前回の記事でも書きましたが、親切で誠実に一生懸命やっているつもりで、過剰に受け身になり、ただただ相手の言うことに従って、知らないうちに服従になっていってしまうマインドというのがあります。
これは職種や仕事/プライベートを問わず、あらゆる側面において、そうなる人はなってしまう一つの心の傾向です。
今日はこの服従マインドを、ちょっと重点的に考察してみます。
服従マインドにやられていると、こんな行動をする
これが発動するのは主に、お客様や上司、その他あらゆる自分より「上」と思う人に対してです。
・無意識にまず自分を低くする
・とりあえずニコニコする
・とりあえずハイハイ言うことを聞く
・なんにもしないうちからとりあえず先に謝る
・常に「言われる、指摘される、注意される、怒られる」ことを想定して恐れている
・とにかく従っておけばそれを回避できると思っている
・上の人を前にしたら、自分がしてはいけないことがたくさんあるような気がしている
・相手の機嫌を損ねないためなら、自分の心にいくらでも嘘をつく
・相手の機嫌が悪くなる予兆はないか、常に細心の注意を払う
・言われたら絶対にその通り従わなければいけないと思っている
・何か違和感や、もっとこうした方がいいと思うことがあっても絶対に言わない
・「相手がそう言っているから」と諦めて何もしない
・その結果がどんなにグダグダになっても自分は手が出せない
・言われたらやるけど言われないからやらなかったと言う
・指示しなかった「上」の愚痴を影で言う
・だって自分が言うわけにいかないし、と言う
・決めるのは全部「上」の仕事だと思っている
・「ちゃんと決めてくれない!」と影で文句を言う
・責任を追及されそうになると「上が言ったから」という
・なんだかんだいって結局いつも従っている。
こういう思いや行動を生む原因となる思い込みを、ビリーフリセット理論では「服従ビリーフ」といっています。
露骨な言い方をすれば、自分から奴隷になってしまう心です。
安全策だと信じて疑わない「服従ビリーフ」
服従ビリーフとは一言でいうと、
上には絶対に服従しなければならない
という信じ込みです。
だから自分が自分の意思でものを言ってはいけない、やってはいけない
という信じ込みです。
逆らったら命が危ない
くらいの勢いで危険と恐怖を予測しています。
服従ビリーフにやられていると、まず率先して自分をものすごーい「下」に置いて、相手を上に立てる。そういう足場をとります。
それが自分の身の安全のために良策と思っているからです。
そうやって上に置いた相手には絶対に従わなければいけない、
そうでなければ自分の身が危ない、
と自分を恐怖で縛ります。
だからこそ、上記のような様々な行動パターンを取るわけです。
その行動の根底にはいつも「恐怖」があります。
すべて、それが自分の身の安全のために最善と信じているがゆえです。
でも実は。
本当のところの真実は、相手はあなたにそこまで服従することを求めていないかもしれません。
なんでもハイハイと従ってくれることより、むしろ、積極的な提案や提言をして支えてほしいと思っていたりするかもしれません。
そういう心強い相棒とかパートナーになってほしいと、本当は思っている可能性だってあるのに・・・。
もしかして、自分から勝手に奴隷になってませんか?
「でも、だって、実際あの人はそうなんだもーん!!逆らったら怒るんだもーん!!これまでだってずっとそうなんだもーん!!あの人もこの人もみんなそうだもーん!!会社にいたら結局そうしないとやっていけないんだもーん!!」
とおっしゃるかもしれませんが。
服従ビリーフを信じているがゆえに、それを実証するような現実が一生を通してあなたの眼の前に現れる、としたら?
その現実はあなたのビリーフが作っている、としたら?
ビリーフが先。現実が後。・・・だとしたら?
心理の世界では、そういう見方をします。
そんなふうに考えてみると、見える世界が全く違ってくるはずです。
はじまりは幼少期の生き残り策
じゃあ、そもそもなんでそんな服従ビリーフなんて信じちゃって、つい服従ばっかりしちゃうんでしょうか。
幼い頃、親に対してそうやって対処するのが一番安全だと、幼いあなたが信じたからです。
そういうものだと思い込んできたからです。
そうやってあの親をやり過ごし、あの家庭を生き抜いてきたからです。
親に隷属しないと生存できない子供という立場では、そうなっても仕方のないことです。
特に、支配的な傾向のある親の元にいたら、これは死活問題ですからね。
それほど強烈な親でなくても、平和なお家でいい子にして育ったお子さんであったとしても、場合によってはいい子であるがゆえに、親を悲しませないために、親を喜ばせるために、ひたすら従うことを自ら選んだ可能性もあります。
そうすることが、自分の身の安全と、家族の平和を守る唯一の方法だったんです。
ちっちゃいあなたにとっては、ね。
しょうがなかった。
よくがんばった。
いい子だったね。
よく我慢したね。
そういう親との間で作った服従ビリーフは、さらに拍車をかけて
地域で、学校で、部活で、バイト先で、就職先で・・・
なんどもなんども叩きこまれていきますから、
ますますそれを信じて強化するようになります。
そうやって幼い頃に身につけた自分の位置付けと安全策は、ある時点で意識的に向き合って気づかない限り、大人になっても消えることはありません。
どこへ行っても、同じような舞台設定を自分で作って、相変わらずそのキャラで舞台に上がります。服従劇場の巡業公演です。
しかも無意識で。
その無意識の習慣力たるや、恐るべきパワーがあります。
鎖を断ち切る勇気
でも実は大人になった今はもう、そんなやり方をしなくても大丈夫なんです。
そんな古いやり方は自分のためにも人のためにも、大したメリットがなくなっています。
あなたがこの服従ビリーフのカラクリと不自由に気づき、
その呪いを自分で解き、
奴隷であることをやめて、提案できる大人としてきちんと立ったなら、
世の中のためにできることはたくさんあります。
残念な出来事を阻止し、希望ある出来事へと変えていけます。
それによって喜ぶ人も幸せになる人も、桁違いに増えていきます。
なにより、あなた自身が本当に安心して、自己信頼と充足感を感じながら生きることができます。
だからこそ、
下から目線の無力な自分になるのはやめませんか。
そのための第一歩は
幼い頃から今に至るまで、無意識の中で続いている
親への隷属を断ち切ることです。
今現在の生活における個々の関係をなんとかすることよりも
まずはその根っこにある過去。
心の中の親と自分との関係を清算することです。
自分で自分の首に巻きつけたその鎖を断ち切るのです。
もう奴隷をやめても安全です。
今のあなたには、もうやめる自由も力もあります。
あとは勇気だけ。
やったことのない未知のゾーンに飛び込む勇気。
そして
断ち切ることの罪悪感さえも、
断ち切る勇気です。
新しい舞台の幕が上がります。