ポジティブだけ望んでもムリ!「ネガティブ撲滅運動」が苦しみのもと

「ダメ」や「悪」との闘い

 

世の中には「良い」ことと「悪い」ことがある。
善と悪があり
光と闇があり
正解と間違いがあり
ポジティブとネガティブがある。

と、私たちは生まれてこのかた、
ずっと思ってきました。

そこから、
いい人と悪い人、とか
できる人とダメな人、とか
長所と短所、とか
完全と不完全、とか
いい自分とダメな自分、とか

そういう分け方をしてきました。

それらはすべて自動的に
どちらかが「いい方」で
どちらかが「ダメな方」と決まっていました。

そして

「ダメな方」はいけないから無くさなきゃいけない!
ぜんぶ「いい方」にしなきゃいけない!

とも思っていました。

「ダメな方」をつぶして、叩いて、排除して、克服すれば
「ダメ」はなくなって
ぜんぶ「いい方」になるのだと考えて
いっしょうけんめい
「ダメ」をつぶそう、「悪」と闘おう、としてきました。

闘って、闘って、闘って。
がんばって。がんばって。がんばって。

それで、勝ちました?

「ダメ」や「悪」はなくなりました?

なくならないですよね。

次から次へと、
次のダメが現れ、次の悪が現れる。
また今日も「ダメ」と「悪」に立ち向かう。

一瞬、勝ったような気がすることもあるけど
しばらくすると、
やっぱり「あいかわらず」の事実をつきつけられる。

こんなに「ダメ」と「悪」を減らせない自分は
まだ足りないのか、まだダメなのか!
まだまだ未熟、まだまだ汚れている!

と、また自分を責める。

またある時は

こんなに「ダメ」と「悪」ばかりの世の中は
なんと足りないのだ、なんとダメなのだ!
なんと腐っているのだ、なんと汚れているのだ!

と、また他人を責める。

闘いは終わりません。
苦しみは終わりません。

それをどこかでわかっているものだから
いっそのこと

闘うのが人生だ!
人生とは苦しいのだ!
そういうものなのだ!

ということにして納得することにしたりして。

しかし。
それにしたって、どうしてこんなに苦しいんだろう。

実は、その苦しみの元には大きな勘違いがありました。

この世にありえないことを望んだ勘違い

私たちがハマってしまった勘違いを2つ言いましょう。

まずは
どちらかが「いい方」で
もう一方が「ダメな方」。

そう決めてしまったことが、一つの勘違い。

それだけでなく、さらに

ぜんぶを「いい方」にしなければいけない!
「ダメな方」は無くさなければいけない!

と信じてしまったこと。
これがものすごい勘違いだったんです。

とてもわかりやすい例で考えてみましょう。

多くの方たちが
喜ぶのはいいこと。悲しむのは悪いこと。
と思っています。

人には笑顔になってほしい。
悲しい顔や怒った顔はしないでほしい。
と、当然のように思っています。

同じように
自分も笑顔でいなければいけない。
悲しい顔や怒った顔はよくない。

喜びが善。悲しみは悪。
笑顔が善。悲しい顔は悪。

そう思っている時、
悪はいけないことですから「なくそう、なくそう」と努力します。

にもかかわらず、
どうしたって怒ったり悲くなったりする気持ちはやってきます。

そうすると

また怒っちゃった、また落ち込んじゃった
こんな自分はダメだ!

とか

あの人を笑顔にしてあげられなかった自分はダメだ!

と言って、
またあなたは「悪をなくせなかった自分」に絶望します。

でも
悲しい顔は悪であり、なくすべきもの
というのは本当なんでしょうか?

それだったらつまり、
人間は本来、いついかなる時も100%笑顔でいるべきだ!
と言っていることになり

人間は本来、ぜったいに悲しんだり怒ったりしてはいけないのだ!
と言っていることになります。

世界中の人が365日、24時間いつも笑っているべきだ!
と言っていることになります。

だってそうですよね。

悲しみ=悪=なくさなければいけないもの

なのだったら。

では、あなたは
いついかなる時も100%笑顔ですか?

ありえないよね(笑)

もしも、いついかなる時も100%笑顔の人がいたら
どう感じますか?

気持ち悪い・・・てか、怖いよね(笑)

悲しい時に悲しがったらいけないんですか?
私たちには悲しむ自由も権利もないのでしょうか?

それって、めちゃくちゃ理不尽だよね(笑)

てことは、

笑顔が善。
悲しい顔は悪。
悪はなくさなければならない!
ぜんぶ、善にならなければならない!

はヘンだということです。

笑顔もあるだろう。
悲しい顔もあるだろう。
人間だもの。

人生、楽ありゃ苦もあり。

こっちが当たり前ですよね。

もともと「ぜんぶ」があるのにもかかわらず
コッチとアッチに切り分けて
どっちかを「善」、どっちかを「悪」にしておきながら
「悪」を無くして「善」だけにしよう!
という願望を持つこと自体
ありえない望みだったということです。

2つに分けている時点で、
もうそれは2つ存在するのです。
片方だけにすることはできません。

勝ちと負けに切り分けるなら
勝ちがあって、負けがある。

成功と失敗に切り分けるなら
成功も失敗も、両方ある。

当たり前です。

にもかかわらず、私たちは
コッチはヤダ!アッチじゃなきゃヤダ!
コッチよ、なくなれ!
と言い張っちゃう(笑)

負けはヤダ!失敗はヤダ!
負けは悪だ!失敗は悪だ!
暗いのはダメだ!ネガティブはダメだ!
ダメは悪なのだ!
悪はあってはいけないのだ!

しかし。
「悪」はあってはいけない!

ということになっているにもかかわらず
あいかわらず「それ」はある・・・むむむ。

だって、はじめに「善」と「悪」に分けているんだもの。
2つに分けたら、2つあるんです。

にもかかわらず
「あってはいけないものがある!なんでだ!」
と言って悩み苦しんでいたのです。

いまだにこんなものがある私は大悪人だ!
こんな自分はぜったい人には見せられない!

と言って一人で悩みを抱え込み、苦しんでいたのです。

切り分け&ラベル貼り&撲滅運動

 

すべてのポジティブ/ネガティブは
そういう切り分けによって作られています。

ポジティブというと
ずいぶん「いい」イメージだったりしますね。

ポジティブはいいこと。
ネガティブはいけないこと。

あたりまえのようにそう思い込んできた私たちですが

どちらかでなければならない!
もう片方は無くさなければならない!

というそれ自体、無理な話だったのです。

その思考こそが「そうなっていない現実」を
認められず、受け入れられず、許せなくさせる原因であり
だからこそ
葛藤し、苦しみ、自分を責め、人を責める
原動力になってきたのではないでしょうか。

そもそもありえないことを望んでおいて
「そうでなければならないのに、そうなれない!」ともがく。

なんだかヘンですね。

もともと「ぜんぶ」であるものを
私たち人間の思考は
コッチとアッチと切り分けるのが大好きです。

でもまあ、それは
人間の思考というものの性質だからしょうがないとして。

その上さらに「いい/悪い」のラベルを貼って。
またまたさらに「悪い」をつけた方を撲滅しようして。

そんなありえないことにチャレンジしていた私たち。

まさに

切り分け & ラベル貼り & 撲滅運動。

この3点セットをやっているから
いつまでたっても苦しく、悩みが尽きることがないのです。

このことに気がつくと、大きな転換になります。
これが腑に落ちてくると
今まで悩みだと思ってきたことが氷解していくでしょう。

「ネガティブ撲滅運動」をやめる練習

 

だからと言って、実際
この「切り分け」をやめるのは
おそらくこの世で人間やっている限り、無理かもしれません。
よっぽどの覚者のような人以外は。

私たちの思考は基本的に
切り分けをしないと思考として成り立たないからです。

しかし、せめて 
いい/悪いの「ラベル貼り」
極力やめることはできるかもしれません。

けれど、どうしてもラベル貼りしちゃったら。

とりあえず「撲滅運動」はやめることができます。
うん。これはできます。大丈夫。

「ネガティブ」や「悪」を撲滅することに走らず

あるものはある。
あっていい。
それでいい。
べつにいい。

と認め、受け入れていくこと。
早い話が、そのままほっとくこと。
「いけない」という思考から離れることから練習です。

これは、他人や自分以外の物事に対して行うより
まずは自分自身に対して行う方が早いです。
自分が自分に言っている「いけない」をストップして
「それでもいい」にしていくことです。

そのためには、
まずは自分が普段どれだけ頭の中で
「いけない」「いけない」言っているか
気づいていくことが第1ステップです。
まずは気づけないとやめられませんからね。

これが「ネガティブ撲滅運動」のやめ方。
これはとりあえず手の届くやり方なので、おすすめです。

自分の中で「ネガティブ撲滅運動」をやめることができたら
とりあえず、かなり心が楽になるはずです。

そこからだんだんと
いいとか悪いとかの「ラベル貼り」をやめることへと
導かれていくのではないかと思います。

ある日、今まで当たり前の事実だと思っていた
「いい/ダメ」や「善/悪」
「ポジティブ/ネガティブ」や「完全/不完全」などが
単に世間や他人や自分が貼っていただけのラベルにすぎない
ということに気がついて、
目からウロコが落ちる日がくるかもしれません。

 


この記事を書いた人

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大塚 あやこ

心理コンサルタント/作曲家/ピアニスト
一般社団法人ビリーフリセット協会 代表理事
 
東京芸大作曲科卒業後、演奏家・作曲家として活動。アーティストのツアーサポートや編曲、アニメやドラマのサントラ作曲等を手がける。
 
音楽での燃え尽き体験をきっかけに、心理カウンセリング/セラピーへ転身。
悩みの根本原因に迫るオリジナルメソッド「ビリーフリセット®」を提唱し、前に進みたい人、人生の転機に直面した人などを新しいステージへと導く個人セッションや講座を開催。「ビリーフリセットで人生が変わった!」という人多数。カウンセラー養成講座も開催し門下の認定カウンセラーを多数輩出している。
その他、心と意識をクリアにするサウンド瞑想など、独自の立ち位置で音楽制作やライブイベント等も行っている。

◎一般社団法人ビリーフリセット協会代表理事
◎淨音堂株式会社代表取締役

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