4日間、高野山に行ってきました。
高野山は世界遺産であり、多くの人が集まる場所でありながら、
独特の落ち着きと神妙な空気をたたえていました。
山へと上がる急勾配のケーブルカーから望む森の樹々のたたずまいは、
まさに深山幽谷。
昔の人がこんな場所にどうやってお寺を建てたのかと思うと
計り知れない畏敬のようなものを感じる思いでした。
宿坊の朝、夜明けの太陽が差し込む静かな庭に、美しい鳥の声が響く。
朝、昼、晩、と鳴り渡る鐘の音。
風に乗って聴こえてくる大勢の僧侶の読経の声。
一つ一つが心に響く、格別に贅沢な時間でした。
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さて、今回私が高野山に行ったのは、観光ではなく、仏教の修行でもなく、
私のセラピーの師匠である岡部明美さんの「高野山リトリート」という研修会で、
アシスタント・セラピストとして参加させていただくためでした。
日常を離れた聖なる地で、参加者の皆さんが自分に向き合ったり、
感性の深いところから湧き上がるご自身の願いやヴィジョンを見つけ、
パワフルな未来像を描いてゆかれる道のりを、対話しながらご一緒してゆくのは、
私にとっても深く喜びを感じる時間であり、
それ自体が大きな学びと経験になりました。
主催者である伊藤マナさんは、現在多才なセラピストであり、
ご主人の伊藤ヒロさんとともに
クリスタル・ボウル奏者としても活動されている方ですが、
ある時期、高野山で得度して修行の上、
阿闍梨(あじゃり・師範の立場)の位を取られたという異色の経歴の持ち主。
そのマナさんより折にふれて、
専門家ならではの密教についての深いレクチャーを頂き、また朝は宿坊の朝勤行に皆で参加するなど、まさに高野山ならではの研修を体験してきました。
もちろん研修だけでなく、伽藍や奥の院へも出かけて、
高野山の空気、弘法大師・空海さまの気配をいっぱいに感じてきました。
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私の場合、山にいる間はそれほどガツーンとした感激や、
熱い祈りの気持ちがわき上がるような思いはありませんでした。
仏像や建物に向かって真剣に拝むことからは、
実をいうと、少し身をかわしていました。
ただ淡々と、自分なりにその場を味わっていました。
そのことに、自分では
「何か私、冷めてるかなー。感激の薄いヤツですかね。」なんて
実はちょっと思ったりしたのでした。
けれど、不思議なことに、山を降りて、帰ってきて初めて気がついたのです。
私は、大師さまの気配、大師さまによって作られた空気そのものを
確かに受け取っていたのだということに。
何か切実に、願をかけたわけではなかった。
何かを、誰かに、祈ったわけではなかった。
なぜか、そういう気持ちにはならなかった。
ただ、その空気を感じているだけで満足だった。
そして、帰ってきた私の内側には、
確かに「あの空気」が残っています。
「あのエネルギー」が自分と共にあるのを感じています。
これと共にいることを、気持ちよく感じています。
そして、何かが確実に、以前とは違う私であることを感じています。
なんだ、私もちゃんと受け取っていた。
これでいいんだ、って思えました。
今回あまり写真をとらなかったので、上の写真は公式サイトから拝借しました。