。

もちろん、葛藤ばかりではありません。
そうやって自分の能力を評価されるようになり、
存分に「やりたいこと」で能力を発揮できることの喜びを
味わうこともできます。

初級レベルのような「自分の満足」を超えて
以上のような諸々が
「やりたいこと」の上に乗っかってくるのが
「やりたいことをやる」の中級レベルだといえます。

中級レベルの限界とは

しかし、この「依頼に応える」という段階にも
それ相応の限界があります。

これをやっていると確かに「プロ」として磨かれますが
一方で、いつも自分が
依頼される側、仕事をもらう側、相手の要求に応える側となり、
それに安住していると、いつしか目線が
依頼をしてくれる人、仕事をくれる人ばかりに向いて、
その人たちの評価や評判に一喜一憂するというサイクルに
いつの間にか陥りかねないところです。

それで仕事が回っているならいいじゃないか?
というところで納得していればいいですが
いつしか
「本当にこれが自分のやりたいことだったんだっけ?」
「自分、誰のためにやってるんだったっけ?』
という根源的な疑問にぶち当たる時が、来るかもしれません。

上級は「自分の宝を世界に与える」段階

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さて、そうした時に、
またちょっと違う観点が役に立つかもしれません。

「コレがやりたいか、アレがやりたいか?」

と考えることを一度やめて
まず、自分の中身をちゃんと見ることです。

そもそも自分は何を持っているのか、をちゃんと見ます。
過去から現在に至るまで、くまなく振り返り
自分の「」を見るのです。

素質、資質、特質、才能、個性
得意なもの、向いているもの、独自なもの・・・

という内的なものも。

生まれや育ち、縁のある土地や人
物やお金、学歴、容姿、諸条件・・・

といった外的なものも。

人生に望むこと、世界に望むこと、
何に燃えて、何をほっておけなくて
何のためなら全力を出せるのか。
やむにやまれぬ魂の衝動は何か。

といった世界や使命へのまなざしも。

「いやいや、自分にはそんなモノ全然ないから〜〜」
「自分なんて」
と言っている段階では、
まだちょっと上級は難しいかも。

素質、才能、独自性のない人はいません。
宝とギフトがない人はいません。
いかにそれを、自分が受け入れているかです。

この自分のことを、ちゃんと受け入れられる。
この自分が持っているものを、才能を、ギフトを、
自分でちゃんと評価して受け取れる・・・

そういう状態になっていることが、この段階の前提です。
そのためには、ある程度の自己探究と
自己受容のプロセスも必要になるでしょう。

「自分にそんなものないし!」としか思えない方は
まずは自己否定の回路から脱出することに
取り組まれるとよいかもしれません。

そのプロセスを経て
自分の持っているもの、自分の宝を
自分でちゃんと受けとることができたら、
自然とそれを
他者に、世界に、分け合いたくなってくるでしょう。

みんなに分かち合いたい。
みんなにもあげたい。
私の持っているものが、みんなの役に立つなら
どんどん使ってもらいたい。

という気持ちも湧いてくるでしょう。

私が願うこのことは
きっと世界のみんなにとっても良いことに違いない!
多くのみんなのためにも、
このことを私が少しでもなんとかしてみたい!

そんな確信も強まってくるでしょう。

ほっておけないこのことを、
誰かがやらないんだったら、私だけでもやってみよう。
たとえ大海の一滴でも、私はそれをやってみよう。

そんな勇気も湧いてくるでしょう。

だったら、もっとこうしたら、ああしたら、
こういうふうにしたらどうだろうか、
こういうふうにしてあげたら、もっといいんじゃないか・・・?

そんな知恵や工夫も生まれ
どんどん実行するようになってくるでしょう。

それを思いっきりやることが、上級レベルでの
「やりたいことをやる」です。

このように、自分の中の宝を分かち合うという姿勢でいると
不思議なことに、
ちゃんとそれを喜んでくれる人も現れるものです。
その方達に「どうしてあげたらもっといいかなー」と
考えて行動していると
必要なお金もやってきて、仕事になったりするものです。

この段階では
「やりたいこと」「他者の存在」に葛藤がありません。
自分の「やりたい」と世界の「必要」が一致しています。
自分の「喜び」と人の「喜び」が一致しています。
「やりたいこと」を思いっきりやることが
そのまま人のためにも世界のためにもなっていきます。

自分が満たされたい「満足」を超えて
人の依頼に「応える」ことをさらに超えて
自分の中にある宝を世界に与えていくこと。

それが「やりたいことをやる」の上級レベル。

それは、自分の内側を掘り下げるところから始まります。

どれをやるかは、自分しだい!

このように、同じ「やりたいことをやる」という言葉でも
こんなに中身の質の違いがあるのだといえます。

ここでは便宜上、初級・中級・上級 と名付けましたが
べつに順番に上がるもんだというわけではありません。

初級の「満足」レベルでOKでもかまわないし、
中級なしで、いきなり上級を選んでみることもアリかもしれません。
どれも、それぞれの人生。
納得のいく選択ができればいいのですから。

その上で
「やりたいことを仕事にするって?」とお考えの方には、
「自分の宝を世界に与える」という観点から
「自分がみんなにあげられるものって何だろう?」と
考え直してみると、
これまで見えなかったものが見えてくる可能性があると思います。

実はね、ぶっちゃけ
自分が持っているものをちゃんと受け取れるようになったら
なんだかんだ言わなくたって、
なんでもオッケー、なんでもハッピーになるもんなのです(^ ^)

今ある「悩み」が悩みでなくなる場所というのが
必ずあります。

そのためにも、
自分の内側に、答えを探すことがカギだと思います。


この記事を書いた人

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大塚 あやこ

心理コンサルタント/作曲家/ピアニスト
一般社団法人ビリーフリセット協会 代表理事
 
東京芸大作曲科卒業後、演奏家・作曲家として活動。アーティストのツアーサポートや編曲、アニメやドラマのサントラ作曲等を手がける。
 
音楽での燃え尽き体験をきっかけに、心理カウンセリング/セラピーへ転身。
悩みの根本原因に迫るオリジナルメソッド「ビリーフリセット®」を提唱し、前に進みたい人、人生の転機に直面した人などを新しいステージへと導く個人セッションや講座を開催。「ビリーフリセットで人生が変わった!」という人多数。カウンセラー養成講座も開催し門下の認定カウンセラーを多数輩出している。
その他、心と意識をクリアにするサウンド瞑想など、独自の立ち位置で音楽制作やライブイベント等も行っている。

◎一般社団法人ビリーフリセット協会代表理事
◎淨音堂株式会社代表取締役

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