「同期の桜」はいい歌だった/歌詞編

 

最近「同期の桜」という曲をあらためてじっくり知ることになり、
その音楽的な巧みさについて前回のエントリー「音楽編」で書きましたが、
今回は歌詞について思ったこと「歌詞編」です。

実は切ない青春の歌だった

さて、歌詞については私の場合、第一印象

「みごと散りましょ国のため」だあ〜? 
うへ、そういうの苦手なのよー(~。~;)

と拒否反応が出そうになったのが正直なところ。

しかし、5番まである歌詞は、ちゃんとドラマになっていたんですね。
以下要約。

 

兵学校でも、航空隊でも同期のお前と俺。

同じ庭に咲く桜のようなものだ。

桜なら国のために散るんだよな。

肉親でもないのになぜか気が合って

仲が良かった俺たちだけど、

ある日お前は飛行機に乗ったまま帰らぬ人となった。

その日までは、とお互い誓ったのになんでこんなことに・・・

しかし、お互い別の場所で散っても

靖国神社の桜になって、春になったら咲いて会おうな!

(歌詞全編はこちらのサイトを参照ください)

 

うわ、、、切ないわあ。。。
これ、軍隊の歌というより、青春の、友情の歌だったのね。

「音楽編」ではその音型(モチーフ)使いの巧みさについて書きましたが、
別記事:「同期の桜」はいい歌だった/音楽編 

歌詞においても
「桜」のモチーフがうまく全体を導いて
すばらしい構成感になっていると思います。

大義名分が心の支え

「国のために散る」とか
「靖国神社で」とか

現代の私などには
ちょっとリアリティの持てない概念だけど、

でも、当時の若者は
そういうパラダイムの中で生きていたんだから
それが前提で当然なわけですよね。

私なんかがとやかく言えるようなもんではないのです。

戦争という大きな渦に巻き込まれて

否応なく軍隊に連れて行かれる。
人を殺すことを強要される。
自分が死ぬことを強要される。

そこには
「自分がどうしたいか」なんていう選択肢はない。

巻き込まれちゃったら
巻き込まれるより他に道はない。

それを理不尽だとか、嫌だとか
言いだしたら

あるいは

自分の命がどれほどの軽さで
扱われているのか、とか

そもそも本来どうあるべきか・・・
とかなんとか考え出したら

辛すぎて酷すぎて
普通の神経では生きていけないでしょう。

そんな時に支えになるのが「大義名分」であり、
救いになるのが「概念」であるかもしれません。

「こんな自分でも役に立つ」
「この行為は大いに何かのためになっている」
という気持ち。

それがあれば、人は立つことができる。
辛い現実に立ち向かうことができる。

「国のためだから」
「天皇陛下のためだから」

それが当時の彼らにとっては、
砕けそうになる心を持ちこたえるための
支えだったのではないか・・・・

そんなことを思うのです。

そうでも思わなければ
ただ死ねと言われて死ねるもんじゃない。

自分の置かれた境遇や
せざるを得ない行為に対して
立派な意味を持たせないと心が折れてしまうから。

最後まで落ち着いた心でいたいから。
毅然とした自分でいたいから。

若者達は一生懸命
その大義名分を心の柱に立てて
精一杯勇気を振り絞って
向かっていったのではないでしょうか。

もちろん、その「大義名分」は
自らの意志以前に、
時代に、国家に
刷り込まれたものであったとしても。

自分の意思で選べない人生

そして、「死んだらただそれだけ」じゃ、
やっぱり虚しくて悲しくてやりきれない。

この歌でいうならば
「靖国神社で咲いて会おう」は
いわゆるロマンですね。

「死んだら靖国神社」という物語(概念)があるがゆえの。

そう思うだけで
ちょっと胸が温かくなるから
悲しみにも、ちょっと行き先が見えるから
少しでも誇らしく思って逝けるから

やっぱりその物語は救いなんだと思います。

物語が事実であるかどうかとは別の次元で
その物語を信じることが救いになる、
ということは多いにあることです。

この歌は
西条八十(作詞)
帖佐 裕(編詞)
大村能章(作曲)

という優れた作家の方達が作った
あくまで歌の世界ではありますが、

私はこの歌が少なからず、
当時の若者達の心情の代弁であったのではないか
と感じられてなりません。

青春と友情を
そのような大義名分と物語で
支えて散らなければならなかった
こんな若者が何人もいたんだろうな・・・・
と想ってみるのです。

そうするしかない。
そう思うしかない。
決して自分の意志で選べない人生。

切ないね。

翻って、今という時代はますます

「自分はどうしたいのか」を軸にして
「何を思い、考えるのか。それをどう実現するのか。」
「何を選択し、どう行動するのか」

をいくらでも自分で決められる時代。

自分の身の振り方についても、
変える気さえあれば
かなりの範囲で変えていける時代。

選択できなかった彼らの時代を思えば
どれほど恵まれているでしょうか。

確かに今だって
色々な事態がふりかかる大変な時代ではある。

でも私達は
こんなに選択できる自由だって確かにある。

だからこそ、
どんな選択をして、どうしていくのか

自覚的に、真剣に、
考えて生きていかないと!って思います。

選択できずに、
それでも精一杯引き受けて散った
昔の人達を思って

8月15日。

 

聴いてみたい方はこちら  YouTube  同期の桜

別記事:「同期の桜」はいい歌だった/音楽編

 

 


この記事を書いた人

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大塚 あやこ

心理コンサルタント/作曲家/ピアニスト
一般社団法人ビリーフリセット協会 代表理事
 
東京芸大作曲科卒業後、演奏家・作曲家として活動。アーティストのツアーサポートや編曲、アニメやドラマのサントラ作曲等を手がける。
 
音楽での燃え尽き体験をきっかけに、心理カウンセリング/セラピーへ転身。
悩みの根本原因に迫るオリジナルメソッド「ビリーフリセット®」を提唱し、前に進みたい人、人生の転機に直面した人などを新しいステージへと導く個人セッションや講座を開催。「ビリーフリセットで人生が変わった!」という人多数。カウンセラー養成講座も開催し門下の認定カウンセラーを多数輩出している。
その他、心と意識をクリアにするサウンド瞑想など、独自の立ち位置で音楽制作やライブイベント等も行っている。

◎一般社団法人ビリーフリセット協会代表理事
◎淨音堂株式会社代表取締役

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