「お得ですよ!」は本当にお得なのか?

「セットでいくら」はお得なのか?

最近、「お得ですよ!」という売られ方に、なんだか引っかかるようになった。

「通常1回あたり◯◯ 円ですが、◯回セットにすれば、1回あたり◯◯円になってお得ですよ!」

ていうやつ。
私は、ひねくれ者なのか、その言葉に
「アラ、お得! じゃあそれにするわ〜!」
とは乗る気にならないのだ。

たとえば、某ヨガスタジオで。
「マンスリー会員になると、1回あたり◯◯円になってお得ですよ!」

私「いやー、でもひと月にそんな回数行かないので・・・」

「月に◯回来るならそれで元がとれます。そっちの方がお得ですよ!」

私「いやー、たぶんそんなにこないし・・・」

ってモヤモヤして戸惑う。

私はどうも、こういう「セットでいくら式」に抵抗があるのだ。

「セット式」っていうのは、確かに1回あたりを計算すれば、額面は少なくなるかもしれない。
それを称して「お得」というのも、もちろんわかる。
かかるお金が少なければ少ないほどお得、と思う人だって多いのだろう。

でも、私にとっては、それはあんまり「お得」じゃないのだ。

なぜなら、「セット」されちゃうと
私の選ぶ自由、やらない自由、いかない自由、やめる自由、やりたい時行きたい時に行く自由、などが、あんまり自由でなくなるような気がするから。

「月に◯回ならお得!」のような組み方をしちゃうと、たぶん「じゃあ月に◯回はいかなくちゃ!」という思考が生じる。
だって「でないと、元がとれない」もんね。
それはきっと「損した」とか「もったいない」とかいう感覚も連れてくると思う。

その「損するから」という思考が、「いかなくちゃ!」という強制力になって、そういう感情になるの、私は避けたいんだよね。めんどくさいから。

そんなの、やりたいと思ったその時に、やりたいもんね。
やりたくない時は、やりたくないもんね。

「いかないと損だからいかなくちゃ!」みたいのも
「あー、今月◯回しかいけなかった、もったいなかった」
みたいのもやなの。

だから、たとえ1回あたりは割高になっても、そういう思考を呼ばない、やる/やらないの自由がニュートラルに確保されていることの方に、私は惹かれるんです。

物もそうかも。
いくら「大量セットだとお得!」といっても、大量に同じものを買ってしまうことで、おいそれと別のものに変えられなくなる。
飽きる自由、気が変わる自由が制限されてしまう気がするの。
飽きて使わなくなったとしたら、それはそれで「無駄、もったいない」という思考が生じるでしょう。それがまた嫌。

私にとっては、変える、やめる、気が変わる、そういう自由があることが「お得」。
わずかな額面の違いじゃないんだよね。

「今ならキャペーン!ただし解約するなよ」はお得なのか?

それとか

「今ならキャンペーン中ですから、通常◯◯円のところ、△△セットだと◯◯円になります!だんぜんお得ですよ!」

とかいうのもよくある。

ただしこういう場合、後から付け足したように
「ただし最低◯ヶ月の継続が条件になります。途中解約の場合、違約金がどうのこうの・・・」という説明がついてくる。

ほらー、めんどくさいじゃん!
て思う。

その「ただし◯ヶ月は継続。解約するなよ。」といういわゆる「縛り」。

これがすごく苦手。

そうすると私は逃げたくなるんです。

「や。だったらキャンペーン適用じゃなくていいんで、通常の都度1回で!」
みたいな選択をしちゃう。

まあ、携帯電話みたいな、明らかに継続するであろう前提のものはいいけど、習い事のようなものは、ちょっとゴメンなんだ。

先の先の未来まで決定されちゃってるようなのが、性に合わないんだ。

やっぱり、行きたかったら行く自由、行かない自由、やめる自由、を確保しておきたい。

先々の気分がどうなるかなんて、わからない。
その「わからない」をわからないまま、自由にしておきたい。

それは自分にとってのお得なのか?

それは、本当にお得なのか?
という問いは持ってみてもよいと思う。
特に、自分にとって、だ。

そして「お得とは何か?」という問い。
何のことを自分は「お得」だと思っているか。
単に、価格が安いということだけが「お得」なのか。
そんな問いだってあるだろう。

私にとってのお得とは、

やめる自由、気が変わる自由。
それが確保できていること。

頭に余計な強制力がはたらかないで済むこと。

いわば逃げ道がガラーンと空いている方が、安心できる性分。

たとえ額面上、多少割高になっても、
私にとっては、これが確保されていることが「お得」なんだなあ、って思う。

未来がどうなるかわからない、という
その余白を、自分がこの手に持っていられること

それが、私にとっての価値、
つまり「お得」なんだ。

 


この記事を書いた人

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大塚 あやこ

心理コンサルタント/講師/音楽家
一般社団法人ビリーフリセット協会 代表理事
ビリーフリセット・クリエーションズ株式会社代表取締役
 
東京芸術大学作曲科卒業後、アーティストのツアーサポートや編曲、アニメやドラマのサントラ作曲等を手がけ約20年活動。
音楽での燃え尽き体験をきっかけに、心理カウンセラーへ転身。
非合理な思い込みを外して本来の力を解放するオリジナルメソッド「ビリーフリセット®」を提唱し、人生の転機に直面した人を新しいステージへと導く個人セッションや講座を開催。「ビリーフリセットで人生が変わった!」という人多数。
カウンセラー養成講座も開催し門下の認定カウンセラーを多数輩出している。
現在はカウンセラー養成の枠を超えて「リーダーズ講座」として長期講座を開催。経営者やリーダー層からの信頼を得て、企業研修にも発展。企業向けオンライン講座「Udemyビジネス」で「はじめての傾聴」動画講座が登録者1万8千名を超えるベストセラーとなっている。

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