「あたしおかあさんだから」は役割意識へ揺さぶりをかける歌

「あたしおかあさんだから」が炎上しているそうですね。
ここでは、詳しい内容はシェアしませんが、
(知りたい方はこんなサイトも参考にしてね)
ビリーフリセット的に見た私の見解を書いてみようと思います。

この歌のポイントは「だから」にあります。

おかあさん「だから」。

「だから」という言葉によって、
良くも悪くも、自分を役割として見ることになるのです。

つまり役割意識。

役割とは、たとえれば
「着ぐるみ」のようなものです。
着ぐるみの中にはそれを着ている「中の人」がいますね。

「着ぐるみ」が役割。
「中の人」が素の自分。

何者でもない「素の自分」が
一時的に社会的な「役割」をやっている。

「素の自分」と「役割」
この違いをどれだけ意識できているか。
客観視できているか。

心理の世界ではそれを
「スペースが空く」というのですが

その認識によって
この歌の受け取り方が違ってくるでしょう。

参考記事:役割という着ぐるみを脱いで「中の人」になる

役割意識は、必然的にたくさんの
「◯◯べき」や
「◯◯じゃなきゃいけない」を連れてきます。

◯◯だから、が上の句だとしたら
◯◯べき、が下の句です。

おかあさん「だから」
(たとえば)
眠くても朝5時に起きるべき
自分のことより家族のことを優先するべき
・・・などなど。

おとうさん「だから」
(たとえば)
一家を支えて働くべき
いつも強くあるべき
・・・などなど。

妻「だから」
嫁「だから」
夫「だから」
長男「だから」
先生「だから」
上司「だから」
部下「だから」
男「だから」
女「だから」

などなど、全部になんらかの
「◯◯べき」という「下の句」がつくのを
想像できるのではないでしょうか?

そしてその「べき」はあっというまに
「しなきゃいけない!」というより強い力に
頭の中で自動的に変化します。

それをガッチリ信じれば信じるほど
こんどは
「そうできてない私」というものに
すごく嫌なかんじを連れてくるのです。

◯◯なのに・・・
ってやつ。

それはつまり罪悪感。

そうするべき、なのに。
そうできてなきゃいけない、のに。
そうできていない・・・
ヤバイよね?
ダメよね・・?
だってできないのよー!
だけどできなきゃいけないんでしょ!?
そうしろってことなわけ!?
えー無理よ
できないわたしが悪いっていうのね!
これでもがんばってるのよ
えー悪かったわねえ!
どうせ私はダメですよ〜(泣)

罪悪感てこんなかんじです。
これがすっごい嫌なかんじの元。

実際、具体的に何を「べき」と思ってるか、
それは人によってちょっとずつ違います。

だから、この「おかあさんだから」の歌の
内容そのものはあくまでも一つの例であり、
そういうキャラの女性の
「下の句」の一例にすぎません。

重要なのは、そこで言っている一言一言が
正しいか正しくないか、とか
共感できるできない、ではなくて

私たちがいかに
◯◯だから +  ◯◯べき
という、上の句 + 下の句 の思い込み(ビリーフ)を
当然のように思い込んんで
その通りしようとがんばっているか。

その「べき」という役割の下にいる
「素の自分」てなんだっけ?

という気づきにあるのです。

そこを客観視しているのがこの歌だと
私は受け取っています。

つまり役割という「着ぐるみ」と
「中の人」である自分自身とを両方とも
一歩引いて客観視できる人や
その両方の自分を受け入れることができる人は

「あー、私はこの歌の主人公とは
違うところもあるけど、
でもそういう役割意識で
がんばっちゃうんだよねー!あるある!」

と受け取るかもしれません。

そういう気づきが思い当たる人にとっては、
けっこう笑える歌だと思います。

逆に、役割つまり「立派な着ぐるみ」としての
「あるべき通り」を生きなければ!
と努力している真っ最中の人や、

そう努力することが
まっとうな生き方だと信じている人、

または
そうなれない自分に葛藤している人、

役割ではないところの
「素の自分」というリアリティが
あまりない人にとっては、

この歌は、神経を逆撫でされるような
複雑な思いを引き出されるのだろうと思います。

それはまさに、潜在意識にとっては
「効いている」ということ。

だから、この歌は
「おかあさん」がテーマではあるけれども
もっと深いところで
すべての人にとっての
「◯◯だから」という役割意識を
示唆しているのだろう、と私は思うし

そして
「それをすごく私たち、信じてるよね?」
という提起や、

そういう「◯◯だから」の役割意識に
とらわれすぎるのも、どうなんだろうね?
という問いかけにも
なっているんじゃないかと
私は受け取っています。

役割意識というものへ揺さぶりをかけ
客観視と自覚へいざなう歌。

意識改革への一歩。
すごく新しく、今的です。

私にはそういうふうに見えます。

 


この記事を書いた人

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大塚 あやこ

心理コンサルタント/作曲家/ピアニスト
一般社団法人ビリーフリセット協会 代表理事
 
東京芸大作曲科卒業後、演奏家・作曲家として活動。アーティストのツアーサポートや編曲、アニメやドラマのサントラ作曲等を手がける。
 
音楽での燃え尽き体験をきっかけに、心理カウンセリング/セラピーへ転身。
悩みの根本原因に迫るオリジナルメソッド「ビリーフリセット®」を提唱し、前に進みたい人、人生の転機に直面した人などを新しいステージへと導く個人セッションや講座を開催。「ビリーフリセットで人生が変わった!」という人多数。カウンセラー養成講座も開催し門下の認定カウンセラーを多数輩出している。
その他、心と意識をクリアにするサウンド瞑想など、独自の立ち位置で音楽制作やライブイベント等も行っている。

◎一般社団法人ビリーフリセット協会代表理事
◎淨音堂株式会社代表取締役

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