私は大人の方対象にジャズピアノやアレンジを教えていますが、
ミュージシャン志望の方はともかくとして、
趣味としてピアノを楽しみたい方に対しては、
理論的なことには深く触れずにおこう・・・という気持ちが
これまでなんとなくありました。
やっぱり、ちゃんと話をしようと思うと込み入ってくるし
わかりにくくて難しいと面倒くさくなって嫌になっちゃうんじゃないか、と
思っていたから。
ところが、どうも最近いろんな方のレッスンで、
コード(和音)の理論的背景を説明していることが多くなってきました。
というのも、生徒さんが「それって何故?それはこういうことですか?」などと
積極的に知りたがるから。
すると私も「ならばココんとこを説明しなきゃなるまい」ということで
「ちょっと理論的な話になっちゃうんですけど・・」などと前置きをして
一から理屈っぽい話をします。
そうするとけっこう「ああ、なるほど〜!」みたいな納得とともに、
「わかった喜び」のようなものが湧いていらっしゃるな〜、と
感じることがしばしばあるのです。
そうか〜。
「難しいことは嫌だろう」「理屈の話は申し訳ない」
というのはどうやら私の思い込みだったかもしれません。
いや、考えてみれば、理論がわかるというのは
音楽の根本のカラクリがわかるということだから
私にとってはそりゃあめっちゃ面白いことなんです。
わかってみれば、すばらしく合理的で
宇宙的・数学的調和と神秘に驚くような世界が広がります。
それなら当然、他の人だって面白いと感じるかもしれないし、
そんな世界を、知りたいかもしれないもんね。
それはきっと音楽だけじゃないね。
難しいことだって、わかりさえすれば
わかるように説明してさえもらえれば
知りたいし、わかりたい!
それが人間の本来の、美しい欲求の一つかもしれない。
ならば、どうやったらそれをわかってもらえるか
わかるように知恵を使って言葉を使って努力するのが、
教える者の責任だよね。
本人が面白いと思ってることなら、きっと何かが伝わるでしょう。
「どうせこんなことは嫌だろう」なんていう決めつけはイカン!
と気づいたのと同時に、
そういうところまでついて来て、
こういうことを暗に教えて下さる皆さんに
ありがたいなー、と思ったこの頃です。