独立・フリーだけが「やりたいことをやる」じゃない

私はフリーが性分に合ってたけれど

私は芸大を出てからこのかた一度も、いわゆる「就職」というものをしたことがありません。

会社や組織に所属したという経験がないのです。

学生のころからホテルやレストランでピアノを弾く仕事をしていたため

とりあえず卒業してからもそういう仕事を続けつつ、だんだんとアレンジやツアー演奏の仕事などに足場を変えて

28歳くらいにはミュージシャンとして食えるようになっていました。

その間も、いわゆる「事務所」というものに所属するようなご縁がなくて(あ、一度オファーをいただいたけど断っちゃった・・・)

終始一貫「フリー」でやってきて、現在は心理カウンセラー/講師を主な業務として法人化しています。

私の場合、もともと個人プレイヤー・タイプなのでそれが性分に合っていたのだと思います。

そのせいもあって、私のところには
「会社をやめたい」
「好きなことを仕事にしたい」
という方たちのご相談も多く

私はそのための心の整理をお手伝いしたり、時には思いきり背中を押したりすることも多いです。

独立・フリーに向き不向きはある

でもね、最近私は思うのです。

必ずしも「独立する」「フリーになる」だけを目指すこともないんじゃない? と。

ちゃんと自分の個性や志向を見極めたほうがいいんじゃないかな、と。

なぜなら、それにはやはり向き不向きがあると思うからです。

私が考える独立・フリーに向いていると思われるタイプは

・個人プレイヤー・タイプ

・自分でヴィジョンを描き、判断し、意思決定してどんどんチャレンジしていくのが好き

・変化や波風や未知への挑戦を喜びと感じて、立ち向かうことが好きな開拓志向

・不安定やリスクへの耐性が高い

・自分が表に立って人に見られたり、一人で責任を背負ったりするのが大丈夫なリーダー志向

というかんじですね。

逆に

・チーム・プレイで力を発揮するタイプ

・意思決定は誰かにしてもらって、その人のプランや指示に従って着実に業務をこなすことが合っている

・変化や波風や未知のことが苦手で、日々変わらずに淡々としたペースで積み上がるほうが好き

・安定や安全が確保されていることが大事

・自分が表に立って人に見られたり、一人で責任を背負ったりするのは苦手

という方もいます。

どちらがいいとか悪いとかいうことではないのです。

「独立」じゃなくてもいい

なんとなくみんなが「会社やめて独立!」と言っているからといって、そればかりがかっこよく善というわけではありませんし

それが本当にあなたのしたいことなのかどうかも、もう少し考えてみてもよいかもしれません。

後者のタイプの方はむしろ、組織の中でよりよいチームプレイを考えたほうが性分に合っている可能性があります。

必ずしも自分がリーダーにならなくても、これはと思うリーダーの元でいわゆる「片腕」「参謀」のような役割をすることがもっとも向いている方もいます。

チームの一員として、必要な下地を整えていくことが向いている方もいます。

さて、自分はどういうタイプなのか。

何を喜びとする人間なのか。

そこを自分の内に問うことが必要でしょう。

そして、もしあなたが

意思決定は誰かにしてもらって、その人のプランや指示に従って着実に業務をこなすことが合っていたり

変化や波風や未知のことが苦手で、日々変わらずに淡々としたペースで積み上がるほうが心地よいと感じるのだとしたら

今自分は、そういう場所にいて、そういう安定と安心を得られているのだということを、あらためてじんわりと味わってみるもよいかもしれません。

それはあなたが、欲しかったものや「やりたかったこと」であるかもしれないのです。

メリットとデメリットは50:50

そこはたしかに、独立した人やフリーの人のような

「何も縛られないぜ!自由だぜ!!」という喜びはないかもしれません。

従うべき枠や、気を使うべき他人が存在することに、もどかしさを感じていたりするかもしれません。

しかし、独立やフリーの道というのは

全部自分一人の感性と頭と才覚で一瞬一瞬を選択し、判断し、決定し、行動していかなければならない道ですし

日々変化に揺れ動き、波風立つ不安定な場所です。

あなたは、それを味わわずにすんでいるのです。

両者において、メリットとデメリットは50:50です。

だからこそ、あなたは

急激な変化や未知の事態にさらされずにすみ

全部が自分一人の肩にのしかからないですみ

仲間と助け合って支え合って何かを成し遂げるというチームプレイの喜びを味わえる場所にいるのです。

もしあなたがそういうタイプの人であるならば

それはまさにあなたがほしかったものであること、望んでいたことであることを、もっと受け取ってもいいのかもしれません。

ほんとうに、そういうチームプレイと波風立たない安定がほしいのであれば

堂々と「ああ、私はそれがほしいんだ!」と思ってもいいのです。

なんだかそんなんじゃいけないような気がするから

なんだかいずれは会社をやめなきゃいけないような気がしたり

フリーを目指さなきゃいけないような気がしたり・・・してしまうのかもしれません。

「望む力」を発揮していい

そして、おそらく自分はチームプレイ型の人間であるはずなのに、今いる場所が辛くて仕方ないのなら。

一つは環境を変えることを考えてもいいのかな、と思います。

もっとよりよく、自分にとって心地よいチームプレイができる場所を望んで、意思して、行動してみることができないでしょうか?

 

そしてもう一つは、自分の心のパターンを変えること。

人間関係で辛くなるのは、過去からずっと無意識に繰り返している「傷」のパターンがあるからです。

カウンセラーやセラピストを使って、思い切ってそこに取り組んでみるのもよいでしょう。

 

自分が一番望むものは何か?

組織の後ろ盾や
頼れる何かや
決めて指示してくれる誰かや
みんなでやれるチームや

そういったものを望んでいるのなら
「ああ、自分はそれを望んでいるんだな」と
じんわり受け止めていいのです。

そして
そういう生き方だっていいのです。

そういう生き方を選んで
最高のチームを望んで
求めていってもいいじゃないですか。

その枠の中にあって
最高の状態を望み
その望みのために行動するならば

それだって
「やりたいことをやる」
になっていくのだと思います。

ちゃんとその枠の中での
「あなたにとっての最高」を
得ることができると
私は信じています。

独立・フリーを目指すばかりが
自己実現ではありません。

自分が本当に望んでいることを
実現するのが
自己実現です。

 

★2015年の記事をリライトしました


この記事を書いた人

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大塚 あやこ

心理コンサルタント/講師/音楽家
一般社団法人ビリーフリセット協会 代表理事
ビリーフリセット・クリエーションズ株式会社代表取締役
 
東京芸術大学作曲科卒業後、アーティストのツアーサポートや編曲、アニメやドラマのサントラ作曲等を手がけ約20年活動。
音楽での燃え尽き体験をきっかけに、心理カウンセラーへ転身。
非合理な思い込みを外して本来の力を解放するオリジナルメソッド「ビリーフリセット®」を提唱し、人生の転機に直面した人を新しいステージへと導く個人セッションや講座を開催。「ビリーフリセットで人生が変わった!」という人多数。
カウンセラー養成講座も開催し門下の認定カウンセラーを多数輩出している。
現在はカウンセラー養成の枠を超えて「リーダーズ講座」として長期講座を開催。経営者やリーダー層からの信頼を得て、企業研修にも発展。企業向けオンライン講座「Udemyビジネス」で「はじめての傾聴」動画講座が登録者1万8千名を超えるベストセラーとなっている。

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