力いっぱい押し返せ!愛のつもりで服従になっていないか?

心理の世界では「サレンダー」という概念があります。

サレンダーとは、明け渡しのこと。

「自分が自分が!」と、自我でがんばり続けるステージに限界が来た時、次の段階へ移行するための鍵が「サレンダー」だと言われています。

「自分が」を手放し、力を抜いて水に浮くように、大きなものに身を委ねること。

「自分にはどうにもできないことがある」と知って自力を諦めること。

「できない。もういい。どうにでもしてくれ。」と降参すること。

自力を諦めて、流れに身を任せ、絶対他力を信頼すること。

がんばり続けるステージから卒業する時、この段階を通ることが重要なターニングポイントとなります。

そこからあらたな世界が開けていきます。

だから、サレンダーとは本来、それなりにレベルの高い成熟した心の状態なのです。

しかし、私たちは人生の初期、似て非なるものに足をとられてしまいます。

それが、服従。
サレンダーに似て、方向が全く違うもの。

はじまりは親です。

親にももちろん自我があるから。
ここでいう自我というのは、恐れや自己否定ゆえに自分を守ろうとする、不自然な思考や感情のことをいいます。

無意識に自他を苦しい方向に駆り立てるものと言ってもよいでしょう。
もちろん人間だれしも、こういう部分を持っていますし、親といえども人間ですから例外ではありません。

親の自我は、時に子供に対して、支配と侵入をやらかします。
力でどこまでも押してきます。
無意識に。

それをされた子供は、たいていの場合、親の押してくる力に対して逆らえません。

押してくるものを
ただ諾々(だくだく)と押されっぱなし。

支配してくるものを
ただ諾々と支配されっぱなし。

侵入してくるものを
ただ諾々と侵入されっぱなし。

子供は親を押し返せない。

それほどまでに、無力で小さいから。

そうやって諾々と
自分の領域を明け渡し
自分の力を明け渡し
親の顔色に服従するようになります。

でも子供だって大きくなるからね。
大きくなったら、大人になったら
もう力はつけているんです。

はずなのに。

でも、押し返せない。
まだ無力だと思っているから。

それもあります。
でも本当はそこじゃないんだ。

押し返せない、んじゃないんだ。
押し返さない、んだよね。

なぜなら
自分が押し返したら
押してくる親が悲しむと思っているから。

悲しませないのが愛だと思って
押されてあげるのが愛だと思って
服従こそが愛だと思って
押し返さない。

そして
自分が押し返したら
親はもっと怒って
自分を愛さなくなると恐れているから。

押されて侵入させてあげるのが
愛される方法だと思って
服従し続けるのが
愛され続ける方法だと思って
押し返さない。

だから諾々と
親の自我に押されて侵入されて
苦しい苦しいと言っている。

それでも押され続けて
自分の心を死に追いやっていく。

そして親の自我もまた
押しているそれを「愛」だと信じているから。
侵入するのも「愛」ゆえだと信じているから。

だから余計にややこしいわけです。

両者それぞれに
「愛」の仮面と誤解が貼り付いてこんがらかった
支配と服従。
心は地獄。

愛のつもりだからやめられないゲーム。

痛いよね。

そうやって子供は、自分の力を親に明け渡してしまっています。

「自分にはできない」と思いこんでいます。
圧倒的な親の力に押し流されています。

明け渡し、できない自己認識、流される・・・

それはすごく一見「サレンダー」に似ています。

でもそれは似て非なるものなんだよね。

次元が全く違うんです。

サレンダーというのは
大きな宇宙の力に対してするものです。

そして
自分自身の内なる神に対してするものです。

自分自身の内なる神とは
ほかならぬ自分の深いところにある真実。
本当の感性と直観。
いのちそのもののことです。

それがすなわち、大きな宇宙の力にも通じています。

これに対して明け渡し、委ねることを
サレンダーといいます。

それは絶対的な安らぎの方向へ向かっています。

でも
親とか他人の自我にサレンダーするのは違うと思うの。

それは本当の意味でサレンダーではなくて
服従であり
自分をますます死の方向に追いやるものです。

だからまず自分。

自分が自分の力を取り戻す。

もう服従をやめる。

押し返せ!

自分の力を出して
思いっきり押し返せ!

怒れ!
怒鳴れ!
追い払え!

傷つけてみろ!
悲しませてみろ!
怒らせてみろ!

一旦それくらいの覚悟をして
やっとプラスマイナス、イーブンになるといってもいいでしょう。

あなたが長い間
愛だと思って押され続けてあげたことで

どれほど自分を傷つけ
自分を悲しませ
自分を怒らせてきたのか。

自分が生きてるんだか死んでるんだか
わからないくらいまでに
そこまで自分をつぶしてきたのだから

その長さと重さに比べたら

あなたがちょっとばかり相手を押し返すことぐらい
ネコパンチみたいなもんです。

ネコパンチでもいいから
渾身の力をこめて押し返せ!

自分の尊厳を自分で守るために

本気出して
毛を逆立てて
牙むいてみろ!

押し返して
自分の領域を自分で守れ!

まずこれができなきゃね。

そこからやっと
「人間と人間」の同じ地平に立って
互いを生かしあうもっと広い「愛」が
存在することに気づくでしょう。

自分を愛することと
人を愛することが
同時に成立する場所があることを知るでしょう。

だからね。
愛のつもりで、サレンダーのつもりで
服従にしかなってないあなたがいるとすれば
これから必要なことは
「自分が」を押し通すこと。

それができてはじめて
自分自身の内なる神を知ることができます。

それとつながり
それを信じることができる。

サレンダーの道のりはそれからなんだよね。

もう大人なんだから。

親の自我にサレンダーする
無力な子供時代はもう終わり。

他人の自我にサレンダーする
無力な子供思考の繰り返しはもう終わり。

自分の内なる神と宇宙の力に
サレンダーするんだよ。


この記事を書いた人

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大塚 あやこ

心理コンサルタント/作曲家/ピアニスト
一般社団法人ビリーフリセット協会 代表理事
 
東京芸大作曲科卒業後、演奏家・作曲家として活動。アーティストのツアーサポートや編曲、アニメやドラマのサントラ作曲等を手がける。
 
音楽での燃え尽き体験をきっかけに、心理カウンセリング/セラピーへ転身。
悩みの根本原因に迫るオリジナルメソッド「ビリーフリセット®」を提唱し、前に進みたい人、人生の転機に直面した人などを新しいステージへと導く個人セッションや講座を開催。「ビリーフリセットで人生が変わった!」という人多数。カウンセラー養成講座も開催し門下の認定カウンセラーを多数輩出している。
その他、心と意識をクリアにするサウンド瞑想など、独自の立ち位置で音楽制作やライブイベント等も行っている。

◎一般社団法人ビリーフリセット協会代表理事
◎淨音堂株式会社代表取締役

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